2012年に見た映画グランド大賞

2012年12月31日 月曜日

今年一年と言うか、去年の10月位から平均毎日一本映画を見るという、何の義務なのか分からない事を続けていた。普段なら見ない様なミュージカル映画や恋愛映画、アート系等々、とにかく見るという事で古今東西の映画を見てみた。

レンタルビデオ屋のレンタル品や販売されているソフトは一切見なかったが、TV放送だけでも一日一本じゃ見切れない量がある事に気付いた。地上波は編集が酷いし、基本的に吹き替え版で、連続ドラマなら吹き替え版じゃないと見る気がしないのに、映画は逆に字幕じゃないと見る気がしないので、ほとんど地上波では見ず。BSだとNHKが平日午後に映画を放送しているし、民放でもあるし、BS・CSの無料日でも見れたりするので意外と映画の本数的には困らなかった。

そして一日一本、しかも録画で見ていると、どうしても慣れでいい加減に見てしまう自分がいる。早い段階で興味を惹かない、自分に合わない映画だと早送り。一度見出したら全て最後までは見るけれど、ミュージカル等で耐えられない苦悶を感じてしまう場面ではスキップしてしまった。そして、見ながら感想を書いていると、どうしても真剣に身が入らない部分がある。しかし一方で、結構流し見だった「ロシュフォールの恋人たち」では、一場面の一言がLONG VACATIONのアルバム「PLATINUM NIGHT」の中の「プラスター・プレイス」の頭のサンプリングだという事に気付き、流し見でも意外としっかり見ているのだと自分に感心したり。

で、今年このブログに感想を書いた映画は307本。実際には350本近くは見ているのだけれど。
それだけ見ていると、わたしの好き嫌いの傾向も分かって来た。まったりとして何かある様で何も無い感じの展開の映画が駄目。ミュージカル映画は、ミュージカル部分になると完全に駄目だけれど、植木等のミュージカルはむしろ行ける。恋愛映画は、恋愛よりも主役が対立する社会的な背景の設定や、展開の持って行き方で見る等々。それに当たり前の話だけれど、名作・有名作と言われる映画でも実際見たら全然響かない事もあり、やっぱり見てみないと分からない。
 
 
今年から各映画の評価として五段階で星を付け始め、それの集計。五段階だったけれど、星無しも出現し、結局六段階に。白星が金星。黒星が多い方が負け越し。
 
☆☆☆☆☆ 7作

☆☆☆☆★ 26作

☆☆☆★★ 62作

☆☆★★★ 112作

☆★★★★ 89作

★★★★★ 11作
 
 
最もおもしろかった☆☆☆☆☆の映画。

インディ・ジョーンズ/最後の聖戦
交渉人
シザーハンズ
グランド・ホテル
吸血鬼 ボローニャ復元版
エイリアン
エイリアン2

分かり易い娯楽性の高い映画や、その監督や俳優が有名になり、代表作とも言える映画が多くなった。この中でも「グランド・ホテル」と「吸血鬼 ボローニャ復元版」が偶然にも1932年の映画で、まだトーキー初期の時代にこんな素晴らしい映画を作っていたのかと改めて感心した映画だった。

で、今年の最高の一本はやっぱり「グランド・ホテル」。これまで見た映画上位五作に入れても欠損は何ら無い素晴らしい映画。このサラッと人生の機微を描き、鬱積した物と清々しさが入り混じる人生ドラマとして非常に良く出来ている。それにこの映画は現在も使われる「グランド・ホテル形式」の大元になっているけれど、そう言えば、日本のTVドラマで一番好きなのもグランド・ホテル形式の「王様のレストラン」だし、海外TVドラマで一番好きなのもバリバリグランド・ホテル形式な「スタートレック:ディープ・スペース・ナイン」と、この映画から伸びて行った後年の好きな作品がこの映画に繋がると思うと不思議な感じがした。
 
 
一方、つまんな過ぎた★★★★★の映画。

ビッグ・ウェンズデー
ナッティ・プロフェッサー2 クランプ家の面々
ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月
ハイ・フィデリティ
グリース
コクーン2 遥かなる地球
ストレンジャー・ザン・パラダイス
太陽の下の18歳
太陽の季節
シカゴ
女王陛下のダイナマイト

傾向としては、まったりとし続け、何か起こる様で特に何も起こらない様な映画や、一作目が☆★★★★で、続編がそれ以下のつまらなさだった、ミュージカルでもゲロ吐きそうな気持ち悪さのモノ等が★★★★★。
で、一番駄目だった映画は「鉄道員(ぽっぽや)」。これの評価は☆★★★★なんだけれど、今年は「映画を見る年」として、古今東西、色んな種類の映画を見ようとし、見たけれど、古い邦画は見たいのに、どうにも近年の日本映画に食指が動かないのは、話題の映画やヒットした映画を見ても「何?このつまらない話や展開?」とか、「安っぽいセットや映像…。」、「何でこんな映画が当たったの?」としか思わない事が多く、だから近年の日本映画を見ないんだと、改めてその理由を確認させたのがこの映画「鉄道員(ぽっぽや)」だったから。
 
 
作品の次は監督。

今年見た映画の中で一番良かったのは、「吸血鬼 ボローニャ復元版」での監督のカール・テオドア・ドライヤー。この映画以外では「あるじ」「ゲアトルーズ」を見たけれど、こちらは全然響かず仕舞いでどちらも☆★★★★。しかし、「吸血鬼 ボローニャ復元版」では、白昼夢の様な話の中で白昼夢の様な映像がばっちりと合い、ただジッーと見入る様な不思議な世界を作り出し、この何とも言えない不思議な感じに浸りまくってしまえる。

一方駄目だった監督。

一人は、彼が関わるとろくな映画にならないでお馴染みになってしまったリュック・ベッソン
やっぱりこの人、何でこんなに持てはやされるのか、さっぱり分かんない。「レオン」があった為にこうなっているのだけれど、言ってしまえば「レオン」だけじゃないか。今年見た「グラン・ブルー完全版」も微妙だったし。「トランスポーター」「トランスポーター2」「アデル/ファラオと復活の秘薬」と今年だけでも、出来の悪い映画ばかりだった。ジェイソン・ステイサムと組ませたら、普通ならマイナスとマイナスをかければプラスになるはずが、よりマイナスのベクトルが深くなるという…。

もう一人はリチャード・カーティス
ノッティングヒルの恋人」「ブリジット・ジョーンズの日記」「ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月」「ラブ・アクチュアリー」と全くはまらない映画ばかり。しかも「ノッティングヒルの恋人」や「ラブ・アクチュアリー」を見ると「脚本粗いなぁ…」と思っていたら、おざなりな形で脚本書かない為に作成期間が長いらしいんだから…。
この人の書く話って非常に薄味。恋愛話にしろ、コメディにしろ、イギリスなんだから今だ残る階級社会ネタや地方色ネタ等を期待するのに、そこら辺は全然出て来ない。至って普通なモノばかりで、わざわざイギリス映画である必要性が感じられない。この人「Mr.ビーン」の脚本を書いていたそうだけれど、「Mr.ビーン」と「モンティ・パイソン」が決定的に違う部分の毒抜きしてスカスカした感じがこの人にはアリアリ。
 
 
監督の次は役者。

良かった男優

・市川雷蔵
ポール・ニューマン

市川雷蔵は本当に時代劇の男前。渋い役も、コメディでの可愛らしい表情を見せる役までこなし、映画によっては全然別人に見えるのだから幅が広い。
ポール・ニューマンも男前な役から、軽い役も、そして歳を取ってからも上品な男前の役者で良い。

良かった女優

・淡島千景
・グレタ・ガルボ

淡島千景はとにかく可愛い。甘ったるい美女で、現代でも美人。演技も1950年代なのに非常に自然な演技でわざとらしさが見受けられない。今年亡くなられたけれど、こんな素晴らしい女優がいたなんて全然知らなかった。
グレタ・ガルボも、名前は知っていたけれど出ている映画を見た事なかったけれど、この人も綺麗だし、何より全身から出る「私は女優よ!」の迫力が半端無い。確かに映画史に残る偉大な女優だけある。

一方駄目だった俳優

ジェイソン・ステイサム
ハリソン・フォード
スティーブン・セガール
ヒュー・グラント

ジェイソン・ステイサムは、アクションはそれなりに見せて、アクション俳優としてはそれなりに良いのだけれど、見た映画どれもが酷い映画ばかり。「トランスポーター12」「アドレナリン」とか。まだ初期からスティーブン・セガールの最近の乱発されるVシネみたいな、話が適当な感じ、もしくは何じゃそりゃと突っ込みが止まない様なモノばかり。それにこの人を見るとぬらりひょんを思い浮かべてしまい、全然カッコ良く思えないのもある。

ハリソン・フォードは、今年の☆☆☆☆☆だった「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」でのインディアナ・ジョーンズ、昨年の☆☆☆☆☆「ブレードランナー」のリック・デッカード、そして「スター・ウォーズ」のハン・ソロと、SF映画の映画史だけでなく、映画史にも残る名キャラクターを一人で三役も演じている凄い俳優で、それ以外でも「逃亡者」のリチャード・キンブル、「パトリオット・ゲーム」等のジャック・ライアン等々、バンバン当てるし、印象に残る人物を演じているにも関わらず、今年見た「ワーキング・ガール」「ファイヤーウォール」を見ると、「こんなにしょっぱい役者だったっけ?」と思ってしまう。普通な役を演じるとここまで輝かないのか。

スティーブン・セガールはスティーブン・セガールなのでいいのだけれど、21世紀の一年に数本、似た様なビデオ映画、それも本人の出番が少なかったり、大して動きもしない作品を乱発しまくり、しかもその上太り過ぎでどうしようもないという泥沼状態で、変に哀愁がある。ジャン=クロード・ヴァン・ダムの様に開き直って再び人気が出る感じでも無いのも、出来ないのも哀しい。

ヒュー・グラントは、本人の優男な感じは悪くなく、むしろそれがピッタリとはまる事が多いけれど、監督・脚本家のリチャード・カーティスと組み合わさると見事に外れの映画になってしまう。
 
 
今年は古今東西、普段なら興味が湧かず、ぜった見ないだろうという映画まで見た。そのせいで、今までは「映画は長編小説を、TVドラマは短編小説集を読んでいる感じ」だったのに、これが逆に「映画は短編小説集を、TVドラマは長編小説を読んでいる感じ」に変わってしまった。以前のTVドラマは一話完結型のモノが多く、最近のTVドラマの傾向として、一話完結的ではあるけれどシーズンを貫く話の筋があったり、シーズン関係無く話が継続するモノ、何だったらシーズン最終話でクリフハンガーする様な事も多いのでそう思うのもあるのだろうけれど、やっぱり良作も駄作もある映画を毎日の様に見ていると、どれもが方向性が違い、数を見て行く度に慣れと、見なくてはならないという自分に勝手に課してしまった変な義務による見る為の気持ちの入れ様や集中力は低下して行き、飽きて来ている部分が出て来ていて、豪華な短編を続けて見ている感じばかりになってしまった。なので、来年は見たい映画だけに抑え、TVドラマを見、本を読む年にすると決意。
 
 
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