シカゴ

2012年11月12日 月曜日

レネー・ゼルウィガーキャサリン・ゼタ=ジョーンズリチャード・ギア共演の2002年のミュージカル映画「シカゴ(Chicago)」。元は1975年に作られたミュージカル「シカゴ」の映画化。

不倫相手を撃ち殺してしまったレネー・ゼルウィガーが刑務所で憧れのミュージカル・スターを妄想し、彼女の頭の中でミュージカルが始まる。

舞台劇でする事をそのまま、近い感じを映画にしても上手くは行かないという事が分かる様な映画。舞台は性質上連続する時間をどう見せるかが一つとしてあるけれど、ほとんどの映画は時間も場面も連続していない前提なので、同じ事しても映画だと自分の考えている事が妄想の歌劇になったり、新たな登場人物が現れるとミュージカルになるという突然性は、映画の文法と言うか、現実の延長線上の自然さから逸脱しているので違和感しか感じず、ただしょっぱい演出としか思わない。ミュージカルの舞台劇を見るのと、映画を見るのでは相当違う。
しかもミュージカル場面が5分に一度位頻繁に入って来て、映画としてはしつこ過ぎて、見ていてもイライラするだけ。で、この映画はその違和感とイライラ感ばかりで、始まって20分位、3曲目辺りでもう駄目。後は適当に早送り。
始まりの歌が終わればレネー・ゼルウィガーのベットでの行為も終わるとか、非常にしょうもないギャグだし、行き成りレネー・ゼルウィガーの夫が取り調べを受けている時に、レネー・ゼルウィガーは妄想で舞台で歌っていて、演出的にも、この人物にも付いて行けず、序盤ですでにポカ~ン…。
この中で一番醜悪なのは、レネー・ゼルウィガーが腹話術の人形で、リチャード・ギアが腹話術師のミュージカル場面。二人のはしゃぎっぷりにゲロ吐きそうだったのでスキップ。
キャサリン・ゼタ=ジョーンズのミュージカル場面も相当キツイ。この「ミュージカルを華麗にしてるでしょ?」という押しつけがましい感じは何だろう?レネー・ゼルウィガーはそんなには感じなかったので、この差は何だろう?
リチャード・ギアの、まだ53歳なのに、おじいさんが無理に若作りした様なギトギト感はなんだろう?リチャード・ギアが画面に出て来ると、嫌らしい、下品な雰囲気で一杯になる。

ミュージカルと言うか、ミュージカル映画が駄目な上に、この映画話がつまらない。単にレネー・ゼルウィガーが殺人を犯したけれど無罪になりましたという薄い話を、ミュージカル入れて水増ししただけの様な話。やりたい放題のわがままなレネー・ゼルウィガーが自分勝手で自分に都合の良い言い訳ばかりなのに、まるで素晴らしい歌姫かの様に描き、時代や社会の皮肉とかは薄く、全然社会的な黒いコメディになっていない。全体的に皮肉なんだろうけれど、時代が1920年代という馴染みが薄く、当時の社会性や価値観が分かり難いし、頻繁に派手なミュージカルになるせいで皮肉の部分が極端に薄れ、頭が行ってしまった女性がただワチャワチャしているだけにしか見えない。レネー・ゼルウィガーは痛過ぎる自分勝手で、やたらと妄想ミュージカルばかりしているのでずっと引きっぱなし。始めからすでに壊れていて、「ミザリー」並みに怖い女性で、この映画はホラー、サイコ・サスペンス。

ミュージカルなので当然音楽満載なのだけれど、気になるのはどの時代の音楽なのかという事。ジャズは全然知識が無いので、この映画の1920年代からあった音楽・曲なのか、元の舞台劇の時に作ったのか、この映画用なのか、そこで評価は変わって来る。

この映画見て思ったのは、この元の舞台劇はそれなりにおもしろいかもしれないとは思ったけれど、この映画、話は皮肉として描き切れていないし、ミュージカル場面は下品さと醜悪さで全くおもしろくないし、映画として非常につまらない。久々に、二時間映画なのに一時間位で見終わった!

★★★★★

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