ヴァイラス
2025年05月30日 金曜日ジョン・ブルーノ監督、ジェイミー・リー・カーティス主演の1999年のアメリカ映画「ヴァイラス(Virus)」
原作はダーク・ホース・コミックスから出版されたチャック・ファーラーのコミックス「Virus」
ロシアの宇宙ステーションのミールに謎の現象が襲い掛かり、ミールと交信を行っていた科学船ヴォルコフ号も謎の現象に襲われた。
一方、台風により沈みかけていた貨物船の乗組員達はヴォルコフ号を発見。
ヴォルコフ号に人の姿を見かけなかったが生き残る為に乗組員達はヴォルコフ号に乗り移るが何者かに襲われて次々と命を落として行く。
この映画もAmazon プライムビデオで配信が終わりそうだったので見てみた映画。
この映画も確か以前にテレビ放送でしていた時に見たはずだけれどドナルド・サザーランドが大変な事になる位の覚えしかなく、改めて見てみたら中々おもしろかった。
こういう海を漂う誰も乗っていない船って大抵深海からの謎の生物モノという印象で、それの代表的名作が「ザ・グリード(Deep Rising」で、よくある、よくあった深海からの謎の生物モノかと思いきや宇宙からの侵略者モノという一風変わった話になっており、しかも登場人物が皆立っていて、典型的な所から外す展開がおもしろかった。
敵は謎のエネルギー生命体?で、船のコンピューターを乗っ取って人間を観察し、船の機材を使って自立した機械を作りつつ、それを使って人間を材料に人間と機械のハイブリッド体を作って人間を抹殺しようとしており、モンスター・パニック映画ではあるけれどSF侵略物を船だけでしていて、あんまり無かった設定なので結構ワクワクして見れちゃう。
この機械も昆虫型が小さくて作業用ロボットとなり、大型の人型のロボットは船内を破壊出来る攻撃用と結構理にかなった使い分けをしていて、このロボットをちゃんと物を作って登場させて見せているので現実感があるし、造形も邪悪な感じが良い。
人とのハイブリッド型は片方の目の部分だけレンズになっているとかどう見てもボーグなのでちょっと笑ってしまうし、何よりハイブリッド化してしまったドナルド・サザーランドには笑ってしまう。
わたしの記憶だとこのハイブリッド・ドナルド・サザーランドってもっと活躍したはずだと思っていたけれど、あれだけの登場だったのか。
この登場の少なさはがっかりで、もっと暴れるハイブリッド・ドナルド・サザーランドが見たかった。
この手の映画って、誰がどう活躍して、誰が生き残るのかがあるんだけれど、この映画では初めは役柄的にボールドウィン三男ウィリアム・ボールドウィンが主役で活躍して行くのかと思いきや、徐々にジェイミー・リー・カーティスが主役になり始め、中盤以降はジェイミー・リー・カーティスが活躍して長く登場し、何時の間にかウィリアム・ボールドウィンが脇役かの様になって行くという外した構成がおもしろい。
ジェイミー・リー・カーティスも冷静で強いんだけれど、機械に捕まって以降は非常に怯えて今までとは性格や行動が変わり、逆に唯一生き残ったロシア人が始めは非常に怯えていたのに急にやる気を出して強くなりと役柄が入れ替わったかの様になって行くし。
他の人物も、船長役のドナルド・サザーランドはずっと何を考えているのか分からない非常に掴み所が無い人物で、結局この船長は何に大金をかけて、何処に何を運ぼうとしていたのかは分からず仕舞いだし、機械側に付いたのも何だかよく分からずで、ずっと分からない感じ良かったし、ドナルド・サザーランドの表情がどうにも取れるのでこのドナルド・サザーランドの演技も存在感もとても良かった。
役者で言えば、ジェイミー・リー・カーティスって何処かで見た事あるなぁと思っていたら、「トゥルーライズ」でのアーノルド・シュワルツェネッガーの奥さん役だった人か。
それにジェイミー・リー・カーティスってハロウィンシリーズの人なのか。
色んな映画で顔を見るクリフ・カーティスが出ていて、クリフ・カーティスと言えば色んな人種を演じるけれど、この映画では珍しく自身と同じマオリの役になっている。
しかも、クリフ・カーティスは「ザ・グリード」にも出てたのか。
謎の宇宙生命体がやたら攻撃的なのが、コンピューターで人間を調べたら人間が攻撃的で危険な存在で、人間こそが「ウイルス(ヴァイラス)」だと言う理由が出て来たけれど、これって非常に安っぽくて、この理由を出さなくても何だかよく分からない生命体の侵略だけで良かった。
この映画は公開当時は散々みたいだったらしく、興行収入は制作費の半分にも行かず、評価も悪かったらしいんだけれど、後にカルト映画化して行ったみたいで確かに今見ると結構おもしろいからそれも分かる。
この映画の出来も評判も良くなかったからか、この監督のジョン・ブルーノは結局映画の監督してはこれ一作だけで、後はアトラクションの監督とか、「スタートレック:ヴォイジャー」で二話だけ監督しただけみたい。
元々は視覚効果の人だったみたいで、だからこの映画での機械が良いのはそこへのこだわりや腕があったからなのかな?
この映画、1990年代によくあった海に浮かぶ孤立無援の船で謎の敵と戦うモノだけれど、その敵が宇宙からの侵略者で機械というおもしろさがあり、登場人物達もちゃんと立っていて、ドナルド・サザーランドが良過ぎたし、主人公が入れ替わる感じもおもしろかったしで結構楽しく見れてしまう映画でした。
☆☆☆★★