ビキニの悲鳴
2025年05月14日 水曜日ジョン・ホール監督・主演の1965年のアメリカ映画「ビキニの悲鳴(The Beach Girls and the Monster)」
リチャード・リンゼイ達が浜辺で遊んでいると、その中の一人の女友達が何者かに襲われて殺されてしまった。
その殺害現場付近の砂に残っていた足跡は大きく爪が尖っていた。
その後、またもリチャードの友人が襲われるが目撃された犯人は半魚人の様な怪物だった。
「空飛ぶ翼蛇」に続けてAmazon プライムビデオで配信が終わりそうだったので、古いホラー映画、特撮映画だったので見た映画。
この映画は構成が変わっていると言うか変で、この手のモンスター映画って序盤は怪物は姿を余り見せずに人々が殺されて行き、恐怖を徐々に盛り上げて行くのが王道だと思っていたら、この映画では謎の怪物をオープニング・クレジットの中で行き成り見せ、本編が始まってから五分経った位で直ぐに怪物を登場させてしまうので結構驚いてしまった。
しかし、初めの被害者が出てからは何故かリンゼイ一家の不穏な家族関係を描き続け、全然怪物の話になって行かず、登場人物達が犯人は半魚人かも?となり出してリチャードが犯人捜しをし始めるのが残り十分位から。
一応のモンスター映画にしては怪物の恐怖を全然描かずに人間ドラマに時間を割き過ぎな構成がよく分からない。
どうやら父親が自分周りの人間が気に入らず息子のリチャードの為に人々を殺していたからのこの人間ドラマの分量なのかもしれないけれど、結局父親の本心は何も描かず、説明も何故か急に警察官が「君の為にやってるんじゃ?」とだけでぶん投げて終わってしまい、真相は全く描かないのでほとんどのリンゼイ一家の話が無駄になってしまっている。
でも、このリンゼイ一家の人間関係が結構おもしろく、事故で自分の生き方を見つめ直したら浜辺で騒ぐ事に目覚めたリチャード。
そのリチャードを良く思わず元の研究職に戻そうとする父親。
その堅物っぽい父親とどうしてなのか分からないけれど再婚している若い?後妻。
その後妻はリチャードが起こした事故で片足に障害が残ってしまった友人のマークに気がある素振りを見せつつおお預けし、リチャードに対しては嫌味っぽく接し、リチャードは後妻を嫌っているとか、ここの各人の人間関係が揉めていて、ここは見れてしまった。
各人の関係を結構描いているのに急に殺してしまってお終いという、こちらもぶん投げて終わりと酷くはあるけれど。
マークは重要人物っぽく描かれていて、終盤でマークに濡れ衣がかかる展開となり、しかし、これがどうにかする前に殺されてお終いとか何なのだろう?
そして、一番の悪手は怪物で、登場した時から着ぐるみにしか見えないので当時の低予算映画だからこれはこういう怪物だと思って見ていたら、最後に実は本当に着ぐるみでした…は流石に無いだろうと。
まだ、姿がハッキリと見えない怪物をある程度見せておいてから着ぐるみっぽくないか?と思わせる様な見せ方にしないといけないのに、そのまま着ぐるみって。
この時既に映画のお約束を破るやり方をしているという部分では、ある意味凄くはあるけれど。
あと、役者の見た目から年齢が分からず、見ていると各人の年齢設定から来る話と実際の見た目でグチャグチャしても来た。
父親はおじいちゃんっぽい見た目で、後妻は若いっぽい?けれどリチャードの彼女とあんまり変わらない年齢の様に見えるし、マークは皺の深い結構おじさんに見えるのにリチャードと友人で歳が離れていない?となるとリチャードは三十歳位?で浜辺で若者と遊んでいるって何だ?と、いらない「?」ばかりが浮かんでしまった。
調べてみたら、父親役のジョン・ホールは当時50歳で、まあまあそんな歳なのかな?とは思うけれど、それでもおじいちゃんに見える。
後妻役のスー・ケイシーは36歳。
リチャード役のアーノルド・レッシングは29歳。
マーク役のウォーカー・エドミストンは39歳。
彼女役のエレイン・デュポンは32歳。
やっぱりリチャードは若者には見えないし、マーク役の人とは十歳も離れているから二人の友人関係がよく分からなくてしっくり来ないし、彼女は三十超えてのあの感じって、設定上の若者側の人々の配役間違ってる。
それに、一応ホラー映画ではあるのに音楽は終始ジャズがかかって妙に小洒落た感じを出すし、怪物が出て来る場面だとサーフ・ミュージックがかかって非常に陽気だしで、音楽が全然合っていない。
この映画、てっきり浜辺で騒ぐ若者を半魚人が次々と襲って血まみれになるモンスター・パニック・ホラー映画かと思って見たら、妙に人間ドラマに話を振った内容で意外だった。
でも、その人間ドラマは投げっ放しジャーマンスープレックスで終わり、着ぐるみっぽい怪物が実は着ぐるみでしたという結構トンデモないどんでん返しをしたりと変な映画で、そこの変さを楽しめたらおもしろい映画なのかもしれないと思いました。
☆☆★★★