ダンテズ・ピーク
2025年05月27日 火曜日ロジャー・ドナルドソン監督、ピアース・ブロスナンとリンダ・ハミルトン出演の1997年のアメリカ映画「ダンテズ・ピーク(Dante’s Peak)」
火山学者のハリー・ダルトンは上司からの命令で田舎町のダンテズ・ピークで休火山の地震活動調査を行う為に出向いた。
ダンテズ・ピークの町長レイチェル・ワンドに案内されながら共に山の麓を見て回ると枯れた木や何匹ものリスの死骸を見つけ、更には自然温泉の中で死んでいる人間を見つけた。
これが火山噴火の前兆だと危険を感じたハリー・ダルトンは町議会に住民の退避を提案するが、やって来たハリー・ダルトンが所属する調査団の上司に確かな証拠が無いと止められた。
火山が噴火するという証拠を求めてハリー・ダルトン達は調査を続けるが不審な情報は出て来なかった。
しかし、町の水道水が濁り出し、これが火山の噴火の前兆の証拠となり住民の避難計画が伝えられた時、大きな地震と共に火山が噴火した。
この映画もAmazon プライムビデオで配信が終わりそうだったので見てみた映画。
もしかすると以前にテレビ放送をしていた時に見たかもしれないと思っていたけれど見てみると見た記憶が無く、しかも火山が噴火する映画と言って思い浮かべるのがリンダ・ハミルトンとトミー・リー・ジョーンズなので、この映画と同じ年に公開された「ボルケーノ」がごっちゃになってしまっている位。
でも、見てみると結構おもしろかった。
前半はちゃんと火山の噴火の前兆を説明しながら見せ、でもそれだけでは住民の避難をさせるだけの証拠にもならず、もし噴火しなかった場合の風評被害等による町の損害という社会的な問題も出て来たりと結構真面目な展開で、ちゃんとしている科学映画の感じで興味が惹き付けられた。
そこからの火山の噴火で一気にデザスター・パニック映画になり、登場人物達が噴火した真っ只中の火山中腹からどうやって逃げるのかの話になり、雰囲気は一転。
ここら辺は逃げ惑う話なのでそんなものか…感はあるけれど、おもしろくは見れた。
この映画、どうやら当時の評価は余り高くなかったみたいだし、興行的にもそんなにでもなかったみたいなんだけれど、この当時の1990年代辺りってこういう何かの災害等から逃げ出すパニック映画とか、自然災害を扱ったデザスター映画の流行期みたいな時期だったはずと思う中で、しかもこの二か月後位に同じ火山映画の「ボルケーノ」もあったしで、デザスター・パニック映画自体のお腹一杯感はあっただろうし、しかも主演の二人が当時今正にジェームズ・ボンドだったピアース・ブロスナンと1991年に大ヒットした「ターミネーター2」のサラ・コナー役だったリンダ・ハミルトンとなると、この映画のピアース・ブロスナンとリンダ・ハミルトンが普通の人では人物として引きが弱過ぎると思われたんだろうと思う。
だけれど、この映画から三十年近く経った今見るとデザスター・パニック映画の中の一作としてすんなり見れるし、ジェームズ・ボンドもサラ・コナーも関係無くピアース・ブロスナンとリンダ・ハミルトンで見れるしで、非常におもしろいとは行かないけれど結構おもしろく見れてしまう。
この映画ではまだ弱いけれど調べた情報の積み重ねから噴火をどう扱うかとか、それに対して人々はどうするかとかの現実的な火山の噴火対策の部分は興味深いし、デザスター部分では映像が今見ても良く出来ていて、火山の噴火煙はCGなのか特撮なのか分からないけれど本物っぽいし、壊す為に作っただろう町を破壊しまくるし、あちこちに灰が積もっているのも準備と撮影を考えたら手間暇が凄いし、川の水の流れも良く出来ているしで映像部分でおもしろく見れてしまう。
ただ、主人公だけが噴火すると確信しているのだけれど、その確信が何から来ているのかがあんまり説明が無いので分かりにくく、見ている方からすると噴火するのは分かっているし、主人公だしで進んでしまうのがちょっと脚本的に弱かったかなぁと思う所。
主役の二人は今見てもジェームズ・ボンドもサラ・コナーの影がちらつきはするけれども当時程の強烈な印象が無いので、ピアース・ブロスナンは柔らかい学者風だし、リンダ・ハミルトンは子供が心配な母親で、二人とも演技的に結構良い。
二人を見ていたら前半部分でもっと人物を掘り下げても良いとも思ったし。
この映画、デザスター・パニック映画としては地味なのかもしれないけれど、科学映画、SF映画として見たら結構硬くて好きだったし、緩やかに徐々に積み上げて行きながら噴火で一気にパニック映画に持って行く構成もおもしろく見れました。
なので、同時期の同じ様な火山噴火映画「ボルケーノ」も見てみて、どっちがどうだで見比べてみたくはなる映画。
☆☆☆★★