少林寺木人拳

2025年11月09日 日曜日

チェン・チーホワ監督、ジャッキー・チェン主演の1976年の香港映画「少林寺木人拳(少林木人巷 Shaolin Wooden Men)」

父親を謎の男に殺された聴唖の若者は復讐の為に少林寺に入り拳法を学ぼうとしていた。
二年経っても基本的な訓練しかない事に不満を持っていた時、洞窟に鎖で繋がれた男と出会い彼の世話をし始めた。
その世話に恩を感じた男は若者に拳法を教え、若者は更には尼僧からも違う拳法を習い強くなり、少林寺の試験である木の人形と戦う木人路を突破し父の仇を探しに少林寺から出て行った。
しかし、少林寺の洞窟から男が脱走。
男は仲間と合流し悪事を始め、それを知った少林寺の僧達が男を捕まえようとしていた。

Amazon プライムビデオでジャッキー・チェンの映画が多く配信終了になるので見ていない古い映画からと思い見た映画。

色んなおもしろい要素があるのに、全部がそれ程跳ね切らずに終わってしまった感じ。

初めの少林寺で中々拳法を教えてくれないという不満がありつつ、酒飲みの僧の酔拳の様な動きから自分で練習してみたり、鎖に繋がれたやたらと攻撃的な謎の男から攻撃的な拳法を学ぶ一方で、急所を狙わない拳法を教える尼が出て来たりと全く違う方向性の三人から拳法を学ぶという非常におもしろい展開になるのだけれど、ここの前半の部分がまったりしてあんまり波風立たないので見ていてもちょっと眠たくなってしまった。
全く違う拳法を三種類も学ぶのだけれどそれがどれも活きて来るとは言えず、基本は洞窟の男の拳法が話的にも軸となり、結局尼からの拳法は最後に見せるけれどそれ程活きず、この尼も結局何だったのか良く分からず。

話も訓練から木人までが短くて主人公が強くなって行く感じが薄く、邦題にも原題にもなっている木人は中盤の山場ではあるけれど通過点でしかなく、中盤以降は木人の事なんかはすっかり忘れてしまう位別の話になるし。
この木人は誰かが壁の後ろから鎖で引っ張って動かしている木の人形なんだろうけれど、どう見ても木の人形の中に人が入って動かしているとしか見えず、これが物凄く怖い。
勝手に想像してしまったのだけれど、まだ僧達が中に入っているなら試験の感じはあるけれどそんなに大勢僧がいなかったし、鎖と狭い石壁の通路なので木人に罪人を入れている感じがして、そう思ってしまって木人路が薄気味悪く怖くなってしまった。

木人からは急に主人公の親の仇を探す話になるんだけれど、それまでほぼ主人公を中心に主人公だけの話で展開していたのが急に登場人物達が増えるので話が散漫になってしまった感じがしてしまった。
店で町のチンピラが店の女の子にちょっかい出して主人公と喧嘩になる定番の展開から始まって、ここの店とチンピラ軍団との話や脱走した師匠の話が増えて急に主人公が脇役なってしまう。
途中で急に出て来る拳法の使い手も、その拳法から父親の仇では?と思わせておいて違うとかの一外しもいらない様な話だし、何でこの人がその拳法を使ったのかもよく分からない話のままで終わったし。

師匠と主人公の話も酷いのが、少林寺の僧と間違えて関係無い人を師匠が殺してしまい、それに怒った家族も子供も含めて皆殺しにしてしまったのに主人公は止める事も無く、特に何も感じていない様なままでそれでもまだ師匠に従う感じがあったのは一体どういう展開なんだ。
それに主人公の唖の設定もよく分からず、実は喋れるけれど父親の仇を見つけるまで喋らないぞというのは分かるようでよく分からない。
展開的に必要なのか分からないので、この唖設定って、ジャッキー・チェンが見初められて主演作を作ったいいけれど初主演作はお蔵入り。
大当たりした「ドラゴン怒りの鉄拳」の続編として作られた主演二作目の「レッド・ドラゴン/新・怒りの鉄拳」も当たらずで、三作目になって「もうジャッキー・チェンは喋らせない方がいいだろ」でこういう設定になってしまったと妄想してしまう様なよく分からない、必要の無い唖設定に思ってしまった。

ただ、主人公に拳法を教えた師匠が父親の仇で戦う事となり、主人公を想った師匠が自ら死んで行く展開は結構好き。
何かちょっと「Gガンダム」っぽいなぁと思ってしまった。
でも、これを見せるなら途中の師匠の無意味な一家惨殺はいらない。

この映画、三人の師匠と三種の拳法や師匠と弟子の関係からの仇討の展開とか、非常におもしろくなる要素で出来ているのにいまいちおもしろくならなかった感じ。
この時間でまとめて描くには時間が足りなかったとは思うので、連続ドラマ向きの内容だった気がしました。

☆☆★★★

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