成龍拳

2025年11月18日 火曜日

ロー・ウェイ監督ジャッキー・チェン主演の1977年の香港映画「成龍拳(剣・花・煙雨江南 To Kill With Intrigue)」

江南地方の総督の息子シャオルイは互いに愛し合っていたチェンチェンを突然足蹴にして追い出してしまった。
その日は総督の誕生日で祝いが行われていたが、シャオルイは客人達も追い出してしまった。
怒った総督だったがシャオルイは人面桃蜂党が間もなく襲って来る事を伝える。
総督は十五年前に討伐した盗賊団人面桃蜂党が復讐に来る事を予想はしており、復讐にやって来た人面桃蜂党と家族で戦い、総督と妻は殺されシャオルイだけが生き残った。
人面桃蜂党を率いていたのは十五年前に殺された首領の娘ティンで、彼女は自分と同じ様な苦しみを味合わせる為にシャオルイを逃がさせた。
シャオルイは全てを失いチェンチェンの下に帰ろうとするが、チェンチェンを託した友人のジンチュンの家にはおらず、共に何処かに行ってしまっていた。
チェンチェンを探そうとしたシャオルイに突然襲撃をかけた者達が現れるが飛竜警備隊の隊長に救ってもらう。
隊長は飛竜警備隊が運搬していた宝石をジンチュンに盗まれてしまい、血雨党の人間を使ってジンチュンを捕まえようとしていた所、ジンチュンの家にいたシャオルイを間違って襲わせてしまった事を謝った。
シャオルイの扱いを巡って飛竜警備隊と血雨党が対立し、飛竜警備隊への恩を感じたシャオルイは飛竜警備隊と共に行動し血雨党と戦うが瀕死の重傷を負ってしまう。
そこに現れてシャオルイを救ったのはティンだった。

Amazon プライムビデオでジャッキー・チェンの映画が多く配信終了になるので見ていない古い映画をと思い見た映画。

ジャッキー・チェンのまだ初期の映画だからか後の笑いとカンフーの映画ではなく、結構暗めの武侠物。
色々とおもしろくなる要素は沢山あるけれど、どこまで最初から予定していたのか分からない様な常に展開があっちに行ったりこっちに行ったりで、分かる様で何か分からない感じの話が定まらないままで走ってしまったかの様な話。
シャオルイとティンとの愛憎入り混じった対立話になる感じで始まったものの、まだシャオルイを忘れられないチェンチェンと彼女を守ろうとするジンチュンを追い掛けて対立する事になるシャオルイを中心とした三角関係の話になるのかと思ったらそうにもならず、急に飛竜警備隊と血雨党の対立になり、何だこれは?と思っていたらティンが登場してシャオルイとの話になるのかと思いきやそれも中々進まずで、全部の展開がどうにもならなくて常にモヤモヤしたまま進んでしまう。
結局ジンチュンを一番悪い奴でまとめてしまうのだけれど、見ていても何だそれは…で結構ガックリ来てしまった。

各人の話が中々進まない上に各人のその時の気持ちの描写がほとんどないので折角の展開も活きて来ない。
ティンはシャオルイに惚れてしまったらしいけれど、そこは大して描かないので最後の自分の家に引き取っての修行と対決も盛り上がらないし、ジンチュンのシャオルイに対する思いやシャオルイのジンチュンに対する思いも全部曖昧なので全部の関係性が弱くて人間ドラマは盛り上がって行かない。

それに時々出て来る幻想的、超自然的要素も何だか分からない。
人面桃蜂党が初めて出て来た時はキョンシーモノかと思う様な超自然的恐怖演出だったのに、この時以降そんな超自然的恐怖要素が無く、そもそも出て来るのはティンだけで人面桃蜂党の戦闘員達が出て来なくなる。
ティンはやたらと強く、飛ぶ様な動きなんだけれど、これは単にティンが強いだけで跳躍力が凄いだけなのか、最後になってティンが急に言い出した「私の血を飲めば不死身になる」と言う所から何か神秘的な存在か力を持っていたのか結局ははっきりしないまま。

ジンチュンもよく分からないまま。
ジンチュンは血雨党の首領で江南地方の支配を企んでいたけれど、これもシャオルイに近付いたのは何かを企んでいたから?
けれどティンが総督や仲間を皆殺しにしたので、じゃあ良いかで飛竜警備隊の方に専念した?
飛竜警備隊に責任を取らせる為に宝石を盗んだのは分かるけれど、じゃあ何で飛竜警備隊に血雨党の手下を雇わせたの?
そもそも飛竜警備隊が血雨党を雇わずに自分達で追えばいいじゃんだし。

結局どの要素もおもしろくなりそうだから入れてみて、どっちに転ばせるか分からないままそのまま撮影を進めてしまったかの様な感じ。
人間関係や内容は二時間弱の映画ではなくて連続ドラマ向きの気がしてしまった。

この映画、ジャッキー・チェンの武侠物として見ればおもしろいのかもしれないし、所々の戦いもおもしろくはあるんだけれど、どの要素もどの人物もどっちにも転ばないまま話が進んで急に話が転んでしまうので物語として盛り上がりに欠け、折角の要素が勿体ないままで終わってしまった感じでした。

☆☆★★★

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