女王陛下のダイナマイト

2012年12月03日 月曜日

リノ・ヴァンチュラ主演の1966年のフランス映画「女王陛下のダイナマイト(Ne nous fâchons pas)」。

足を洗った犯罪者の主人公の前に昔の仲間が現れ、金は返せないと言われ、その金を持ち逃げした詐欺師を追う事に。その詐欺師の家で別の男が彼の命を狙っている事を知り詐欺師を助けると、謎のイギリス人達が接触して来る。

この映画、始めは粗暴ですぐ暴力振るう主人公を見せ、結構ハードボイルドな犯罪映画かなと思って見ていると、何時の間にドタバタコメディに変わっている変な映画。コメディだとは思うのだけれど、そんなに笑かす様な感じでもなく、何を見せたいのかさっぱり分からない。そもそも詐欺師はイギリス人達が計画していた犯罪現場にいたから、見られていた、知られてしまったかもしれないと怪しまれて殺されようとしているのに、イギリス人は主人公に簡単にその計画を喋るので何だか分からない。主人公を殺そうと爆弾置いて逃げた敵が、主人公にその爆弾に気付かれ投げ捨てたら、海に逃げた敵の真ん前に落ち爆発して何故か服だけ浮いて来るとか、敵の手下は皆ビートルズ風の格好でギター弾きながら踊っているという場面が何度かあり、しかもボスが注意しているのに懲りずにまた演奏していたり、何のこっちゃな場面が多数。
そしてこの映画が凄いのは終盤の主人公達の反撃。とにかく爆弾を仕掛けまくり、敵を爆破しまくる。それも、敵の部下が何故か町で遊んでいる偶然の所に爆弾が仕掛けてある。遊園地のスロットマシンとか、公衆電話とか、他の普通の人が触る可能性がある所に仕掛けているのに何故か敵しか爆破しない都合の良さ。酷いのは敵が乗って来た自動車に爆弾が置いてあり、それに気付いた敵は町の人の自転車に乗るけれどそれにも爆弾が仕掛けてあり爆破。何故か敵の乗る自動車の屋根に爆弾が仕掛けてあり敵は気付いていないとか、敵の基地にさえ仕掛けてあるけれど、どうやって仕掛けたのか方法は一切描かない。監督の悪質な悪乗り。爆弾が出て来てからは一気にこの映画は崩壊。

牝猫と現金」に続き、これでもミレーユ・ダルクが出ている。化粧だとは思うけれど、何故か顔中に黒い斑点がある。

この題名だと、どう考えても主人公はイギリスのスパイだと思ってしまうけれど、主人公はフランス人で、フランスで話は進む。一応敵はイギリス人だけれど、女王は関係無いし、ダイナマイトを巡っての話でもない。原題「Ne nous fâchons pas」は英題だと「Let’s Not Get Angry」で「怒らないでね」で、まあこの題名が主人公の性格や境遇を表しているし、コメディだと分かるしで、無意味な邦題でしかない。

この映画、犯罪映画として始まりそういう風に見るのに、最終的には監督の悪乗りが過ぎる単なる爆破コントで呆れるだけ。爆破コントがしたいだけなのに物語を見せようとする姿勢に腹が立つ。これ、物語部分削り、15分程の爆破コントだけにしたら物凄いおもしろいのに。

★★★★★

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