ワーキング・ガール

2012年07月08日 日曜日

メラニー・グリフィス主演の映画「ワーキング・ガール(Working Girl)」。

1980年代のバブル期。投資会社で働き、仕事も恋も…という、まあ王道、ベタな恋愛映画。
この映画が制作された1988年当時は、買収買収でのし上がって行く人物がカッコ良かったはずだけれど、今だとこの設定は完全悪役側になってしまう、その後20年の時代の移り変わりの今で、最早この映画の見方は時代性だけでしかなくなってしまう。しかも、仕事は一思い付きで一気に上手い事行くから、都合は良過ぎかな…。
それに恋愛は、正体を知らず偶然出会った大きな会社の重役のハリソン・フォードと、付き合いが長く、いまいちパッとしないアレック・ボールドウィンという、今見たらどちらも濃ゆい中年男性とで、こんな恋愛劇当時は喜ばれたのだろうか?それに出会いや、実は彼は…という事を見てしまうのは偶然に知ってしまいという場合が多くて、都合良過ぎの感は拭えない。

何と言っても80年代の時代性がグングン前面に押し出て来て、その当時の時代性、特にファッションはダサい。始まってすぐ出て来るメラニー・グリフィスの服装と、特に髪型が、この1980年代後半の流行そのままの、今見ると余りに奇抜で、ダサ過ぎで笑ってしまう。ガッツリ肩パットで肩の線は横一直線。ひさし作って雄ライオンのたてがみ並みのフッサフサな髪型。メラニー・グリフィスの上司となったシガニー・ウィーバーが、彼女に「アクセサリーが派手。」と注意するけれど、今だと「それよりも髪型でしょ!」と誰もが突っ込むはず。メラニー・グリフィスはその後、出来るキャリアウーマンはこんな髪型しないという事で髪の毛を切るのだけれど、そのキャリアウーマンの髪型は、80年代のワッシャワシャなカリフラワーみたいな髪型で、やっぱりダサい。他の女性も似た様な格好で、流行の威力と水物感をヒシヒシと感じてしまう。

この映画にどうしても違和感を感じるのは、主題歌。やたらとカーリー・サイモンの「Let The River Run」が流れるのだけれど、この曲を聴くと日本のTVドラマ「HOTEL」を思い出してしまう。「HOTEL」の主題歌が、この「Let The River Run」のカバー、白鳥英美子の「レット・ザ・リバー・ラン」だから。この曲聴くと絶対、高嶋政伸の「姉さん、事件です。」か「申し訳ございません。」が頭の中に出て来てしまう。
それに劇盤が「Let The River Run」のアレンジバージョンの一本押しでしつこく、段々とうっとおしくなって来る。

出ている役者陣は何だか豪華。
しかし、主役のメラニー・グリフィスは80年代の30代女性の典型的な感じで、しかもいまいち印象に残らない顔。特に勝手に動き出してからは物凄くおばさん臭く、全然魅力が無い。
それから、吹き替えで見たのは失敗。このメラニー・グリフィスは、結構強気で80年代の若い女性なのに、吹き替えの土井美加がとてもしおらしい感じで落ち着き過ぎの声なので、役柄的には当時イケイケ過ぎた投資会社で上を目指し、平気で男性上司をコケにする位の人物なのに、か弱い感じだけど一物ある感じになってしまい、本来の役とはズレがあり、明らかに配役失敗。
シガニー・ウィーバーの上司役はやっぱりカッコ良い。サバサバして、やり手感一杯を全面に押しだし、そりゃあ彼女なら最強。でも30歳には見えない。彼女は実際は39歳。
ハリソン・フォードは、アクションモノ以外だとどうも冴えないけれど、これもまさにそれで、優男でスケベ顔で、凄そうにも、やり手にも全く見えない。それにハリソン・フォードのベットシーンって、見たくない場面でも上位。本当にハリソン・フォードって恋愛映画がしっくり来ない。
それと「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」で顎の傷をネタにしていたけれど、この映画でもネタにしている。こちらでは「19歳の時に耳にピアスを開けようとして、余りに痛過ぎて気を失い、顎を打った。」と言うしょうも無い事になっている。
あと、ジャック・ライアンシリーズや、「ファイヤーウォール」でも役名がジャックだったけれど、これでも彼はジャック。
アレック・ボールドウィンは、これ位や90年代の痩せた男前の印象が強いけれど、太ってしまった今から比べると違和感。
それ以外にも何でかケヴィン・スペイシーオリヴァー・プラットザック・グルニエ等、本当にチョイ役で出て来る。皆俳優初期で、今程売れる前だからか。「Xファイル」のモルダー役でお馴染み、デイヴィッド・ドゥカヴニーもチョイ役で出て来たらしいけれど、全く分からなかった。

80年代のイケイケ感を楽しめたらこの映画も楽しめるのだろうけれど、この80年代のバブル直球が全く持って駄目なわたしは全然乗れず、「ふ~ん…。」でもなく、ちょっとしかめっ面。しかも、全体的に大きな話なはずなのにちんまい感じばかりの上、さっぱり輝きが見えないメラニー・グリフィスと、恋愛映画が似合わないハリソン・フォードの恋愛劇なものだから、見る気はしぼんでしまう。

☆☆★★★

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