あるじ

2012年07月05日 木曜日

カール・テオドア・ドライヤーの1925年の映画「あるじ(Du skal ære din hustru)」。

家の中で家族に厳しく、辛く当たりまくる旦那が、それでも彼を支えていた妻に愛想をつかされ落ち込み、徐々に変わって行き、全てを大切にし始める。
この映画の番組紹介では「皮肉に満ちたコメディ」と記されていたけれど、全く笑い所なんて無い、頑固で口うるさい夫と翻弄される妻の鬱々とした話。
カール・テオドア・ドライヤーは「吸血鬼」が、とても素晴らしい映画だったので、これも期待して見たのだけれど、「ゲアトルーズ」もそうだったけれど日常を描いた映画は非常に退屈。これもグダグダと進まない話と、どうでも良い様な場面の連続で、トコトン集中力が持たない。
始まりから、1920年代のデンマークの朝の家庭での用意や日常が延々と続き、時代性と場所性の関心は少しあるけれど、特に映像的に見せる感じでも無くダラダラと見せ、展開は非常に退屈。
中盤、それも一時間以上経ってからやっと、妻は侮辱と虐待され続けていたけれど、日々の家事があったからやって来れたけのに、そこから解放されると逆に完全に精神的にまいってしまい、夫は妻がいくなった事で大人しく、従順になるという、皮肉に満ちて俄然おもしろくなって来るが、前半が余りに退屈なのでそこまでが持たない。

1925年の映画とは言え、一回画面で見せた事を再び字幕で説明してしまうのは、流れと興が削がれる。
無声映画だから仕方ないのだけれど、延々ピアノ単独の劇盤が流れ続け、ピアノの音が好きでは無いわたしにとっては苦痛。頭がおかしくなりそう。早い段階で音絞った。

20世紀初期の映画なので、この緩慢とした作りはしょうがないのかもしれないが、この退屈さは何だろう?主題は良いのに、展開は一向にゆっくりで、二時間近くもこれでは持たない。どうしても彼の傑作映画「吸血鬼」と比べてしまうので、この映画の展開や映像の引きの無さと言ったら…。

☆★★★★

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