トランスポーター

2012年02月04日 土曜日

何度見てもヘラヘラ、ニタニタして見るしかない、ジェイソン・ステイサム主演、リュック・ベッソン製作・脚本の映画「トランスポーター(The Transporter)」。

この映画はさっぱり分からない事ばかり。
人殺しも見殺しな程自分の決めたルールは絶対的に守るはずなのに、序盤であっさりそれを破って荷物の中身開ける主人公。話が展開しないから行き成りのちゃぶ台返し何だろうけれど、ルールに縛られている設定なのにいきなり投げ出し、またそのルールも変。自分の名前を継げないは当たり前だけれど、受取人の名前を聞かないと言うか言わせない。だったら、誰に渡すかも分からず、置いて来るだけだったら、誰かに持って行かれてしまうかも。運び屋の仕事が良く続けていられる仕事の雑っぷり。更に、相手の話をメモに取るけど、そのメモを速攻で燃やす訳分からなさ。多分書いて覚えないと覚えられない人なのかなぁ…。
主人公が間抜けなら、警察も敵も馬鹿。刑事は、強盗に使われた自動車は同じだけどナンバープレートが違うからとそのまま帰るし、主人公の自動車が本人は盗まれたと言っているけれど、離れた場所で爆破されトランクからは警官の死体が出ているのに「警察署に来てね。」で帰るし、主人公の家が銃撃、爆破されて警察署に来たのに話を聞いてそのまま帰らすし、こんな刑事ばかりだから犯罪者がのさばっているんだねとしか言えない程の頭の悪い人物設定。その割に渋めの刑事にしていて、これは笑わす為の人物設定や脚本ではでもないらしいし…。
馬鹿なのは敵もそうで、彼らはやたらと爆破が好き。運び屋の主人公を情報が漏れない様に始末するのに、その場で後ろから撃ち殺せば静かに済むのに、他人に気付かれる様にわざわざ爆弾運ばせて大袈裟に爆破したり、わざわざ自分達の存在を気付かせる様に主人公の家を大量銃撃、ミサイル爆破するし。
この登場人物全員馬鹿で何がしたいのかさっぱり分からないのは、何故そうなのかの感情の動きや説明が無いし、映像的に派手な見せ場や展開だけを求めて、整合性何てクソ喰らえな脚本だから。だから「何?何故?」ばかりで「あ~あ。ベッソン…。」と言いながらヘラヘラするしかない。

それ以外も気になるのは、何故かヨーロッパの狭い道でのカーチェイスは、脇道や角から人が出て来ない。大通り以外はもぬけの殻。角から子供が出て来て「ドン!グチャ…。」なんて映画はないだろうけれど。更に、007ばりの改造車なのか、助走短く、ジャンプ台とか何も無いのに手すりを飛び越えるスーパーカー…。
笑ったのは、海中を通り脱出する場面。音楽が今までの派手な感じから行き成りエリック・セラみたいで、画面も「グラン・ブルー」。犯罪に加担する男と、彼に犯罪者から守られる女性って「レオン」だし、どんだけ過去の栄光を使い回すんだ、ベッソン。更にその脱出場面から振りも無しの唐突なラブシーンにも笑った。最後の方にも水中に逃げ込む場面があるのだけれど、そこでも音楽はやっぱり「グラン・ブルー」風。
また、この映画ではご丁寧な事に、銃撃場面では「スターウォーズ」のブラスターや、「スタートレック」のフェイザーの様に銃弾の後を光線が追い駆けて弾道を分かりやすく示してくれる。普通のマシンガンなのに…。

何より問題なのは主人公演じるジェイソン・ステイサムだろう。彼も結構色々な映画出て有名な割りに、男前でも無し、男受けする様な感じでも無しで、古今東西有名なアクション俳優はいたけれど、誰よりも魅力を感じない。格闘場面は香港アクション映画っぽく、それなりに上手いんだけれど、だったら香港映画の役者の方が凄いしで、何だか微妙。だけれど、後半の一人ムキムキで胸毛ワッサの上半身裸で闘っているのはニタニタし、その後の皆でオイルレスリングには爆笑。ウルトラお笑いクイズかと。

これ変な映画で、説明が必要な馬鹿みたい行動を皆で続け、「トランスポーター」と銘打っているのにトランスポートするのは前半30分位でその後は一切無く、後半はジェイソン・ステイサムのニタニタするお笑いアクションで、見終わると「これって運び屋の映画だったはず…。」と訝しく、それ以外でも小首を傾げまくって終わって行く。
あの良かった映画を撮るリュック・ベッソンではなく、アレなリュック・ベッソンが良く出た映画。

☆★★★★
 
 
関連:トランスポーター2
    トランスポーター3 アンリミテッド

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