トランスポーター3 アンリミテッド

2015年11月10日 火曜日

リュック・ベッソン製作・脚本、オリヴィエ・メガトン監督、ジェイソン・ステイサム主演の2008年のフランス映画「トランスポーター3 アンリミテッドTransporter 3)」。

運び屋の依頼を断ったフランク・マーティンだったが、彼の家に代役に推薦した男が自動車で突っ込んで来た。自動車から運び出すが爆死。フランク・マーティンも殴られ気を失い、気が付くと依頼を断ったはずの依頼主の元に連れて来られていた。爆発する腕輪を付けられ有無を言わさず運び屋の依頼を受けさせられる事になる。

このシリーズ、見てはいるけれど、全く内容に覚えが無く、どれもつまらないと言う事しか覚えていない。
三作目になるので、このブログを探ってみたら何とはなしに、「自動車で物を運ぶ運び屋が、輸送物の秘密を知ってしまい命を狙われる」という内容を思い出した。
ただ、前作の「トランスポーター2」は確かアメリカで子供のお迎えしていたはずなのに、何でか今作はフランスに戻って来ている。

流石リュック・ベッソン脚本だけあって、常に細かい部分で引っ掛かる所ばかり。
序盤でも、自分の替わりに推薦した運び屋が自分の家に自動車で突っ込んで来るけれど、その相手はフランク・マーティンが自ら推薦しているのに相手の免許書を見てその彼だと気付くという「全く顔も知らないのに推薦していたの?」という不思議な一幕を入れるし、後部座席に寝ている女性に全く気付かなかったり、フランク・マーティンが殴られ気絶するけれど、その敵はどっから急に現れたのかとか、序盤から「ん?」と引っ掛かりっぱなし。
爆発する腕輪も、始めの代役の男は自動車から離れてから大分暫く経ってから爆発したり、フランク・マーティンも自動車からどう見ても20m離れているのに爆発しないとか都合の良さしかないし、もしもの時の為に遠隔で爆破させる事の出来る装置位付けておけよ…と思わざるを得ない緩い設定。遠隔装置がないからわざわざ何人もの部下を追い駆けさせる必要が出て来ているし。
何より自動車を強奪されて逃げて行く自動車を必至に追い駆けているフランク・マーティンが、本来なら必死に走っている時に腕輪がピコピコしているカットを入れて「自動車から離れて爆発しそう!!」という緊迫感を出せば良いのに、腕輪を見せるカットすらなく、ただ追い駆けているだけ。この腕輪を活かした緊張感が全然無い。こんな腕輪の設定をわざわざ入れたのに、それを活かさないって、何?

その後も、ずっと敵は誰で、ジェイソン・ステイサムは何を運んでいて、どうするべきなのかが示されないまま1時間程進み、これが興味を引く謎なら見てられるけれど、ただグダグダと導入の導入を引き伸ばして進めている感じしかなく、一方で終盤になって敵の意図が見えて来ると敵のアホさばかりが際立って、よりどうでもよくなって来るという不味い構成。

大勢の部下がいて、相当な資金力や技術力があるのに、外部の人間に安全策として腕輪なんか付けさせて追跡までして運び屋として雇ったりするなら自分達で娘を運べばいいのに何しているんだろう?とか、娘を誘拐して脅して契約書に署名させても、娘を返したり殺したりすれば後から大臣が全部暴露して敵方は終わりじゃん?とか、その場さえ何となく劇的と言う感じで進められたら問題無いという、まさにリュック・ベッソン的な詰めもしていない適当な脚本の展開で辟易する。

一番「ん?」と思ったのは、ダムに自動車を突っ込んだ場面。まだ、タイヤに注入した空気で息をするのは分かるけれど、その空気を袋に入れて自動車を持ち上げるって、それって本当に出来るの?どんだけ空気が入っているの?と言うのもあるし、そもそも浮かぶ分の空気があるなら始めから自動車浮くんじゃないの?と思うのだけれど。
これ見たら、「キン肉マン」の夢の超人タッグ編のロビンマスク対ネプチューンマン戦で、ロビン・スペシャルの途中でネプチューンマンがロビンマスクの鎧を剥がしたら鎧の重みで落下速度が早くなったというのを思い出した。元からあっても外に出したら色んな物理法則が変化するって…。
まあ、この後の直ぐに、水没した自動車がそのまま何もしなくても速攻で順調に走り出すからなぁ…。

それに、ジェイソン・ステイサムの映画を何作も見てもどれもおもしろくないのでわたしがジェイソン・ステイサムが好きじゃないというのはあるのにしろ、この映画のアクション場面が全然燃えて来ない。ジェイソン・ステイサム自体が、少し見ればジェイソン・ステイサムだ!と分かる様な個性的なアクションが無く、特徴の無いアクションをするけれど、「チンピラが襲って来る。ジェイソン・ステイサムがやっつける」という単調なアクション場面が何度もあるし、そのアクション場面も1カットを短く編集して速さを出しているつもりだけれど、誰が何しているのか分かり難くなってしまうという、B級映画やビデオ映画で近年よくある悪いアクションの見せ方やっているし、ジェイソン・ステイサムが殴った直ぐ次のカットでは前のカットのジェイソン・ステイサムの向きとは反対向いていて、ただでさえ短いカットの連続の中で何がどうなったのかを更に分かり難くする様な演出やカメラ撮りしていて、これは監督の問題だし、アクション場面の編集が良くない気がしてばかりだった。

ヒロインのヴァレンティーナ役のナタリア・ルダコーワの顔面の斑点の様なシミばかりが目が行って物凄い気になる。別に何かの病気とかじゃあないんだよね。

敵役で「プリズン・ブレイク」のティーバッグ役でお馴染みロバート・ネッパーが出ているんだけれど、役自体はリュック・ベッソンだけあって安っぽさと言う意味で酷い悪役だけれどロバート・ネッパーの迫力でまだ持たせてはいる。それでも、ボスなのにちょっとイラッとしただけで部下を撃ち殺したり、必死にフランク・マーティンを連れて来て運び屋にしたのにちょっとした事だけですぐさま殺そうとしたりと、常に無謀で馬鹿でしなかい悪役なので、流石にロバート・ネッパーが真面目な顔して演じていてもやっぱり馬鹿にしか見えて来ない。

この映画、流石リュック・ベッソン製作・脚本だけあってつまらない。しかも、監督を一作目と二作目のルイ・レテリエから変えたけれど、この監督のアクションは見難いし、所々の演出や編集も不味いと思うし、一作目にあったような全身油まみれのヌルヌルアクションみたいな馬鹿馬鹿しさも無く、そもそもアクション場面が少なく、終始地味でアクション映画としてもつまんなくなってしまった。あ、元々一作目も二作目もつまんなかったけれど…。
ただでさえ、リュック・ベッソンとジェイソン・ステイサムの個々の映画でわたしは当たらないのに、その二人が合わされば、そりゃあ当たらないよな…。

☆★★★★
 
 
関連:トランスポーター
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