ワイルドカード

2015年11月11日 水曜日

サイモン・ウェスト監督、ジェイソン・ステイサム主演の2015年の映画「ワイルドカードWild Card)」。
ウィリアム・ゴールドマンの小説「Heat」が原作で、ウィリアム・ゴールドマン自身も脚本を書いている。

元特殊部隊の兵士だったニック・ワイルドはラスベガスで警備会社とは名ばかりの用心棒稼業をしていた。
ある日、元恋人が暴行された相手を見つけ出し、復讐をする為にニック・ワイルドに依頼して来た。

偶々、Xbox360のカナダタグにしてみたら、この映画が「週末は無料」という表示が出ていたので、わたしは寧ろジェイソン・ステイサムは好きじゃない俳優ではあるけれど無料だったので見てみた。ただ、英語字幕も無いので細かな台詞までは分からず、大体で見ていたけれど大体で十分な映画。

人の良い用心棒が元恋人に頼まれてマフィアをボコボコにして、彼らが持っていた金を奪い、それでギャンブルして、マフィアが金を取り戻しに来る話で意外性も面白味も大して無いし、ジェイソン・ステイサムが主演なのにアクション場面はほとんどなくて終始退屈。
主軸となる元恋人への暴行犯との対決は、引っ張る割に彼らを手早く見付けて、彼らの元に乗り込みあっさり倒して、その後主人公とマフィアの間に調停役が入って対立を治めるものの、やっぱり襲って来て倒すという、真っ直ぐ過ぎて本当に盛り上がりの無い展開。元恋人も後半でもう一絡みがあるのかと思いきや全く出て来ないし。
その敵も力を持っているはずのマフィア達が素人並みの弱さで、簡単に主人公にぶっ倒されて行くだけで、一方的に主人公が暴力を振るうなんて何だかスティーヴン・セガール映画を見ているみたい。ジェイソン・ステイサムは省エネ・アクションしかしないスティーブン・セガールよりは当然動きは良いけれど、アクションは大しておもしろくない。

もう一つの話の軸としては、金持ちの若者サイラス・キニックが主人公を用心棒にと依頼する展開があるけれど、特にギャンブルもせず、直接的に主軸の展開に関わって来る訳でもなく、依頼主が個性的脇役なだけで、結局最後のハッピーエンドの為の金づると言う事だけの様に思うし。

中盤の見せ場である主人公のポーカー場面は、急にツキが付いて次々と勝って行き、大稼ぎだったけれどこれまでの生き方から更に一発勝負し見事に負けるという展開だけれど、これまた意外性も無い、物凄い在り来たりで「そうなるだろうなぁ…」という展開以上の展開を見せず、「ふ~ん…」でお終い。

元々、ジェイソン・ステイサムでハードボイルドやられてもなぁ…というのが大きい。ジェイソン・ステイサムってカッコ付けても全然格好良くも感じないし、渋さを出す演技してもぬらりひょんみたいな風貌と低く落とした声にしても何だか渋さが無いし、この映画の内容でわざわざジェイソン・ステイサムにする必要も感じられなかった。普通にハードボイルドするならもっと適当な俳優がいるだろうし、ジェイソン・ステイサムにしてしまったのでどうしてもアクション場面が入るけれど、クレジットカードで切り付けたり、ペンダントを忍者の様に投げ付けたりしてハードボイルドの雰囲気の中で面白のアクションを狙い過ぎだし、バターナイフとスプーンで戦うなんて最早笑かしにかかっていて、物語部分とアクション部分とのチグハグさが大き過ぎてしまう。

この映画、無茶苦茶つまらない訳ではないけれど、決しておもしろい訳でもない映画。サイモン・ウェストの映画って「トゥームレイダー」にしろ、「ゲットバック」にしろ、「エクスペンダブルズ2」にしろ、つまらないか、おもしろくもつまらなくもない物足りなさばかりが残る映画ばかりの印象。それにジェイソン・ステイサムの主演映画も中々当たりが無い。

☆☆★★★

« | »

Trackback URL

Leave a Reply