トランスポーター2

2012年04月17日 火曜日

前作が酷い出来だったのに何故か続編が出来てしまった「トランスポーター2Le Transporteur 2)」。

今回も同じ監督ルイ・レテリエで、何より脚本がリュック・ベッソンなので、前作同様どうでもいい感、しょっぱさばかり。彼方此方での何のこっちゃな脚本の不可解さに整合性を求めていたら疲れて来る、リュック・ベッソンにだけ都合が良いと言うか、リュック・ベッソン節満開。しかしそれも、前作の様にヘラヘラ馬鹿にしながら、突っ込みながら見る位まで酷くないのが、逆に酷い。普通に出来の悪い映画でしかないのが前作よりも悪い所。ジェイソン・ステイサムのアクションも普通。前作のヌルヌルオイルアクションの様な馬鹿みたいなのも無いし。
続編の「2」なのに、前作との繋がりさえ分からないぶった切り感。何でジェイソン・ステイサムがアメリカにいるのかとか、前作のスー・チーとはどうなったのかとか。前作に引き続き出て来たタルコーニ警部は、前作は渋いつもりなのにただの間抜けな刑事だったのに、今回はアメリカに遊びに来ただけのコメディーリリーフになっていて、前作の人物とはほぼ別人。全く持って何故出したのか分からない。主人公でさえ、前作の後半からトランスポーターでさえ無くなっていたのに、この映画は初めから子供の送り迎えしかしていないので、トランスポーターの危険な物を運んでいるというおもしろささえ無い。
また、この映画で一番目立つ主人公の自動車も扱いは酷い。初めから子供を迎えに行った時は前面に「W12」とエンブレムが入ったアウディA8に乗っていたのに、家に辿り着くとその「W12」のエンブレムがないアウディに乗り替わっているし、カーチェイス場面でも同じシーンなのにカットが変わるとこのエンブレムがあったり無かったり別の自動車に度々変わったりする。しかも、このアウディはどれだけ銃撃されようが、コンクリートに突っ込んだり、爆発しても、一切傷が付かない究極使用。ここはスポンサーだからなのか、提供してもらったからなのか、逆に扱いが丁寧過ぎ。

久々に地上波のテレビ放送で見たけれど、やっぱり酷い。この映画88分と1時間半も無いのに、放送枠は2時間10分。1/3近くの40分は宣伝かよ。それに右上に著作権保護の言い訳の為の放送局のロゴが入っているのに、更に左上に「トランスポーター2」と分かり切った題名を入れ続けているのは何なのだろう。そして一番訳が分からないのは、途中に入る「フランクが語る トランスポーター スーパーアクションベスト5」。一体何の為に入れ込んでいるのか分からない名場面集。しかも「フランクが語る」と銘打っておきながら、ジェイソン・ステイサムが語る訳ではなく、井上和彦が語っているし。中でも何よりクソなのが、編集。10時を過ぎると登場人物の名前と、その人物の置かれた立場が字幕で入り、視聴者に丁寧な作りと見せかけて馬鹿にした構成。なのに更に短く話をまとめたモノを入れるし。見せ場のアクション場面は良い所で切ってCMへ。CM開けたらその少し前から再開して、アクション場面の結末を見せる編集。おお、クソだ。クソ過ぎる。
日曜洋画劇場って45周年らしいけれど、昔ってこんな酷くなかったと思うのだが…。淀川長治の解説があったり、昔は丁寧な作りだったと思うのだけれど…。こんな酷い作りなら、45周年を期に終わらせた方がよっぽど良い。やっぱり地上波テレビの映画放送、特にキー局の映画放送は見るべきじゃない。

ただでさえクソな映画なのに、地上波放送の酷過ぎる作りで、何倍もの酷さに膨れ上がってしまった。それにやっぱりジェイソン・ステイサムはぬらりひょんにしか見えず、彼の出ている映画は外れしかないという思いは確信になった。

☆★★★★
 
 
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