シザーハンズ
2012年02月01日 水曜日監督ティム・バートン、俳優ジョニー・デップ、音楽ダニー・エルフマンと言えば今では最高の取り合わせ。その三人が初めて揃ったのは「シザーハンズ(Edward Scissorhands)」。「フェイク」に続いてジョニー・デップが出演している映画。
この三人の魅力が爆発している。
ティム・バートンな原色とりどりの1960年代風の町の世界観と、「バットマン」や「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」の様なゴシック的退廃的ダークファンタジーな異質なエドワードの世界と別け、それを合わせ一つの世界にして、自分の好きなモノ、したい事をはっきりと映像化。この頃の異質な人間に対する愛情は半端無く、それをきちっと見せる上手さは流石。
ジョニー・デップは台詞は極端に少なく、顔と動きで微妙な心の機微を表し、既に演技は抜群に良い。
ダニー・エルフマンは、少し聞けばダニー・エルフマンと分かるメロディーで、ワクワク感と、そして哀しさを盛り上げまくる。
それぞれがそれぞれの個性やしたい事をはっきりと、これでもかと前面に押し付ける、擦り付ける様な濃さが気持ち良さを作り上げている。愉快で哀しい少し昔のお伽話としても心地良いのだけれど、映画に対する情熱が心地良い。
話としては、何で鋏ありきでエドワードを創ってしまったのかとか、その巨大な氷はどっから持って来たのかとか、違和感がある部分はある。エドワードを創る時に、絶対「え~と鋏は…。」って無駄に探したはずだし。それを差し引いても切ない話は最高に良い。
ティム・バートンは、21世紀以降、ヘレナ・ボナム=カーターとの間に子供が出来た位から、名前が大きくなってバジェットが大きくなったのもあるし、それによってマーケティングが厳しく成らざるを得ないと言うのもあるだろうけれど、何だか普通なハリウッド映画を撮る様な、今まであった端っこを堂々と突っ走る様なアニマ感が薄れた感じがするのだけれど、初期の映画はその一般的受けよりも自分のやりたい事をやっていて好き。この「シザーハンズ」も製作陣、俳優陣ががっしり組み合って非常に素晴らしく、気持ちの良い映画になっている。
この映画は「シザーハンズ」とばかり思っていたけれど、それは邦題だけで、原題は「Edward Scissorhands」と人としてのエドワードと、人造人間のシザーハンズが入っている。見終わると確かに「シザーハンズ」じゃあなく、「Edward Scissorhands」。パニックモンスター映画じゃあなく、人として生きたいけれどモンスターでもあるのだから「Edward Scissorhands」。
☆☆☆☆☆