フェイク

2012年01月31日 火曜日

アル・パチーノジョニー・デップ共演の映画「フェイク(Donnie Brasco)」。

原題の方の通り、ドニー・ブラスコとしてマフィアに潜入捜査した捜査官の話。
潜入捜査となると、段々と人間関係が濃くなり、正義を貫こうとする自分と、彼らに肩入れし出す自分の間で揺れ動くと言うのはお決まりで、これもそうなのだが、小説を読むかの様にじっくりと、じっとりと手に汗をかく様に進んで行く。そして、アル・パチーノ、ジョニー・デップ二人の濃い男達の演技で飽きさせず、始まりからこの二人がどうなるのかで、一気に最後まで行く。アル・パチーノはやはりな鋭い、圧倒的な圧力の目力で存在感と演技は半端無く、ジョニー・デップは若い、何と言って良いか分からない戸惑いの表情を見せつつも芯の通った顔を見せる演技で、二人の物語にしている。ジョニー・デップはエンターテイメント志向の奇異な人を演じるよりも、こう言った硬派な映画で、普通の人を演じた方がより魅力的。
ただ、潜入しているのにどこぞの食堂で堂々と出会ったり、そこはどうしているの?という、脚本の抜けている所はある。また、これが実際の潜入捜査官とマフィアの物語を基にしているとは言え、最後があまりに素っ気無い、これまでの事を考えると急に投げ出した感じがするのが勿体無い気がする。幾ら実話を基にしたと言っても、もう少し劇的な幕引きもあっただろうにと思う。その終わりで、今までの緊張感や見入る展開が急にしぼんで、全体のいまいち感に繋がっている。

話も、演出も地味で、劇的な展開を期待する映画ではなく、アル・パチーノ、ジョニー・デップを見る映画。黙って語る男二人を見る映画。二人を見る分だけ、このドニー・ブラスコとしてジョー・ピストーネが実際に6年間もマフィアとして潜入捜査していた話を知る分には足りない部分は多く、ドニー・ブラスコとしての行動だったり、心情を知るなら、ドキュメンタリーだったり、この映画の原作となった、本人ジョセフ・ピストーネが書いた「フェイク マフィアをはめた男」の方が良い気がする。

☆☆☆★★

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