あゝ結婚

2012年01月30日 月曜日

ソフィア・ローレンマルチェロ・マストロヤンニ共演の映画「あゝ結婚(Matrimonio all’italiana)」。

この映画、コメディとして紹介されているのだけれど、正直コメディなのか、ドロドロした恋愛話なのか良く分からない。金持ちのやりたい放題の中年紳士と、若い売春婦の縺れまくる恋愛話なのだけれど、中盤で行き成り騙し合いの罵り合いでニタニタする様な展開へ。かと思いきや、結婚と子供の話でまたもや縺れまくる男女関係に。真面目な話を目指しているのか、笑いを誘おうとしているのか、展開が振れるので良く分からないけれど、話自体は結構おもしろい。常に二人の関係がドロドロ、グダグダし、恋愛悲劇として楽しい。好き放題で無責任な男と、恐ろしい程の底力な女性。人間臭い執着が、哀しくも滑稽に描かれ続ける。
マルチェロ・マストロヤンは見るからの伊達男、イタリアン種馬が金持ったらこんな感じの象徴的な男性で、初めは渋く洒落ていてカッコ良かったのだが、それが看板だけと分かり始めると、そのバカさ加減に呆れ果てるコメディアンに。それを芯からそう見せる、マルチェロ・マストロヤンの演技や表情の上手さにニタニタしてしまう。一方のソフィア・ローレンも、この映画の製作年が1964年なので当時30歳だけれど、10代の頃は活き活きとした少女っぽさが抜け切らない可愛い女性を、40代の頃は生活にも彼にも疲れた、凄みを持った迫力ある女性を演じていて、非常に魅力的。二人がこの映画後共演した「ひまわり」はさっぱり良いとは思えなかったけれど、この映画の二人は本当に活き活きと、しかも真正面からぶつかり合い、とても良い。監督は同じヴィットリオ・デ・シーカだけれど、こちらの方が良いと思う。
しかし、良く分からない事も。最後の方、二人の溝が開き憎しみ合い、どうなるのかのと思ったら、唐突に仲直りしたのが一体何故?ソフィア・ローレンの計画の一部だとしても、本気で愛し合っていたにしても、何かの振りも無く急なのでさっぱり。そして、三人の息子達。状況をすんなり受け入れて、「母さん。父さん。」ってどんだけ素直過ぎるんだ。この出来過ぎた息子達に、二人の為の作り物感を感じ過ぎた。

愛と憎しみの恋愛物語として、終始揉め、やり合う姿にグイグイ引っ張られ、飽きる事無しに魅せられ、なかなかおもしろい映画。

☆☆☆★★

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