ブリジット・ジョーンズの日記
2012年07月02日 月曜日ヘレン・フィールディングの小説の映画化したレネー・ゼルウィガー主演の映画「ブリジット・ジョーンズの日記(Bridget Jones’s Diary)」。
おばちゃん化している30代前半の女性が一念発起し、恋に走り、その建前と本音を日記に綴ったというお話。
始まりの、何とか良い女になるべくの努力までは分かり易い成長譚でおもしろいけれど、それ以降特に変化らしきモノも無いのに、何で急にブリジット・ジョーンズがモテ始めるのかが特に描かれる事も無いので、さっぱり着いて行けない。
正直、ブリジット・ジョーンズを巡って、ヒュー・グラントとコリン・ファースが喧嘩を始めた時は失笑。「21世紀になってもこれしてしまうんだ!?」と、むしろ感心。古今東西「私の為に…。やめて!」って大好きなんだなぁ…。これが男女逆だったら、気持ち良い話にはなりゃしない。
全体的に、女性の本音や現実的な恋愛を描いたというよりも、努力の結果ではなく、努力の素振りさえ見せれば良い男がホイホイ寄って来たり、仕事に対する職業意識は無く、適当にしているのに上手く行ったりと、「こんなだったら良いなぁ…。」な願望をとにかくぶち込んだ少女漫画みたいな、現実味は何処へやらなコメディ。
話はシラッしてばかりだけれど、役者陣はなかなか良い。
レネー・ゼルウィガーは至って普通の、中年に足をかけようとしているけれど足掻いている女性を好演している。きっちり太って冴えない感じをバリバリ出して、非常に自堕落で、普通に悪態付く、自然な女性を演じていて、非常に良い。ただ、普通な女性として結構魅力的ではあるけれど、もっと若い子や、モテる様な女性は大勢いるはずなのに、何か特筆する様な魅力がある事も無い女性を、劇中で良い男達のはずの二人がどうしてそこまで惚れて奪い合うのかが無いので、話は飛躍し過ぎ、現実味が無さ過ぎて、しっかり役を演じているレネー・ゼルウィガーが勿体無さ過ぎる。
ヒュー・グラントは、如何にもイカした優男な髪型、服装で、カリカチュアし過ぎな人物になっていて、登場で笑ってしまった。痩せぎすで、口が上手く、胡散臭さったらありゃしない。こちらも優男をしっかり演じているけれど、やっぱりあんまりカッコ良いとは思えない。
コリン・ファースも、堅物で無表情だけれど、心では揺れ動く人物を演じているのに、惚れる理由がさっぱりなので、せっかくの役がいまいち生きて来ない。
そう言えば、初めの頃は日記風の独白の演出でブリジット・ジョーンズの気持ちを描いていたのに、何時の間にやらその演出はどっかへ行き、日記はむしろ恋愛を展開させる為の物としての小道具へと変わっていたのに、何か違和感。
この映画、女性の評判は良く、男性の評判は良くない様だけれど、とするならやっぱり女性の願望であって、男性からするとブリジット・ジョーンズがモテまくる現実味の無さが気になり、現実にブリジット・ジョーンズがいても、こんな事ありゃしないという結論になってしまうのか。
女性の「自然という名の下、自分は特に努力する事も無く、モテたいだけ!」の理想の恋愛を描いた、気持ち良いだけのオナニー映画見せられた所でどうせいっちゅうのだ…。男性が中心の、男性視点の気持ち良いだけの恋愛映画の自惚れっぷりも酷いけれど、その逆も相当…。
理由無きモテさ加減の都合の良い展開に置いてけ堀で、役者が良く演じている分、こんな話どうにかならんかったのか?と強く思い、残念感一杯。
これ、映画で一時間半位でまとめたから、都合良過ぎな展開になっているけれど、連続TVドラマでやったら、結構おもしろいコメディになるんじゃないかと思うけれど。
☆★★★★