ロシュフォールの恋人たち

2012年04月11日 水曜日

ジャック・ドゥミ監督のミュージカル映画「ロシュフォールの恋人たち(Les Demoiselles de Rochefort)」。

この映画、LONG VACATIONのケラことケラリーノ・サンドロヴィッチがヴォーカルだけれど「(♪ミャオミャオミャオ~)中野テルヲさんも、歌うこの曲」「Video Killed the Radio Star(ラジオ・スターの悲劇)」のカバー曲「憧れのミュージカル・スタア ~ラジオスターの悲劇~」の中の「♪ウェストサイドも悪くない だけどやっぱり僕はロシュフォール」で印象に残り、見てみたかった映画。
しかし、ミュージカルとは知らなかったのでがっくり来た。
やっぱり急に揃って踊り出せば頭のおかしい人にしか見えずゲッソリして来るし、皆の急な踊りの入りにはゲロ吐きそうになる。
普段は普通なのに音楽が鳴り出し歌い出すとわざとらしい動きと、「どうイカしてるでしょ!」な決めで小寒過ぎるし、白けまくり。
特に問題なのが踊る人達が皆踊りがそんなに上手くない事。
決めがきっちり揃わないし、バレエっぽさがあり、バレエとしてはそんなにでもないと思うし、日常の中のバレエはより滑稽さしか出て来ないし。
話的にも、前半から後半までずっと恋に落ちそうだと匂わせるだけでこれと言った展開も無いのに延々と引っ張るのはきついし、恋の切なさも歌で歌ってしまうので何ら染み入る所も無いし。
やたらと狭い所で恋の話が展開するけれど、気になる人同士はすれ違いというのは結構おもしろいのに映画的には結構間延びしている感じ。
途中で急に出て来た殺人事件は何かあるのかなと思わせといて新聞の記事だけで片付け、特に何でも無いのは一体何だろうと思い調べてみたら、監督のジャック・ドゥミの初監督映画が「ローラ(Lola)」で、それとの繋がりで出て来た様だ。
でもこの映画単品だとこの話は何のこっちゃでいらない。

ただ音楽は最高に良いし、素晴らしい。
この音楽・歌でPVがただ連続するモノだったら幾らでも見てられるのに。
正直、この映画は別にもう一回見たいとは思わないけれどサウンドトラック、スコアのCDは欲しいし聴いていたい。
歌は吹き替えなのかアテレコなのか、口と合っていなかったり、セリフはその場の録音なのに歌では声が前に出過ぎていて音楽から浮いている感じがするので映像的にはいまいち。
衣装と言い、装飾と言い、1960年代ヨーロッパの原色的ポップさと渋さを兼ね備えた洒落た雰囲気は抜群。
ただ、登場人物がその洒落た雰囲気を作り出す為に台詞が自分に酔い詩的に語るのは鼻に付き、そこから歌に入るのはがっつごおり。

ミュージカル映画に対して「ミュージカルじゃあなければなぁ…。」と言うのは筋違いなんだけろうけれど、やっぱりミュージカル映画は駄目だ…。
でも雰囲気と、それ以上に音楽が素晴らしい映画。

この映画で一番「あっ!」と驚いたのは、双子姉妹のソランジュが「アメリカ人に惚れたかも。」とデルフィーヌに打ち明け、部屋の呼び出しベルが鳴り、その時言った「彼かも(seigneur,si c’était lui?)」が、LONG VACATIONのアルバム「PLATINUM NIGHT」の中の「プラスター・プレイス」の頭のサンプリングだという事に気付いた事。

☆☆☆★★

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