幸せのちから

2012年04月10日 火曜日

ウィル・スミスが実の息子ジェイデン・スミスと親子役で共演し話題になった映画「幸せのちからThe Pursuit of Happyness)」。

前半一時間位希望の見えない鬱屈とした話で段々と気が滅入って来る様な展開。それが徐々に良くなり、上手く行っていると思ったら、やっぱり抜け出せはしない、この悶々とやっぱり滅入る展開に辛くなって来る。この延々と続く苦難の道の中で小さな息子と二人という設定と、初めの段階で自伝的に独り語りが入っている時点で何か逆転があるのだと早い段階で気付き、しかもまあその振り通りの特に捻りの無い結末であっさり終わってしまい、結構白けて来る部分はある。
それに原題でもあり、果たしてあるのかと悩む「幸福の追求」が、結果金持ちになる事というで、子供も大金も手に入れたければとにかく後先考えず突っ走れというだけの結末に至り、その肩透かし感は凄い。原題の大上段に構えた命名も何のこっちゃ感は強いけれど、邦題の「幸せのちから」も何のこっちゃ感は強い。諦めず、利用出来る周りの人間は上手い事言って利用し、金は払わず踏み倒すのが「ちから」なのか?
展開にしても、ただ貧乏の辛さを描き、泣いて下さいのお涙頂戴ばかり。それなのに、今まで大して売れていなかったあの機械は切羽詰まったら売れ始め、全てを失ってから会社での営業成績が上がり、それって主人公がよっぽど追い詰められないと出来ない人で、周りの人に迷惑ばかりかける自分勝手な人物で、結局口八丁でのし上がったので、まあ見ていても泣ける訳でも無し。
他の部分でも、前半の振りとしては「数学の才能を持った主人公が、その才能を使い何かを成しそう」なのに、その才能が如何に成功に繋がったのかは一切描写が無いので、何の振りかは分からず仕舞い。子供が原動力になっているという描写も少なく、父親として生きる事を決めたという強い決意もあんまり見えて来ない。
役者は、ウィル・スミスとタンディ・ニュートンが二人とも本来は輝いているのに冴えない、疲れた感じが出ていて、特にウィル・スミスは何時もと違う結構普通なおっさんの雰囲気で良い感じ。息子スミスは演技をしているけれども、相手が実の父親だからというのもあるのだろうけれどそれ程わざとらしくなく、子供そのまんまで良い感じ。報われはしない話の中で、彼がいるので少しの優しさを与えてくれるけれど、それが更にウィル・スミスの哀しみを引き立てる役で、一番のおいしい役でもある。

これ1980年代が舞台なのだけれど、あんまり80年代に見えないんで、80年代と分かってちょっと驚いた。それにこの映画の基となったクリス・ガードナーの半生はこの映画とはちょっと違う。顔を見てみても、何だか物凄いやり手のビジネスマンの顔で、息子思いの父親というこのウィル・スミスとは何か違う感じ。最後の親子二人が話している場面で、急に歩行者が現れ、何の演出だと思ったら彼がクリス・ガードナー本人。正直この場面ではいらない。演出上もそうだけれど、このウィル・スミスがその如何にも金持ちそうなクリス・ガードナーだと気付かされると、何か台無し感が強い。

全体的に「めでたし、めでたし。」になるから泣いて下さいと言っている様で、泣く気も無く、どんな展開が待ち受けているのかで見ていると大して劇的な展開が無いので、背の高い梯子を一気に外される。どんな生活から、どう苦労して、どんな方法で成功したのかを描いた話なはずなのに、どんな方法で、がほんの少ししか描かれていないので、何だか非常に配分が悪く、結局「泣ける映画」という、まあつまらない分野の映画になってしまった感じの映画。

☆☆★★★

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