エイリアン2

2012年06月20日 水曜日

20世紀、新たなモンスター映画として名を残した「エイリアン」の続編「エイリアン2(Aliens)」。

一作目の密かに迫り来るエイリアンを踏襲し、更にアクション映画として発展させ、それが上手い方向へ爆発した続編。
何と言っても、この追い詰められてからの一気に畳み掛ける感と、その鬼気迫るアクションが見所。ジェームズ・キャメロンの演出の上手さ。二作目だから詳しい説明を省けるというのもあるし、エイリアンがどんな物か観客は知っているから、大いにエイリアン登場まで引っ張る。一時間位はエイリアンが出て来ないけれど、それでも緊迫感を削がず、常にワクワク感を持って見ていられる。あの星に戻るまでは非常に静かに進んで行き、各人物を見せるけれど、そこから一気に奈落の底へ落とす展開は、分かっていても息をのむ。緊張と緩和の連続で目が離せないが、実は緩和の部分が一番緊張している事に気付く。緊張の場面は、かぶりついて、のめり込んで見ているから気が付かないが、それが終わり静かな場面になると、次は何だと期待して待っている事に気付き、それで緊張を意識する。
展開だけでなく、今ではそれ程先に進んではいなくなってしまってはいるけれど、SFガジェット、小道具を使った演出も上手い。動体探知機は前作以上に、見えないが迫り来るエイリアンを間接的に視覚的、それ以上に聴覚で効果的に緊張感を盛り上げている。現場の個人個人がカメラを付け、その映像を離れた指令室から見るというのは今では良く使われる手法だけれど、これではモック的効果と、現場が見えている分何が起こっているかははっきり見えないので恐怖を煽る効果もある。
ただやっぱり、その後半のエイリアン登場からの印象が強過ぎて、前半はどんな入りかさっぱり忘れていた。

前作のシガニー・ウィーバーは若々しかったけれど、今回のシガニー・ウィーバーは最強のシガニー・ウィーバー。ただ、始めの方は常に緊張して、神経質な顔で、他の海兵隊と表情の差はくっきり。終りのエレベーターでの、一気に準備して、一瞬静かに目を閉じ、扉が開く所なんて、ゾクゾク感は半端無い。映画史上に残る最高に盛り上がる場面。今回のシガニー・ウィーバーは、脚本や演出もあるけれど、シガニー・ウィーバーの魅力が爆発している。
一作目を見た時にも思ったけれど、アンドロイドのランス・ヘンリクセンってこの二作目からだったのか。一作目は別人の悪い方のアンドロイドで、こっちが良い方のアンドロイド、ランス・ヘンリクセンというのを忘れ、どっちもランス・ヘンリクセンだった気がしていた。アンドロイドはハンス・ヘリクセンとの印象が強過ぎる。

一作目から60年近く経っているのに、機械類は1980年代風は変わらない。ブラウン管に黒背景に緑文字って、如何にも80年代SFで、別時間線の未来としてはワクワクするガジェット。
そして、あのローダーがカッコ良いのは、兵器じゃなくて作業用機械だから。兵器ロボットって普通だけれど、周りが重装備の海兵隊なのに、一番強いのが作業用機械というのが良い。

見る前は「エイリアン2」なのだけれど、見終わると「Aliens」がしっくり来るし、寧ろ「Aliens」なんだと強く思う。

昔は「続編は外れが多い」だったけれど、ここら辺から「シリーズモノは二作目が傑作」に変わって行き、まさにエイリアンシリーズも二作目が傑作。主人公リプリーと観客の心の動きが合致し、まるで観客がリプリーになった様な気にさせる。上手い映画は何時の間にか、知らず知らず自分が映画の中に入っていて、映画が終わった事によって映画から抜け出す、そんな感じを味わえる。

☆☆☆☆☆

« | »

Trackback URL

Leave a Reply