ゴジラvsキングギドラ

2015年03月14日 土曜日

大森一樹監督・脚本、豊原功補主演の1991年の映画「ゴジラvsキングギドラ」。
ゴジラシリーズの18作目、平成vsシリーズ3作目。

東京上空で謎の飛行物体が出現。
それに乗った人々は日本政府と接触して来て、自分達は未来人で過去を修正する為にやって来たと言う。
彼等は将来日本を壊滅させる事となるゴジラはビキニ環礁で行われた核実験によって誕生したと言い、過去に戻りゴジラになる以前の恐竜を移動させようとしていた。
それが成功し、現在に戻って来るとゴジラは消えていたがキングギドラが現れていた。

前作の「ゴジラvsビオランテ」の直接の続編だけれど、そことはあんまり関係無く進んで行く。

何作かキングギドラが登場する映画見たけれど、何でかキングギドラが登場する映画って脚本が珍奇な印象が強く、そしてこれも。
終始何か訳の分からない展開が続き、見ていても「ん?ん?」と引っ掛かってばかりだし、本気なのか馬鹿馬鹿しさを狙ったコメディなのかが判断が付かない事ばかり。
そもそも何で未来からテロリストがやって来て過去を変えてゴジラを消し、キングギドラを出して来る様な回りくどい上にグダグダした展開にする必要があるのか?とか、その話に全く必要無いフリーライターが主人公である必要があるのか?とか、話の前提からして「何?これ…」感が凄いけれど、その話の端々も「何じゃこりゃ?」な事ばかり。

大型肉食恐竜が核実験でゴジラになったから遺伝子操作された奇妙な小さいペット用生き物ドラッド三匹が核実験でキングギドラになるだろうという大分適当な作戦でキングギドラを上手い事作り出したりしている都合良さに加え、過去に戻ってゴジラを消したはずなのに、ゴジラになる前の恐竜を移動させた場所に偶然にも最近原子力潜水艦が沈没してゴジラになるという都合の良さしかない展開とか、過去でキングギドラが生まれてゴジラが消えたのなら現在の世界では大分歴史が変わっているはずで、ゴジラは日本を襲っておらず、主人公達が現在に戻って来たら「ゴジラ?それ何?」状態の世界になっているはずなのに皆はゴジラの存在は認識していて、ゴジラの替わりにキングギドラが誕生したのだからキングギドラが襲っているかと思いきや、それも無いらしいのに何故か皆が「キングギドラ出現!」と言っていてキングギドラの存在を知っていたりするので、もう訳が分からない。
短期間に勢いだけで書き上げて、そのまま作ってしまったかの様なグッダグダの脚本。

その他も未来人達が主人公のフリーライターや恐竜学の博士を連れて過去に戻るけれど、未来人達が全て対処して彼等は全く必要無いのに何で連れて行ったのかはよく分からないまま。
その時未来人が連れて行くアンドロイドM11に対して、そもそもロボットっぽさが一切無いのに「まるで人間だわ!」と言わせるのは、予算が無くて人間がそのままロボットを演じているという事に対する自虐ギャグなの?
そのM11が下半身を一切動かさず、手を振って高速で飛んでいるのか、それとも走っているのか全く分からない爆笑移動をしたかと思ったら、今度は早回しで高速で走っているという馬鹿みたいな演出とか、これも笑かしにかかっているんだよね?
それにM11はアンドロイドなのだからもっと普通に日本語喋ればいい…と言うか、吹き替えで良いのに、何故か英語訛りの上手くない日本語喋らせていたりするのも笑かし所?

恐竜博覧会という子供向けの催し物を開いている会社がトンデモない大会社で海外に核兵器を搭載した潜水艦を持っているとか、この会社の規模やしている事のチグハグさも笑いの部分?

当時イケイケのバブル経済絶頂期の日本とは言え、21世紀にはドンドン成長して赤字の国を買収して巨大国家になるとか、これが大人が考えた真面目なSFなのか、バブル期の調子乗った冗談なのかもいまいち分からない。

今見ても、謎の円盤型飛行物体から「未来人だ!」って出て来たのがチャック・ウィルソンだとニタニタしっ放しだけれど、当時もこの配役って笑かしの配役だったんだろうか?
その他にもケント・ギルバートとか、ダニエル・カールとか、ジェフ・バーグランドとか、日本で活躍している外国人芸能人が総登場的な所もちょっとおもしろい。

配役で言えば土屋嘉男や上田耕一も無茶苦茶で、ゴジラ前の恐竜に日本軍が遭遇するのが1944年で、隊長の土屋嘉男や兵士の上田耕一ってその時でもおっさんにしか見えず、この映画内の現在が1992年だけれど、48年後の現在は一体何歳なんだ?
二人共20歳には絶対見えないけれど、20歳としても70歳前になるし、30歳なら80歳?土屋嘉男が隊長で40歳位なら90歳?

23世紀のタイムマシンも作っている様な進んだ科学技術なのにブラウン管モニターを使って、正に1990年代前半的なCGが表示され、超高性能アンドロイドに何枚も光学ディスク入れたりと、これは当時の限界として仕方ないかとは思うけれど、それにしてもタイムマシン以外のSFガジェットの発想の貧困さ、安っぽさはどうにかならなかったのだろうか?

この映画、何よりも脚本が酷過ぎる。
こねくり回した割にそれに何の意味があったのか分からないゴジラの破壊に落ち着くから前半は全然いらないし、何よりその前半の引っ掛かる部分の連続する細かい所なんて放棄した話を見せられるしんどさったらない。
タイムマシンで時間移動と過去の改変をやっているのにそこが一番適当で、ゴジラとキングギドラを戦わすという映画の展開の都合だけで諸々を無視して展開して行くというどうしようもない脚本に辟易。

★★★★★
 
 
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