ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
2022年12月18日 日曜日マイケル・ドハティ監督・脚本、カイル・チャンドラー主演の2019年のアメリカ映画「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(Godzilla: King of the Monsters)」
ゴジラ映画としては2014年の「GODZILLA ゴジラ」の続編の二作目。
モンスター・ヴァースとしては三作目。
一作目から五年後。
世間に巨大怪獣の存在が知られると世界各地に休眠状態の巨大怪獣が何体も発見され、その監視を秘密組織モナークが行っていた。
モナークの一員であるエマ・ラッセル博士は怪獣と交信出来る装置オルカを開発し、孵化したばかりのモスラの行動をオルカを使って制御した。
そこに謎の部隊が入って来てエマ・ラッセルと娘を拉致しオルカも奪った。
これを知ったモナークの芹沢猪四郎博士はエマ・ラッセルの夫マーク・ラッセルの下に行き拉致された家族を助け出す為に協力を得た。
エマ・ラッセルを探す芹沢猪四郎とマーク・ラッセル一団は五年間静かだったゴジラが行動し始めた事を知る。
謎の部隊はエマ・ラッセルを連れて南極に氷漬けになっているモンスター・ゼロをオルカを使って復活させようとし、ゴジラも南極へと向かい始めた。
Amazon プライムビデオで配信が終わりそうだったので見てみようと思い、一作目は確か見たはず…と思ってこのブログを調べたら五年前に見たと出て来たけれど五年前なので忘れているし、かつ一作目が全然だったので記憶が薄くなっているのかと思って改めて一作目を見てからこの映画も見てみた。
一作目がゴジラの初登場なのにゴジラよりもムートーの方が出番も説明も多いとか、芹沢博士はどれだけ人が死のうが「ゴジラを信じろ」だけで進めてしまう意味不明さとか、人間側の話のつまらなさとかでつまらなかったけれど、その続編はそれ以下のつまらなさだったかもしれない。
ゴジラは相変わらず何故他の怪獣と戦うのか?何故人間側についている感じなのか?とかはよく分からず、芹沢博士も相も変わらず「ゴジラは人間の味方」「ゴジラは自然の調和を取る」とかそれが何故なのかの理由も説明も無いままに押し切り、あれだけ町を破壊し人々を殺しまくっているにも関わらずゴジラを良い者にしたがる芹沢博士は終始ゴジラ狂信者にしか思えずついて行けず。
しかも、キングギドラや他の怪獣を復活させて町を破壊させて人々を殺して世界を浄化!と言っている敵側と、ゴジラが世界を救う!と言う芹沢博士が言っている事ややっている事が大して違わないので主人公側の正義の人であるはずの人物に共感出来もしないままで話が進んで行ってしまい、更に息子を殺されてゴジラを憎み、それでも何とか生きて来たマーク・ラッセルが何だか理由もよく分からないまま芹沢博士に共感して「ゴジラは良い者だ!」となって、誰にもついて行けず。
モナークの人々って、大勢の生死よりも怪獣様を信じなさい!ってこんな人間ばかりだから、そりゃあ世界各地が壊滅するよなぁ。
もしかしてこれって、自然や科学技術の脅威に対して馬鹿が管理するとトンデモない事になるよ!トンデモない被害を出した馬鹿でも称えれば英雄だよ!って言う皮肉なんだろうか?
だとしたら、この映画後の新型コロナ禍の日本や世界を予知していて凄い…という訳じゃあないか。
怪獣に関しても、ゴジラは前作から登場していたので飲み込めはしたけれど序盤のキングギドラが出て来た所で一気に安っぽくなって白けてしまった。
わたしは昭和ゴジラシリーズは全部見て、その時はその時代性や子供向け怪獣映画として怪獣も「まあねぇ」で受け入れられたけれど、これだけお金をかけて、結構大人向けにしている内容であの造形のキングギドラが出て来て、更に宇宙怪獣という話まで出て来るとどうしても安っぽ過ぎて駄目だった。
見て行くとゴジラとモスラが共闘したり、他にも怪獣が出てきたりと、ああこれは昭和ゴジラシリーズの中期以降の怪獣集合の怪獣プロレスをやっているのかと分かり、そのパロディ的な映画としてならおもしろい?のかもしれないけれど、それでもパロディ的ではなく多分真面目に大人も見れる大作映画として作っているのだろうと考えると結構きつかった。
もう、最後の方は出ている役者が真剣に演じれば演じる程何だか気の毒になってしまった。
モンスター・ヴァースとしてまだまだ続編は作る気だろうに、この早い段階でモナークの中心人物だった芹沢博士が死んでしまった時には「ああ、渡辺謙、これ以上やっても損すると思ってこのシリーズに見切りをつけたんだろうなぁ…」って思ってしまったし。
その渡辺謙は一作目でも思ったのだけれど英語が下手なので演技が下手に見えてしまう。
これって、日本人役だからわざと下手な英語と言うかディフォルメした日本人英語で喋っているんだろうか?
そうだとしたら例えばアメリカ人が英語で喋っている時は普通の演技なのに多分その場の指導で覚えた下手くそな日本語で喋ると一気に演技が下手にしか見えなくなるのと同じで、演技よりもまず英語でしょと思い続けていた。
怪獣部分もこの真剣な雰囲気を作っておいてゴジラが熱線吐いたり、キングギドラが雷線吐いたりしたら見た目の派手さはあるけれど子供向け昭和ゴジラシリーズと何が違うの?で雰囲気はどっかに行ってしまうし、キングギドラが謎能力で他の怪獣を制御したり、キングギドラに勝ったゴジラに他の怪獣が跪くとか、もう白けまくり。
やるんだったらキングギドラはM宇宙ハンター星雲人が操っていたとか、サングラスをかけただけの伊武雅刀が「私がX星人です」とか言わせないと流石に笑えもしない。
あと、音楽もよくなかった。
オリジナルの伊福部昭のゴジラのテーマの編曲版が使われていたけれど、何で二作目からで急にだし、使うなら一作目でだしでゴジラのテーマが流れて来ても燃えなかったし、怪獣大集合なんだから怪獣大戦争マーチの方だろとも思ってしまった。
モスラの歌も出て来たけれど、わざわざ双子設定なんだからチャン・ツィイーに「♪モスラヤ~モスラ~ ドゥンガンカサクヤン インドゥム~」って歌わせないと。
この映画、人間側は誰にもついて行けずに置いてけ堀で、全体的に真剣な雰囲気なのに怪獣達のノリだけは昭和ゴジラシリーズなのでチグハグ。
怪獣プロレスも物足りずで結局何も楽しめずにお終い。
☆★★★★
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