ゴジラ 60周年記念デジタルリマスター版

2014年09月03日 水曜日

本多猪四郎監督・脚本、宝田明主演の1954年の映画「ゴジラ」。見たのは「60周年記念デジタルリマスター版」。

日本近海で貨物船が沈没し、その救助に向かった貨物船も沈没。生き残った船員が流れ着いた大戸島では、昔から海に住む怪物の仕業ではないかと言う話が出ていた。やがて大戸島にその怪物ゴジラが現れ、東京にも上陸し、町を破壊して行く。

ゴジラと言えば、子供の時にはまだ映画シリーズが公開されていて、確か見に行った覚えもあり、その時から「着ぐるみのちゃちな夏休みの子供向け映画」という印象だったけれど、「初代ゴジラは真面目な社会派映画」と聞いてはいて、今回見てみたらまさにそうだった。
水爆や戦争、自然災害に対する隠喩という部分が大きくもありつつも、でっかい怪獣が暴れて町を壊すという娯楽映画でもあり、1954年にこれだけ色々盛り込んで社会派と娯楽の間で作り上げた映画としては素晴らしいモノがある。
ただ、ゴジラという娯楽映画の要素が大きいので分かり難くなっている部分もあって、どう判断してよいのかが難しい。中盤以降の東京の破壊は、この当時なら太平洋戦争の東京大空襲を思い出す事は分かるし、描写や演出もそうなのだけれど、ゴジラ自体は戦争の隠喩という部分は少なく、むしろ海から来て海に戻って行き、町を順番に破壊して行く台風の様な感じで、ゴジラ自体と人々に起こっている出来事の乖離がどうにもピンと来ない。漁師達の間ではゴジラが怪物ではあるけれども日本的神として扱われていた様に自然災害の象徴としての神として理由無き、どうにも出来ない存在のゴジラなら納得も出来るけれど、だったら最終的にゴジラを殺してしまうのもしっくり来ない。最終的に人間の科学力で何とかなってしまうというのは、そこのおごりを映画内で散々水爆でやっていたにも関わらず、結局は人間がどうにか出来るって、扱っている題材の否定なんじゃないの?結局、企画で色々な人の色々な案が出て来て、それを突っ込んで混ぜたので何だかよく分からない話になってしまった感がある。

これまでのゴジラシリーズは子供の時に見たはずだけれどあんまり覚えていないので、「ゴジラって、こうだったはず…」という曖昧な印象だったので、この映画での設定が結構意外だった。
ゴジラって、てっきり水爆実験の放射能の影響で巨大化した何かの生き物だと思っていたけれど、この「ゴジラ」だと元々海に住んでいる怪物で、ある地域の漁師達が昔から生贄を出したりしていて、結構昔から知られていた存在だった事が意外だったし、水爆実験よって生活環境が破壊されたゴジラがしょうがなく出て来たというのも意外。それに見た目は、今の体が地面と水平なティラノサウルス型ではなく、かつての垂直二足歩行のティラノサウルス型なので陸上生物かと思ったら、水棲爬虫類、水生恐竜から陸上獣類に進化する中間の生物らしい事も意外。ただ、それを言っていたのが、何故かジュラ紀を200万年前と言っている志村喬演じる古生物学者なので、ゴジラの出生や生活環境に関する事は一切信じられないのだけれど。
このゴジラの設定は、1960年代から1970年代まで位によくあった「放射能で超能力が!」という、結構粗いSF設定でなくて中々良いし、日本的神としての存在でもあって良いのだけれど、ゴジラは謎の燃える風を口から吐いたり、どれだけ銃や戦車や大砲で撃たれても傷付かないし、血も流れないし、一切ひるまないという無茶苦茶な設定や演出でやっぱり子供向け映画。水生恐竜でもあるのに、水中を泳がずゆっくり二足歩行しているゴジラには笑ってしまったし。
それと、散々何か怪しい生き物がいるらしい…と引っ張った割に、昼間にあっさりとゴジラを山影からヌッと顔を出させてしまい、この後の夜の場面でのゴジラは非常に恐怖感があって良いのに、初顔見せがそれ程恐怖も無いし、むしろ可愛さもある演出って何だろう?

あと、おもしろかったのは科学者の扱い。志村喬演じる古生物学者は、次々とゴジラの謎を解明して行く賢い人なのに、散々町が破壊され、多くの人々が死んでいるのに「ゴジラは研究資料として大事だから殺してはいけない!」と言うし、もう一人の平田昭彦演じる芹沢大助は、水中の酸素を破壊し物質まで液化するというオキシジェン・デストロイヤーという訳の分からない物を発明して、危険な事も分かっているのに何故か作り置きしていて、「社会に貢献している科学者って結局はマッドサイエンティストじゃん!」という相当な皮肉や自戒が入っている。でも、そのマッドサイエンティストが世界を救うのだから、更なる皮肉。劇中で散々言っていた水爆批判がオキシジェン・デストロイヤーが大量破壊兵器でもあるけれど人間を救うので、単なる水爆批判にもなっていないのが更にいまいちピンと来なくなってしまう所ではあるのだけれど。

ゴジラの大きな要素として伊福部昭の音楽もあるけれど、あの有名な「怪獣大戦争マーチ」って、映画「怪獣大戦争」用の曲かと思ったら、この映画でも「フリゲートマーチ」として同じ旋律で使われている。ただ、早さは遅いので1.2倍速で見たら「怪獣大戦争マーチ」になった。

この映画によって、これ以降にゴジラシリーズが作られる事も分かるし、非常に社会的で子供向けではない事も分かるけれど、やっぱり人が入っての二足歩行の着ぐるみ映画であるのでどうしても滑稽さは拭えない。それに自然と科学を扱ってはいるけれど、最終的に人間がどうしようも出来ない自然を科学で克服してしまうので、結局何処を目指して描きたかったのかいまいち分からないし。
本来なら邦画でこの第一作目の「ゴジラ」を描き直し、作り直すのが筋なんだろうけれど、邦画だと未だに着ぐるみで子供向け映画でしかなくなる恐れもあるし、何より現実味のある大作怪獣映画を真面目に作れる資本も技術も無いからこそアメリカで「GODZILLA ゴジラ」が作られるんだろうなぁ…。その「ゴジラ」の予告編を見てみたら、変にヒューマンドラマにしている感じだし、ゴジラはCGで生物以上の有り得ない動きをしているしで、邦画とハリウッド映画、着ぐるみとCGの良し悪しも出ている様で、どっちもどっち感はあるのだけれど。

☆☆☆☆★
 
 
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