怪獣島の決戦 ゴジラの息子

2022年05月11日 水曜日

福田純監督、高島忠夫主演の1967年の日本映画「怪獣島の決戦 ゴジラの息子
ゴジラシリーズ八作目。

太平洋のゾルゲル島では将来の人口増加で起こるであろう食料危機対策の為に国際連合が気象コントロール実験を行っていた。
その実験を開始するが妨害電波の為に失敗。
島は高温となり、元々生息していた巨大カマキリが更に巨大化しカマキラスになってしまった。
カマキラスは巨大な卵を地中から掘り起こし、その中からゴジラの子供ミニラが誕生。
妨害電波は卵からミニラが発しており、それに応じてゴジラが島に上陸。
更に巨大な蜘蛛怪獣クモンガも現れた。

Amazon プライムビデオでゴジラ映画の配信が終わりそうだったので、まだ見ていない映画を見てみようと思い、前作に続けてこの映画も見てみた。

出演者が高島忠夫平田昭彦佐原健二久保明土屋嘉男といったゴジラシリーズや東宝特撮映画によく出ていた役者が多くて、まるでオールスター映画っぽくて、そこではおもしろかったけれど怪獣部分が微妙。

前作「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」に引き続き南海の孤島だけで話が進んでいるけれど、前作がスパイ映画乗りな悪い謎の組織と戦う主人公達だったのが、今回は当時現実的な人口増加による食料危機を扱っており、意外と真面目。
今だと人間の生活環境の変化を抑える為の気象コントロールになるけれど、この題材は当時っぽい。
ただ、気象を操って農地に適さない所で食料を作ろうと考えているのだけれど他の地域の気候がどうなろうと無視だし、これだと数日毎に合成放射能を空中にぶちまけないといけないけれど放射能危険過ぎない?と思ったり。

登場人物達の描き方も微妙で、高島忠夫はただ真面目で正義感のある科学者なのか、施設が壊滅しても仲間が危険でも実験を続けようとしているヤバい科学者なのかいまいち判断のつかない中途半端な人物だし、側近の平田昭彦は部下の精神が大分危険な状態に陥っているのに外部と連絡を取らせない為に通信機を壊すヤバい人物なのにそんなに悪そうに見せないし微妙な描き方。
土屋嘉男も序盤から精神的にヤバくなっているという振りを何度も入れて、大分追い詰められてしまって銃をぶっ放すという事になったけれど、それ以上特に何かも無く、高島忠夫がかすり傷を負っただけでそれが何かに発展する訳でもないというよく分からないままで終わってしまう人物の描きも何だかなぁ。

人間側の話はそれなりにポンポンと進んで行くのだけれど怪獣の話になると間延びしまくり。
わたしはこの時代の子供ではないのでミニラとか、子育てするゴジラとかってこの当時はおもしろかったのだろうか?とよく分からないまま見ていた。
ゴジラはミニラを気にしている様で全然気にしていなかったりして何だかよく分からないし、そもそもこのゴジラが卵を産んだの?産んで土を被せてどっかに行った?とか、卵のそれまでを何も見せないので訳が分からないまま。

敵となる怪獣も微妙で、前作のエビラに続き現実の生物が大きくなっただけで怪獣としてのおもしろさが無い。
ゴジラ対でっかい生き物って当時はおもしろかったのだろうか?
前作のエビラに引き続き捻りの無いカマキラスやクモンガという命名もしょっぱい。
ただ、クモンガの八本足の操作は見事。

役者はお馴染みの人達が大集合で、ヒロイン?の前田美波里は綺麗。
この前田美波里は高橋メアリージュンに見えて来た。

この映画、何故か前作に続き日本とは関係無い南海の孤島で怪獣ではなく巨大生物と戦うゴジラという既視感や、今見るとおもしろいのかつまらないのか分からないミニラという要素を追加していて何だかよく分からない映画で、結局オールスター的な役者を見て楽しむ映画かな。

☆☆★★★
 
 
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