ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃
2014年09月10日 水曜日金子修介監督・脚本、新山千春主演の2001年の映画「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」。
ゴジラシリーズの25作目、ミレニアムシリーズ3作目。
ゴジラが50年ぶりに復活し、古代からくにを守るとされて来た三体の護国聖獣を蘇らそうとする老人がいた。
そして、その三体とゴジラが戦う。
これ、第一作目の「ゴジラ」はこの世界ではあった事で、それ以降は無かった事になっており、ミレニアムシリーズ3作目なのに何度目のリブートなんだ…という設定。
しかも、ローランド・エメリッヒ版の「GODZILLA」はあった事になっている様だし、どうしたいんだ…。
導入のこれまでの映画との関係性から既にグチャグチャしているけれど、話もグチャグチャ。
これまで一応はSF路線であり、確かにこれまでもSFじゃなくてファンタジーの要素の方が多分にあったけれども、原爆や戦争、自然災害の隠喩として描かれて来たゴジラが今作はそこら辺は曖昧と言うよりも止めてしまって、思念がどうのこうのでもうグッチャグチャ。
ゴジラに兵器が効かないのは死んだ人の思念が集まったからとか、もう意味不明。
しかもこの設定が何かに発展する訳でもなく、投げっ放しジャーマン状態で捨てっ放し。
護国聖獣達も50年前のゴジラの時には出て来なかったのに、小さい石像を倒すと復活して来るお手軽便利屋で、護国聖獣と言うけれど別に人間を守る訳でもないし、町を守る訳でもなく、単にゴジラと戦う為の言い訳の為の設定で、この小賢しい感じが嫌。
もうこの映画でこれまでの説明されていない部分を「あ、それは魔法ですから。」と言ってしまい、悪い意味で開き直った感しかしない。
モスラがゴジラに分解され、そのモスラの粒子がギドラと合体し、空飛ぶキングギドラに変身するなんて、1993年の「ゴジラvsメカゴジラ」で死んだゴジラに死にかけたラドンがおぶさってゴジラ復活した位意味不明の御都合展開。
人間側の話も要はゴジラや護国聖獣を説明する為だけのモノで、新山千春が命の危険まで冒して映像を撮ろうとするやる気の原因もよく分からず、父親のゴジラに対する思いも全然前に出て来ないし、他の人もどの人も深くは描かないままとにかく詰め込んだ感がして誰もが薄っぺらく、皆一生懸命に演技はしているので可哀そうになって来る。
他のゴジラでもそうだけれど、ゴジラや他の怪獣が出て来ると人間側の話のどうでもよくなってしまう感じがこの映画でも大いにある。
話も微妙なんだけれど役者の方も微妙。
主人公である新山千春は「ジャングルTV」後で、それなりにテレビに出ていたはずなのに演技が下手。
下手と言うか、何か変。
空気の漏れた喋り方する。
しかも、新山千春の父親役の宇崎竜童も演技下手。
だからの親子役なんだろうか。
この親子の会話なんて見てられない…。
防衛軍の会議の出席者は宇崎竜童や石田太郎、村井国夫、大和田伸也、渡辺裕之と余りに濃過ぎる人達が揃っていて、見て笑ってしまった。
大和田伸也の演技って本当のシリアス演技なのか、わざとらしさを出して笑かそうとしているのかよく分からない。
その他にも長髪のかつらをかぶった佐野史郎とか、小便中に踏みつぶされる温水洋一とか、モロ師岡、松尾貴史、村松利史、近藤芳正、徳井優、角田信朗、山寺宏一とか有名な役者をちょこちょこ出して「どう!分かってるでしょ!豪華でしょ!」的な、一番嫌いな日本映画のお遊び感が物凄く鼻に付く。
でも、今見ると「凄い!チューヤンだ!」ってなった。
特撮は頑張ってはいるけれど、やっぱり着ぐるみ怪獣映画。
ゴジラの破壊を余り見せず、町に起こった出来事を間接的に見せている演出は良いし、なるべく実写と怪獣を合成して本物感は出してはいるけれど、怪獣同士が出会うと急にミニチュアセットでの着ぐるみ対決になってしまい、「あ~あ…」感一杯。
ゴジラの上手い破壊の演出も初めの方だけで、後半の怪獣対決になると前半をすっかり忘れてしまったかの様な演出になるし。
CGも実写と結構上手く合成しているのに、遠景だと本来なら町の人が逃げ惑って車は渋滞しているかもう走ってはいないかなのにゴジラ周りに自動車が普通に走っているし、単に実写をそのまま合成しただけという物凄い手抜き。
「どうせ、これでいいでしょ…」感が物凄い。
CGや合成技術が発達して行けば行く程着ぐるみ怪獣の限界しか見えて来ず、もがけばもがく程自ら崩壊して行っている感じ。
それに今回のゴジラの造形がこれじゃない感が強い。
よく見ているとゴジラなんだけれど、パッと見るとあれっ?と思う違和感。
小太りと言うかブヨブヨで、それなのに元気に両手を振って歩く姿は酷い。
ゴジラの中の人の演技もわざとらしさしかないし。
常に白めのゴジラって、茹でた魚みたいで全然生気が感じられない。
人間側は過去ゴジラの襲撃があったので自衛隊ではなく防衛軍になっているのに兵器が大した事無く、戦車とか戦闘機も4・5台位しか出て来ない。
防衛軍なのに兵力がしょぼ過ぎる。
大怪獣は総攻撃するのに防衛軍の総攻撃感が一切無い。
多分、この時期でも着ぐるみ怪獣映画は限界だったはずなのに、それでも作るのは興行的に必要とされていたのだろうか?
CGを使い上手く合成すればする程着ぐるみ怪獣の限界しか見えて来ず、途中海を泳ぐCGのゴジラが出て来たけれど、その着ぐるみとの余りの差に「あ~あ。全編CGだよな…」と思ってしまった。
全編監督が張り切っている感じはするけれど、これまで数十年と変わりない着ぐるみ怪獣同士の戦いにすべりまくる小寒い笑いの要素をチョコチョコ入れ、安っぽい感動を入れ様とする所とか、安さと駄目な感じ一杯。
☆☆★★★
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