スター・トレック ネメシス
2026年02月23日 月曜日スチュアート・ベアード監督、パトリック・スチュワート主演の2002年のアメリカ映画「スター・トレック ネメシス(Star Trek Nemesis)」
スタートレックシリーズの映画としては十作目ではあるけれど、六作目までの映画はテレビドラマ「宇宙大作戦(TOS)」のその後を描いていたのに対し、七作目からは「宇宙大作戦」から百年弱未来を舞台にしたテレビドラマ「新スタートレック(TNG)」のその後を描いている映画四作目で最後の映画。
ジャン=リュック・ピカードが率いるU.S.S.エンタープライズEは惑星連邦とロミュラン帝国との間にある中立地帯近くの惑星からデータと同じアンドロイドから発せられる電波を感知したので調査に赴く。
その惑星でバラバラになったアンドロイドの各部を発見し組み立ててみるとデータとほぼ同じアンドロイドだった。
そこに宇宙艦隊司令部からロミュラン帝国内でクーデターが起こって新たにシンゾンという人物が長官となり、そのシンゾンは惑星連邦との交渉を望んでおり、一番近くにいるピカードにその任務が任せられた。
シンゾンと対面したピカードはシンゾンから自分はロミュランの陰謀によりピカードと入れ替わる為に産み出されたピカードのクローンだと聞かせられる。
シンゾンは惑星連邦との和平を望んでいると言ったが徐々にシンゾンのピカードや惑星連邦に対する憎しみが現れ始めた。
この映画もYoutubeで「宇宙大作戦」の映画が無料で公開しているという情報を見つけ、一作目から順番に見始めて六作を見終わり、「新スタートレック」の方の映画四作も公開されていたので「スタートレック ファーストコンタクト」に続けて見た。
「新スタートレック」の映画四作は全部劇場公開時に見に行ったはずなんだけれど、この映画はロミュランやピカードのクローンのシンゾン等は覚えていたけれど展開を全然覚えておらず、なので結構新鮮に楽しく見れた。
前作から増えたエンタープライズの日常だったり、今回はエンタープライズの宇宙戦が多めだったり、「新スタートレック」後の特別編の一話として見ると結構おもしろかった。
ただ、後から色々調べてみて知ったのは、この映画は「新スタートレック」の映画の中でも一番評判が悪いみたい事。
わたしは最近まで「新スタートレック」を見ていて、その後に映画をYoutubeで無料で続けて見て、更にこの映画の二十年後位に「スタートレック:ピカード」があるのを知っているという状況だと、この映画も「新スタートレック」から続くその後の流れの中の一話として見てしまっているのでそんなに気を張らずに見れたけれど、これが映画公開当時だと「新スタートレック」が毎週だったのが映画になって数年に一度になり、しかも前作から四年も経ってのこの映画で、しかもどうやら「新スタートレック」の映画はこの映画で終わりになるという状況だと確かにこれが最終回か…とはなるんだろうと思う。
わたしが公開当時に見た時も確かこれで「新スタートレック」の映画は終わりだと知っていたはずで、それでこの結末は悲し過ぎだと思ったはず。
今回は続編がまだあるのを知っているので「新スタートレック」の中の一話感覚ですんなりと見れて結構楽しかったけれど、この映画に限らず「新スタートレック」の映画は毎回脚本が微妙な所がある。
「新スタートレック」の映画では敵が、一作目は「スタートレック ジェネレーションズ」がクリンゴン。
二作目は「スタートレック ファーストコンタクト」がボーグ。
三作目は「スタートレック 叛乱」が新種族のソーナ人と来て、いよいよのロミュランが登場。
ただ、ロミュランが関わって来るけれど主の敵ではなく、ピカードのクローンのシンゾンが敵で、このシンゾンがピカードをもっと掘り下げる為の設定の敵だったなら意味はあると思うけれどそうでもなく、惑星連邦対ロミュランという構図にはなっているのにロミュラン側の顔になる敵がロミュラン人でもない地球人のクローンのシンゾンって大分微妙。
折角のロミュランを出して来ているのにロミュラン関連はあちこち微妙で、始まりからロミュランの最高評議会の人達が一瞬で全滅して、これは後の展開で必要になっては来るけれど、帝国内部でも陰謀や権力闘争が蔓延っているあのロミュラン人が一瞬で一気に権力が崩壊してしまうとロミュランが物凄くしょっぱくなってしまった。
軍部の後押しがあったとは言え、ロミュラン帝国でも奴隷的存在のレムス人が帝国の実権を握り、その指導者がピカードのクローンなのにロミュラン内部での抵抗が無いのも都合が良過ぎ。
巨大なシミターもレムス人が作れるだけの技術力があるんだったら今まで何して来たの?だし、ロミュランの軍部が支援していたらなら他のロミュラン人が全く気付いていなかったとか余りに間抜け過ぎで、諜報機関のタル・シアーとかはどうしていたの?だし。
そう言えば、この映画ではタル・シアーがどうしたのかという話も全く無かったし。
シンゾンが地球に攻める時もロミュランの軍が一緒に攻める気配も無く、何だかよく分からないまま急にロミュランの二隻の艦船だけがエンタープライズの助けに来たりとか、まあロミュラン側の描写がなおざり。
まあ、艦隊戦はしようとは思ったらしく、ただ登場艦数を増やすと製作費が余計に増えるので出来なかったらしいけれど。
シンゾンの誕生もロミュランがピカードの遺伝子をどうにかして手に入れたと言うだけのお座なりな説明だったり、何で地球人のシンゾンがレムス人を率いられているのかとか説明不足だし、シンゾンのピカードや惑星連邦に対する憎しみがいまいち分からなかったし、そもそもシンゾンとピカードが全然似ていないというのはしょうがないにしろずっと違和感しかなかった。
後から知ったけれどこのシンゾンってトム・ハーディだったのか。
データのプロトタイプB-4もデータの死亡とその後のデータ復活の希望として出して来たのは分かるけれど、そもそもシンゾンはどうやって何処で見付けたんだと疑問。
ピカードを誘き出す為に必要だったけれど、その為にわざわざ見付けに惑星連邦領域内まで探しに出たの?たまたまロミュラン帝国内で見付けたの?だったらヌニエン・スンが何処で何していたの?で、シンゾンがB-4を持っている都合の良さったらない。
それに、一惑星上にあるB-4からのポジトロニック波を大分離れた宇宙空間で捕捉出来るモノなの?と思うし、余りに長距離過ぎるのでシンゾンが罠の為に敢えて増幅させたなら、それを罠だと誰も疑わないのも間抜けだし。
そう言えば、B-4の回収時に襲って来たレムス人ってシンゾンは何の目的で襲わせたのだろうか?
あと、一番疑問に思っていたのがシミターの遮蔽で位置が特定出来ないと言っていた次の場面でデータがシミターに捕まっているピカードを救出しに来たけれど、これはどうやってだったの?という所。
てっきりシミターの位置を特定出来たから転送も出来たのかと思ったら、ピカードの救出後のエンタープライズはまだシミターの位置を特定出来ていないままだったし。
それに映画だと他のスタートレックシリーズの他の映画と似た様な展開や題材を使い回すのは何なのだろう。
シンゾンはピカードに対する憎しみで戦艦で攻めて来るとか、終盤でデータが自分の命を捨てて艦長を守るとか「スタートレックII カーンの逆襲」っぽいし、ロミュランの高官を殺害して帝国と惑星連邦が戦争になりかけるけれどそれを解決して和平に近付くとか「スタートレックVI 未知の世界」っぽいし。
それにディアナ・トロイの精神的強姦は「新スタートレック」でも何回かしていて、毎回「何だろう、これ?」と思っていたのに映画でもまたするのかと思ったし。
やっぱり映画でのピカードのカーク化の進行が気になり、今回は進んで上陸任務に行き、しかもバギーを乗り回して「ヤッホー!」になっているし、上陸任務を止められたら無視しろとか言い出すし、惑星連邦の理想は全種族との種族を超えた統合だとか「宇宙大作戦」の初期の強引なカーク的と言うか、ほぼボーグな事を言ったりとか、「新スタートレック」の冷静で理性的で艦長としてどっしり構えたピカードが良かったのに、何がきっかけでこうなってしまったのかもよく分からず。
結末も一応B-4にデータの全データを複製していたのでデータの復活の希望は見せてはいたけれどデータが死亡。
データと仲の良かったジョーディ・ラ=フォージのデータに対する想いの描写場面は無く、ウィリアム・ライカーもこれまで他の艦での艦長職を断って来たのに何の理由なのか説明もないままエンタープライズから離れるし、最終話にしては諸々描きが足りなさ過ぎる。
前作がそんなに評判が良くなかったからか「新スタートレック」の制作陣ではない人を監督や脚本に持って来たからのこの感じなのか。
編集で切られた様だけれど、最後にエンタープライズに新しい副長がやって来てのやり取りが撮影もされていて、まだその場面があった方がこれから新たな形のエンタープライズで続くという事ではその未公開の方の最後が良かったのにとは思った。
一方で艦隊戦は多めで、ばんばんフェイザーや光子魚雷を撃ちまくっていたし、ロミュラン艦が助けに来たりとかの展開も良かったし、エンタープライズをシミターにぶつけるのも映像的にも派手でおもしろくはあった。
ただ、スタートレックの船って結構早めに防御シールドが剥げるし、シールドが無くて船体に攻撃が当たると直ぐ爆発する印象だったので、この映画でのエンタープライズって相当装甲が厚いんじゃないの?と思って見ていた。
これもテレビでの時間内での戦闘場面と、ある程度時間が取れる映画の差からの演出でしかないんだろうなぁ。
この映画が前の映画から四年後という事もあってか急にレギュラー陣が老けていた様に見えた。
ピカードは初登場からおじいさん感があって老けをあんまり感じないけれど、改めて映画一作目の「スタートレック ジェネレーションズ」を見ると若い感じがして、この映画では老けていた感じ。
ライカーは前作で髭を剃って初期のライカーに戻ったけれど評判が良くなかったからか、やっぱり髭面に戻っていて歳を感じないかと思ったら、もみ上げから上の辺りに白髪が生えていて、そこで歳を感じてしまった。
データは映画一作目辺りから顎周りの肉が増えていて、アンドロイドなのに太っちゃいけないだろと思ってしまったのでデータの死亡もしょうがないのかとも思った。
映画一作目から八年経っているし、「新スタートレック」のシーズン1から十五年経っていれば、そりゃあ皆歳は取るか。
レギュラー陣で言えば、初めのライカーとトロイの結婚式でガイナンがいたのは分かるのだけれど、ウェスリー・クラッシャーがレギュラー陣と並びの席に座っていたのはどうしてなんだろう。
一切台詞や説明が無かったのでよく分からないまま。
こういう所でちょっとした言及もないのが何とも。
それに「新スタートレック」の準レギュラーでもあったし、もうこの映画の時には「スタートレック:ディープ・スペース・ナイン」が終わっていたのでマイルズ・オブライエン出て来ても良かったのに。
「新スタートレック」のお馴染みの顔では他の人は各映画に登場していたのにマイルズ・オブライエンって結局映画には登場しなかったのは残念。
他の役ではロミュランの軍人を見て、この人もしかと思い調べたら、やっぱり「24 -TWENTY FOUR-」のマイク・ノヴィック役でお馴染みのジュード・チコレッラだった。
この映画、確かに「新スタートレック」全部の最終回としては物足りなかったり、描きが足りなさ過ぎていまいち過ぎはするんだけれど、この今、更にこの後の「スタートレック:ピカード」があると知って見ると「新スタートレック」の中の一話として見れてしまうのでそんなに酷いという訳でもなかった映画でした。
☆☆☆★★
関連:宇宙大作戦 シーズン1・2・3
映画スタートレックI・II・III・IV・V・VI
新スタートレック シーズン1・2・3・4・5
スタートレック ジェネレーションズ
スタートレック ファーストコンタクト
スタートレック 叛乱