続・片腕必殺剣
2026年06月01日 月曜日チャン・チェ監督・脚本、ジミー・ウォング主演の1969年の香港映画「続・片腕必殺剣(獨臂刀王 Return of the One-Armed Swordsman)」
過去を捨てて農夫として妻と暮らしていたファン・カンの下に二人の剣士が突然現れた。
二人は覇王城に居を構える八人の剣士の八大刀王の手下で、覇王城で開かれる武術大会への招待状をファン・カンに持って来たが、これへの参加を断れば無理にでも連れて行くと脅して来た。
その後、有名流派の師範剣士が息子達を連れてファン・カンの家を訪れ、八大刀王は各派の剣士を集めて全員を負かす事で武術界を支配しようとしている事を伝え来てファン・カンに助力を求めたが、ファン・カンは武術界から離れたと断った。
覇王城で開かれた大会では八大刀王達によって師範達は次々と殺され、各流派の若い息子達だけが残された。
息子達は集まって捕まった父親達を助け出す為にファン・カンに協力を求め、息子達を狙って殺しに来る八大刀王に怒りを覚えたファン・カンは息子達と行動を共にして覇王城へと向かった。
何度目かの昔の香港映画に興味が湧いた時期が来たので、「大酔侠」を見て、その続編的「大女侠」を見たので、続けてチェン・ペイペイの映画を見ようと思ったら、どうやら他の映画が配信が無かったので、じゃあ「大女侠」に出ていたジミー・ウォングの方の映画を見てみようと思い検索していたら、以前は配信が無かった「続・片腕必殺剣」があったので、以前に「片腕必殺剣」を見たけれどあんまり覚えていなかったのでざっと早送ったりして復習してから見てみた。
「片腕必殺剣」が悩める主人公を描く人間ドラマ重視の映画で、それが結構良かったのに、その続編は一作目の登場人物の役として強かった主人公をそのまま持って来てはいるのに内容も雰囲気もほぼ別物の剣劇重視の漫画的武侠映画になってしまっていて、これじゃない感が一杯で残念感が一杯。
「片腕必殺剣」が剣士として生きて来たのに片腕を切られて失意の主人公が人を不幸にするからという理由で武術に否定的ではあるものの、それまでの人生や因縁と向かい合うざるを得なくなる話だったのに、その続編が鎖鎌とか、剣先から弾?が発射される剣とか、車輪状の剣とかのそれぞれが特殊な剣を使う八人の非常に悪い剣士が次々と襲って来て、主人公側の若者と敵の手下達が次々と死んで行くだけの雑多な話になってしまっていて、別に「片腕必殺剣」の続編である必要も無い続編になってしまっている。
この映画だけ見れば、片腕の凄い剣士が違う拳法で攻撃して来る敵を次々と倒して行くハチャメチャ感のある映画でおもしろいのかもしれないけれど、「片腕必殺剣」の続編として見てしまうと大分駄目。
剣劇も、各敵が特殊な攻撃を仕掛けて来るのでそれに対処して戦うおもしろさはあるにはあるけれど、結局ジミー・ウォングが剣を振り回すと敵がやられるの繰り返しだし、突然ワイヤーアクションでジミー・ウォングが跳ぶというよりも飛ぶし、ある時はクルクル回転しながら飛んだりと、それまでになかった突然の超人的空中殺法をし出してしょっぱさ加減が増してしまうし。
敵も凄腕ではあるんだろうけれど基本的に姑息で、草木に隠れて襲撃するとか、剣だと思ったら弾?を発射して予想外の攻撃にやられるとか、最後の首領も先の折れた短剣かと思いきや先が伸びて普通の剣になり意表を突くとか、皆小ズルい。
そういう小ズルさが敵だからなんだろうけれど、そうなると敵が誰も彼も小物感しかなくなってしまってしょっぱさが引き立ってしまっていた。
あと良くないと思ったのは、登場人物達の描きの薄さ。
主人公の配下で多くの若者がいるのだけれど、彼らは皆同じ格好で一目では区別が付かず、彼らの事も大して描かないので、この人は誰だったっけ?の内に次々と何人も死んで行くだけになってしまうので身が入って行かない。
敵も流石に八人もいると多過ぎて、出て来て少し見せ場があって主人公に切り殺されて行くの繰り返しなので折角の敵の濃さになる設定も薄味で終わってしまい、主人公側の人物も敵も死んで行くだけの雑多な端役で全然役が立って来ない。
主人公も配下の若者が死んでもそれ程後悔や憎しみを見せないので感情が希薄で、特に見向きもせずに大量の死体の中を歩いて行くのには結構引いてしまった。
最後は、争いは醜い。何も無いと言った感じで去っては行くけれど、まあほとんどの人を切り殺していたのは主人公だったので、主人公に何かを背負わせるには主人公の描きが足りなかった。
この映画、「片腕必殺剣」が当たった事での続編は分かるけれど、最早「片腕必殺剣」の雰囲気も薄く、監督も同じなのに何故か娯楽剣劇武侠映画に振り切ってしまった一作目ぶち壊しな続編になっていて、「片腕必殺剣」の続編として期待して見ると大分肩透かしな映画でした。
監督も主演も違うけれど一応シリーズの続編となっている「新・片腕必殺剣」の方が「片腕必殺剣」の雰囲気を引き継いでいるという変な事になっている様に思えた続編でした。