嵐を呼ぶドラゴン
2026年06月19日 金曜日チャン・チェ監督・脚本、チェン・カンタイとアレクサンダー・フー・シェン出演の1974年の香港映画「嵐を呼ぶドラゴン(方世玉與洪熙官 Heroes Two)」
清の将軍によって少林寺が襲撃されて焼き討ちにされてしまう。
少林寺から逃げ延びる事が出来たホン・シークァン(洪熙官)は清の追手と戦いながら生き残った仲間を集めようとしていた。
少林寺の同門のファン・シーユイ(方世玉)はホン・シークァンに倒された清の追手に騙されてホン・シークァンを強盗だと思い、ホン・シークァンと戦って清に引き渡してしまう。
ファン・シーユイは少林寺の仲間の下へ行くと自分が兄弟子を清に引き渡してしまった事を知って後悔し、捕まったホン・シークァンを助け出そうとする。
何度目かの昔の香港映画に興味が湧いた時期が来たので幾つか古い香港映画を見ていて、その中で知ったチャン・チェの映画を続けて見てみた。
多分ジェット・リーの映画で知って名前を憶えていた有名な拳法の達人の方世玉と洪熙官が登場しており、どちらもそれぞれが主人公級の二人が競演するという事が目玉であったろう映画なんだろうけれど、話は大しておもしろくはなく、カンフーは戦いの場面が多くてめりはりが無くなってしまっているし、カンフー自体は悪くはないけれど繰り返しで飽きてしまうしで、ずっといまいち。
始まりの清軍による少林寺の焼き討ちから余り予算が無かったのか少人数による小規模な焼き討ちなのでこじんまりとしている。
その後も十人程度が行動している少林寺側でも目立つのは主役の方世玉と洪熙官と少林寺の一時的な指導者の人位で、清側も十人程度の軍勢なので常にこじんまりとした小競り合いにしか見えず、少林寺崩壊という大事には見えない。
方世玉と洪熙官が初めは対立して、その後和解して共に戦うという構成にしたいのは分かるけれど、初めの時点で何故同じ少林寺の方世玉と洪熙官の面識が全く無いのが疑問にしかならないし、どちらも少林拳の使い手で達人級に強いなら戦えば直ぐに気付きそうなモノなのに全然気づかないままというのは結構無理がある様に思えて乗って行けなかった。
その後、自分の間違いを知った方世玉が洪熙官を助け出そうとするけれど、ここの話もいまいち。
相手は強いので一人ずつ倒して行こうとするけれど、敵を殺さないので当然気付かれてしまい助けられないのは何を目的としているのだろう?
結果こっそりと助け出さなくてはいけなくなり、その方法が隠れ家から洪熙官が捕まっている家の地下まで穴を掘るので笑ってしまった。
八日であれだけ掘り進められるのか?という疑問もあるし、最後は方世玉は石の壁が崩せないと言っていたけれど将軍側の方からだと結構短時間で石の壁を壊せていたのは何?だし。
最後の少林寺側と将軍側の戦いも一番盛り上がるはずなのに、そこまでで結構多めに戦い場面があるので終始戦っていた様な印象になってしまい、いよいよの最終決戦なのに盛り上がらず。
しかも多人数での戦いなのに見た目が地味。
そして、これまでどういう人物かと描かれず台詞もほとんどなかった少林寺の人々が戦いで殺されると画面が急に真っ赤になる演出は何だこりゃ?
その人を描かなかった分、色で惨劇なんだ!と表現するしかなかったのからしらん?
それに、将軍側もこれまで全く登場しなかったチベット僧が突然登場して戦うけれど、初登場なので強いのか悪い奴なのかもよく分からないし、中国拳法とチベット拳法の違いも見ていてよく分からないので、何故急にここで?と思ってしまった。
役者のカンフーは決して下手という訳でもないけれど、特徴が出るのは最後の方世玉と洪熙官の鶴と虎の拳位で、ずっと同じ様な事を見せられていた気がしてしまい、戦う場面も多いので段々と飽きてはいた。
方世玉を演じていたアレクサンダー・フー・シェンはカンフーが上手い感じがしたし、見えの切り方とかも良かったし、見た目もカッコいい感じがするんだけれど、このアレクサンダー・フー・シェンって自動車事故で28歳で亡くなっていたのか。
このまま映画を続けていたら結構なスターになったと思う気がしたので非常に惜しい気がした。
気になったのが髪形。
清の時代なので辮髪なのに皆長い三つ編みはあるけれど誰も頭を剃っていない。
これは役者が他の役を演じられなくなるからの都合なんだろうけれども、三つ編みを側頭部にグルッと巻いたカツラを被っているだけの謎の髪形なので違和感しかなかった。
それに少林寺の人達も僧侶なので丸坊主ではないの?と思うのだけれど、同じく謎髪形なのは違和感。
あと、名前も。
方世玉の読みは知らなかったけれど、洪熙官はずっと「ハン・カーロ」だと思っていたら字幕が「ホン・シークァン」。
どうやら「ハン・カーロ」は中国語の普通話読みで、広東語では「ホン・ヘイクン」らしい。
だとすると「ホン・シークァン」は北京語読みという事なんだろうか。
ここら辺の字幕の表記って、中国映画と香港映画で元々発音が違い、しかも漢字表記の方が馴染みがある歴史上の人物でも映画内での発話では中国語なのでカタカナの中国語表記の方が映画の台詞としては分かりやすかったりするので日本でだと面倒臭い。
この映画、話は方世玉と洪熙官の対立は大しておもしろくはないし、方世玉が洪熙官を助けて悪者と対決という特に捻りの無い展開で終わっていまいち。
カンフーは悪くはないけど頻繁に戦う場面が出て来るので全体的にダラッと流れてしまい、盛り上がりに欠け続けてしまって全体的に余りおもしろくはない映画でした。
☆☆★★★