中国超人インフラマン

2026年08月30日 日曜日

ホア・シャン監督、ダニー・リー主演の1975年の香港映画「中国超人インフラマン(中國超人 The Super Inframan)」。

ある日突然、氷河期に存在して、その後地下に住む事で生き延びていた氷河魔族が地上に戻る為に人間達に攻撃を仕掛けて来た。
科学研究所は氷河魔族に対抗する為に研究員のレイ・マをインフラマンへと人体改造し、インフラマンと共に氷河魔族と戦う事となった。

何度目かの昔の香港映画に興味が湧いた時期が来たので幾つか古い香港映画を見ていて、配信が終わりそうだったので見てみた映画。

1970~1980年代の香港映画と言えば武侠映画か、カンフー映画か、キョンシー映画の印象が強い中で特撮ヒーロー映画という珍しい映画で、しかも結構お金をかけて作っているし、アクションはカンフーからもあるので跳んだり跳ねたりも派手で中々良く出来た映画なので見栄えのおもしろさはあるのだけれど、話が一体一体敵の怪人が仕掛けて来るという構成で、まるで連続テレビドラマの再編集総集編みたいであんまりおもしろくはなかった。

始まりからして主人公のインフラマンへの変身場面から始まり、背景がインフラマンに関係はする抽象的な映像のオープニング・クレジットを流しと、非常に日本の特撮ヒーローを意識したモノになっていて、この始まりから結構楽しめた。
その後は敵の登場とそれに対応する科学研究所の人々が描かれて、インフラマンが登場するまで結構遅いのでダレてはしまう。
インフラマンが登場してからはカンフーアクション的なヒーローと怪人の戦いになり、キビキビ動く戦いはおもしろい。

それに、一番この映画でも驚いて見入ったのが怪人とインフラマンの巨大化場面。
怪人が小さく映っている所からカットはそのままで怪人が一気に大きくなるのを映しており、多分合成とかでもなく、カメラの引き寄りで撮影しているのだと思われる方法の特撮で、これが今見ても凄く上手く巨大化を見せていて驚いたし感心した。
この巨大化する場面は怪人と後からインフラマンもあったけれど、どちらも何度も見返してしまった位良く出来ていた。

あと、この時代の香港映画だから火薬と炎の量が凄くて笑ってしまう。
始まりから燃える町の場面は周りの建物を本当に燃やしていて凄い火の量。
怪人の攻撃が当たると相手は爆発するし、敵の戦闘員の持っている槍の様な武器が体に当たると爆死。
敵の戦闘員が水の中に落ちると水が爆発。
研究所員の拳銃から撃たれた弾が敵の戦闘員に当たると爆発。
インフラマンも足の裏から炎を出して飛んで行くし、最後の敵のアジトの崩壊にはスタジオセット内でもお構いなしにとにかく爆発させ、火を噴出させ、その直ぐ脇を役者が走り抜けて行くモノだから見ていても危なくてしょうがない。

ただ、話の方はと言うと、敵は地上を征服すると言って戦闘員も多くいるのに何故か毎回怪人一体一体を科学研究所に送り込んで破壊工作をするチマチマとした攻撃しかしない敵で、この設定にしてはこじんまりしているし、本気で征服する気がなさそうな感じ。
これって毎週の三十分番組でよくあった毎回新たな一体の怪人が攻撃を仕掛けて来て、それに対処するヒーローというお馴染みの展開と似ていて、まるでその毎週の番組を短く再編集して総集編映画にした感じなので、見ていてもおもしろい全体の大きな流れにはなってはいない。
それに、敵に狙われている事が分かっている科学研究所の周辺に突然誰なのか分からない子供が現れて遊んでいたり、急に所長の娘が出て来て話が進んだりと、これも毎週の番組で登場した脇役の様な人々が特に説明も無く出て来て話が進むので、やっぱり総集編の感じがしてしまった。

インフラマンは科学者による人体改造で、突然人間からスーツ、アーマーを着た状態になって、その原理や説明も無い謎な「変身」をする良くも悪くもこの時代の日本の特撮ヒーローそのもの。
インフラマンは超人的な身体能力や聴力は説明があったものの、透視までする視力以外にも特に説明も無く巨大化するし、右手を立ててそこに横にした左手を添えるスペシウム光線の様なビームも突然出すし、ビームも出すのに噴火弾を投げて武器も持っているしでとにかく色んなモノがてんこ盛り。
インフラマンは怪人の着ぐるみに比べて少し背が低かったり、仮面が長めなので顔が大きく見えてしまったり、頭から安っぽいアンテナが出ていたりと全体の造形はいまいち。
それに、最近の映画でもある、まず役者の素顔を見せる時間を設ける為なのか、周りで研究所の仲間が敵にやられても主人公は人間のまま戦い続け、何故かインフラマンに中々変身しなかったりもする。
インフラマンは圧倒的に強くはあるんだけれど、生身の研究所の所員達も敵の戦闘員を倒すし、着ぐるみの怪人ともほぼ互角に渡り合っているので、人体改造してまでインフラマンにならなくても良かった気もするし、他の研究員も強いのだから彼らもインフラマンに改造すれば敵を圧倒出来るのでは?とも思ったり。

怪人も結構しっかりと着ぐるみが出て来ており、怪人毎の見た目の個性も強いし、それぞれが違う能力も持っていて敵側が結構良く出来ている。
最後の氷河魔王女が人間の姿をしていたのに急に竜人になったり、その竜人に向かってインフラマンがビームを放つと竜人の首が切り落されたけれど、また直ぐに首が生え、またビームで切り落としを五回も繰り返す色んな謎は何だったのだろう?

この映画、当時の日本の特撮ヒーローを良く言えば良く勉強し、悪く言えば片っ端からパクって作った映画で、色んな所に結構お金かけているみたいだし、アクションは非常に良いし、特撮も巨大化の所なんて今見ても驚く上手さだし、火薬と炎は凄いしで見た目は良く出来た映画ではあるのだけれど、話は各怪人が策を練って攻撃を仕掛けて来ても結局はインフラマンと殴り合うだけではあるので別におもしろくはなく、まあこの時代の子供向けの毎週のテレビ特撮ヒーローではあった映画でした。

☆☆☆★★

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