キング・ボクサー/大逆転
2026年08月29日 土曜日チェン・チャンホー監督、ロー・リエ主演の1972年の香港映画「キング・ボクサー/大逆転(天下第一拳 King Boxer)」。
田舎町で師匠の下で拳法を学んでいるチャオ・チーハオ。
師匠が何者かに襲われてしまい、その暴漢からの攻撃で怪我を負った事で師匠は老いを感じ、自分が教えるには限界があるので、まだ若いチャオ・チーハオは尚武国術館のスン館長に預けて鍛えてもらう事となった。
スンの下で鍛えられて強くなったチャオ・チーハオ。
しかし、近く開かれる武術大会で優勝すれば武術界で権力を握れる為、他の流派に嫌がらせや攻撃を仕掛けている百勝武館から尚武国術館も嫌がらせを受けており、チャオ・チーハオも目を付けられていた。
師匠に目をかけられているチャオ・チーハオが気に食わない兄弟子は百勝武館と繋がり、チャオ・チーハオは両手を潰されてしまう。
それでも戦おうとするチャオ・チーハオは両手を治して武術大会に挑んだ。
何度目かの昔の香港映画に興味が湧いた時期が来たので幾つか古い香港映画を見ていて、配信が終わりそうだったので見てみた映画。
序盤で悪い武術館が権力を握ろうと暗躍しており、それに対して主人公が立ち向かうのであろう事が示唆されているのに話の展開が遅くて結構退屈してしまったけれど、中盤辺りで敵側が急に日本から武芸者を呼び出したり、主人公が熱した炭?に手を突っ込む修行を始めた所で「これ、何かと似ている!」と気付き、そう言えばジミー・ウォングの映画「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」とそっくりな話で「何だこれ?」となりつつも、結局常に間延びしたままで特におもしろくはないままで終わってしまった。
展開は主人公が悪い武術館と戦うのは分かり切った話なのに、まあ回りくどい。
主人公側の武術館は嫌がらせを受けても何故か師匠が待て!で止めて何もせず、自分の弟子が殺されても何故か待て!で一切何もしない。
こういう理由があって復讐は待てと言う話もしないので、ずっと不可解。
一方の悪い武術館側の話の分量が多く、常に悪い武術館が暗躍している話ばかりで主人公の出番自体が少なく、見ているとこれは誰が主人公で何を見せたいのだろうと思えて来てしまった。
回りくどい割に何の意味があるのか分からないのは数多く、初めにある主人公が今の師匠から新たな師匠の所へ行く展開上の一手間もいらない気がするし、主人公が師匠から奥義を授かったけれど結局その奥義がどんなモノなのかがよく分からず、これは兄弟子が嫉妬するという展開を作り出す為だけに必要だったみたいで奥義自体は扱いが雑で全然出て来ないし、主人公の両手が潰されたけれど直ぐに治ってしまうので復活の苦悩もほとんど無いし、敵方の頭が前半分剥げていた雇われ拳士はあれだけ主人公と対立していたにも関わらず急に心変わりして主人公を助けたり、もっと説明して欲しい事ばかり。
特に奥義がよく分からず、主人公に奥義書を渡すけれど、主人公はそれ以前は書物を読んで学んでいる場面があったのに奥義書を読んで学んだという場面は無いし、焼けた炭?に手を入れる修行をしていたけれど、この修行が何の目的で行っていて、それがどうなるのか、結局奥義を習得したのかの説明が一切無く、この奥義が何なのかもよく分からず。
終盤に武術大会で戦った時に突然両手が真っ赤に輝いたのだけれど、これが奥義?
赤く光ったけれど、それは何故?何が切っ掛け?光ったらどうなるの?等についての説明は一切無し。
最後に日本人空手家と戦った時も両手が赤く光ったけれど、その時は相手を強く押し、相手が強烈に壁に叩き付けられていて、こんな強く押す効果なんて武術大会の時はあったっけ?だし、もう訳は分からない。
回りくどい割にあっさりしている所もあり、主人公が修行を始めましたからの次の場面で既に一年が経っていて、どういった修行をしたのか見せる気がないし、頭が前半分剥げていた雇われ拳士は自分はあれだけ酷い事をして来たのに仲間が酷い事をしたのを見て直ぐに寝返ったり、多分面倒臭い事は省きましたというだけなんだろうなぁ。
見ていたら「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」と同じ様な展開になったけれど、どうやら「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」が当たった事でその二番煎じと言うか、思いっきりそこから頂いた映画らしく、主人公のロー・リエは「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」で最後に戦っていた日本人空手家役をしていたし、この映画で日本人空手家役だったチャオ・シュンは「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」で初めに出て来た柔道家だったし、この映画のスン役の鶴田浩二に似たファン・ミェンは「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」でも主人公の師匠役だったりと同じ人が出ていたと知って、より「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」感が強いし、わざわざ同じ役者を使わなくてもとも思った。
「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」からそのまま頂いたので主人公に奥義の要素が入ったのかと思うけれど、それを全然活かそうともしなかったのは思い付きのパクリの結果なのか。
おもしろかったのは一番最後の主人公が敵を強く押す場面で、押された敵が壁に当たるとその壁の表面が割れるという仕掛けを見せていて、これって漫画だと「童夢」で有名になったけれど、それ以前に実写で叩き付けられて壁割れをしていて、見ていて「おっ!」となった。
この映画、「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」の様な展開の二番煎じで、「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」と同じく敵側の話が多いので主人公が薄くなり、「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」よりも説明不足で登場人物が多くて回りくどい話はおもしろくはなく、戦いもいまいちで、全体的に退屈した映画でした。
☆★★★★