吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー

2026年06月05日 金曜日

ジミー・ウォング監督・脚本・主演の1970年の香港映画「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー(龍虎鬥 The Chinese Boxer)」

柔道家のタオ・アルが国術を教える道場に道場破りとしてやって来るが師範に返り討ちにされてしまう。
タオ・アルは一か月後に日本の空手家を連れて戻って来て師範を殺して、ほとんどの弟子達も殺してしまった。
何とか生き残った弟子のレイ・ミンは復讐の為に町で賭博場を開いたタオ・アル一味の下へ乗り込んで行った。

何度目かの昔の香港映画に興味が湧いた時期が来たので、「大酔侠」を見て、その続編的「大女侠」を見て、「大女侠」にジミー・ウォングが出ていたので「続・片腕必殺剣」を見て、続けてのこの「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」を見てみた。

ジミー・ウォングは片腕必殺剣シリーズが当たったは良いけれど製作していた映画会社ショウ・ブラザーズに対して不満があったらしく、だったらと言う事で全部やってしまったのがこの映画らしい。
香港映画としてもそれまでの「片腕必殺剣」の様な剣劇の武侠映画が多かった中からこの映画でカンフー映画へと移行して行った変わり目の映画らしい。

そんな映画で、確かに所々見所があるにはあるけれど、やっぱりまだ試行錯誤の時代の映画という事もあってか、見終わると物足りなさが大きくあった。

序盤はカメラが急に寄ったり、カメラ前に物を配置しつつも奥に長い構図の画を取ったり、編集も短く繋いでいて、ジミー・ウォングって監督として結構良いのでは?と思わせる映像や編集で結構ワクワク感があった。
話も道場破りからどうなって行くのだろう?でおもしろそうな雰囲気はあったけれど、それ以降がどうにも微妙。
道場破りの話の時点から敵側視点の話が多くてジミー・ウォングは脇役で余り話に絡んで来ず、敵が道場乗っ取ってからも賭博場側の話が多くて、やっぱり主人公であるはずのジミー・ウォングの話が少ない。
復讐譚なので主人公の恨みつらみや、ここは我慢して…とか、倒せなかった相手を越える為に修行を繰り返すとかがあるのかと思いきや、主人公の悔しい思いの吐露は一場面位。
修行も五分十分位だけで終わり、それも足に重りを付けて走り、その重りを取ったら2m以上の走高跳の棒を垂直跳びで軽々と超えられる様になって急だし、熱した砂鉄に手を叩き付けて突っ込んでいたけれど、これがどういった修行で、結果それがどうなったのかがよく分からないので手間を省いてしまった感が凄い。
結局修行後に手に付けていた手袋は何の為で、手がどうなって、その手が強いのか?もよく分からないまま。
この短い修行の後は直ぐに大勢相手の戦いになるので、復讐譚なのに復讐までのあっさりとした展開はどうなの?

ただ、その後の戦いは結構おもしろく、賭博場での大人数対戦は主人公の急な強さの発揮は感じるものの、初期のカンフー映画としては良く出来たアクション場面で楽しさがあった。
その賭博場を出ると突然外が雪景色になっており、その雪降る草原で謎に日本の剣士と戦う場面も草に隠れつつ襲撃するやり合いや、映像的にも結構おもしろかった。
まるで西部劇の銃の抜き合いの様にジミー・ウォングの短剣対敵の手裏剣の投げ合い対決もあって笑ってしまったし。
敵の剣をかわしながら剣を取って戦う姿は多分ジミー・ウォングの計らいで片腕必殺剣の主人公を思い出させる様になっていたし、ジミー・ウォングの映画を続けて見て来たのでジミー・ウォングはやっぱり剣劇の方が良いなあと思ったり。

ジミー・ウォングは剣劇の方が良いと思ってしまうのは、この映画でのカンフーアクションが良くないから。
どうしても実際に中国武術をしていた人が役者になったこれ以降のカンフー映画と比べてしまうのだけれど、ジミー・ウォングはあくまで映画俳優のカンフーなので切れはよくないし、足は全然上がっていないし、カンフー映画としては余りおもしろくはなかった。
ジミー・ウォングの余りよくないカンフーを誤魔化す為の賭博場での大人数対戦や雪降る草原での剣劇なのかな?と思ったりしたけれど、それだとジミー・ウォングは監督しての方が才能があるのか。

初めて目にした国術と言う拳法対柔道や空手の異種格闘技戦も設定としてはおもしろいのだけれど、国術がどういった拳法なのかよく分からないし、柔道は一応投げ技を見せてはいるけれど、これって柔道なの?と思うよく分からない拳法だし、空手もこれ空手なの?と思う柔道も空手も中国拳法と変わりが分からず、異種格闘技感は余り感じなかった。

ジミー・ウォングのカンフーがあんまりよくはないので本来なら一番盛り上がるはずの最後の一対一の対決が盛り上がらず、それまで敵側の首領感一杯だった柔道家も隠れていた所から出て来て短剣を投げ返されて死亡というあっさり過ぎる最後だったし、話もジミー・ウォングの想いも特に見せず急に終わるしで見終わると物凄く肩透かし感を感じてしまった。

この映画、ジミー・ウォングの監督の力や才能を感じる所が多々あるけれど、話となるとジミー・ウォングが監督で忙しかったからなのか敵側の分量が多くて主人公が少ないので主人公の想いが出る前に戦いだけになってしまって復讐の為の戦いはずなのに復讐を盛り上げる事が無いので戦いが盛り上がらず、そのまま一番最後の戦いも大して盛り上がらないまま終わってしまうので見終わると何だかなぁ…な感じになってしまう映画でした。

☆☆★★★

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