大女侠

2026年05月29日 金曜日

張徹監督・脚本、チェン・ペイペイ主演の1968年の香港映画「大女侠(金燕子 Golden Swallow)」。

女剣士の金燕子は金鞭に助けられて行動を共にしていた。
その二人に悪党を殺して回っている銀鵬の話が伝わる。
金燕子は銀鵬は長らく会っていない弟弟子ではないかと金鞭に話していたが、銀鵬はまさにその弟弟子で金燕子を誘き出す為に悪党を殺した後に金燕子のかんざしを残して行っていた。

古い香港映画を見ようと思い、1960~1970年代の香港映画を盛り上げた映画会社ショウ・ブラザーズが武侠映画やカンフー映画を多く作った先駆けとなった映画「大酔侠」を見たので、その主役だったチェン・ペイペイ演じる金燕子が登場するというので、「大酔侠」の続編的なこの映画も期待を持って見てみた。
しかし、「大酔侠」の続編と思って見たら大分期待外れ。

「大酔侠」の一番良かった所はチェン・ペイペイ演じる金燕子のカッコ良さで、その凛として動じず、顔色一つ変えずに敵と戦って倒して行く強さと美しさとカッコ良さに目が行き、その金燕子がまた登場する映画となればその金燕子を期待するのに、この映画は金燕子は初めは主役かと思っていたらほぼジミー・ウォングが主役で、延々とジミー・ウォングが悪党を特に因縁も無いのに切り殺して行くばっかりで金燕子の登場さえ少なくて非常にガッカリ。
初めから金燕子はにこやかに笑って、キャッキャしながら金鞭とイチャイチャしているという「大酔侠」とは全く違う人物になっており、「大酔侠」に出て来た将軍の娘とかの設定も全く出て来ず、同じチェン・ペイペイ演じる金燕子なんだけれど最早別人。
途中で少しだけ金燕子が戦う場面は出て来て、「大酔侠」と同じ様な二刀流で短剣を頭上に上げての剣劇があるにはあるけれどほんの少しだけで金燕子としては物足りなさ過ぎる。

話は金燕子の事が気になる銀鵬が金燕子に会いたいが為にあちこちの悪党共を殺して回るだけで進んで行くのでおもしろくはない。
一応銀鵬は過去に家族を悪党に殺されて自分も何とか生き残れたので悪党を殺して回っているという話はあるものの、その土地で勢力を伸ばす大きな組織から隣の家が気に入らないので因縁付けて家族を殺した一家まで大小関わらず殺して回るので只のサイコパスな殺人鬼にしか思えず、しかもその殺しの犯人を金燕子に見せかけて行くとなると当然金燕子の方に迷惑所か命の危険もあるのに、ずっと何してるんだろう?で話がつまらない。
そこから銀鵬、金燕子、金鞭の三角関係の話になり、そこまで各人の思いが大して描かれないのでその恋愛話には入って行けず。
結局ジミー・ウォングの大立ち回りで死んで行く見せ場で終わって、只々ジミー・ウォングが目立つジミー・ウォングの映画でしなかない。

そのジミー・ウォングは常にすっとぼけた、何なのその顔?な表情ばかりでカッコ良くはなく、しかも天津木村にしか見えないので終始微妙。
剣劇も剣を大きくぶん回してばかりで、剣をぶん回すと相手が切り殺されるの繰り返しでおもしろくもないし。
敵の中に個性が強そうな感じの人もいるのに直ぐにジミー・ウォングに切り殺されるので個性は出て来ないままな一方、極悪非道の組織の中でも何故か義理堅く自ら死んで行く人を多めに描いたりと、結局何を見せたいのか、何故それを見せたいのかよく分からない事も多く、その分ジミー・ウォングも何だか散漫になり、更にその脇役の金燕子なので金燕子は活きて来ない。

「大酔侠」で人気が出たチェン・ペイペイの金燕子の続編をと思ってショウ・ブラザーズは初めは「大酔侠」の金燕子を基にするつもりだったのが、「大酔侠」の監督だったキン・フーがショウ・ブラザーズを出て行ったので監督が変わり、脚本を何度も手直ししたらこうなったらしく、そこに片腕必殺剣で人気が出たジミー・ウォングを入れたらこうなってしまったという事なのかと思う。

この映画、原題が「金燕子」だし、金燕子が出ている続編として期待して見たら、その金燕子は完全に脇役でジミー・ウォングを頂点とした三角関係の中の一要素位でしかなく、話も何処に向かうのかがずっとおもしろくはないし、分かってからもおもしろくはないし、「大酔侠」の金燕子の更なる活躍が見たかったのに金燕子の戦いすらほとんど無いので非常にガッカリな映画でした。

☆★★★★
 
 
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