大酔侠

2026年05月27日 水曜日

キン・フー監督・脚本、チェン・ペイペイ主演の1966年の香港映画「大酔侠(大醉俠 Come Drink with Me)」。

盗賊の護送中に仲間達が襲撃して来て助け出し、同行していた長官もさらわれてしまった。
盗賊団は囚われている首領と長官の交換を要求してき、その交渉役として女剣士の金燕子が送られた。
金燕子は首領を返すつもりはなく、金燕子と盗賊団との争いが始まった。

元々はジェット・リーのワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナを見ようかと思って、それならそれ以前の映画を見てからだと思って内容を余り覚えていなかった「阿羅漢」を見直したら、Amazon プライムビデオのお勧めに古い香港映画が現れて来たので急に古いカンフー映画や武侠映画を見たくなって香港映画の歴史等を調べて更に興味を持ち、何か良い映画あるかな?と思ってプライムビデオを見たら「大酔侠」が出て来た。
確か以前も古い香港映画に対する興味が出て来て調べた時には「大酔侠」は無かったはずが何時の間にか追加されのか。
と言う訳で「大酔侠」を見てみた。

この映画は1960~1970年代の香港映画を盛り上げたショウ・ブラザーズが剣劇やカンフー映画を送り出す先駆けになった当たった映画で、確かに当時だと受けた感じが分かる様なおもしろさがあった。
わたしはそんなに香港映画には詳しくないけれど、その後の香港の活劇の先祖的な立ち位置やそれまでの香港映画の色々な影響とかを見るという部分でもおもしろいと思われるはず。

設定が盗賊団が首領と文官の交換をする話し合いの為に送られて来た使者が武芸の腕が立つ女剣士で活躍するという時点で盛り上がる。
この主人公の設定や動き等はその後の香港映画に色々影響を与えたんだろうなぁと思うし、そこから影響を受けた日本の漫画辺りの設定っぽくて良くも悪くも漫画的な部分がある。
その主人公はまあ強くて、一対多数の戦いでも剣をひらりと振り回して涼しい顔で立ち回り、飛び跳ね、後ろから襲って来た敵を見ていなくても気配で一撃で倒してしまうのには香港映画のニヤニヤしてしまう楽しいアクションがある。

ただ、主人公を演じるチェン・ペイペイは雰囲気は非常に良いけれどまだ二年目だからか演技は上手くなく、その場に止まったままやたらと周囲を目で見渡す事が多く、それが何かぎこちないと言うか、わざとらしいと言うかだし、戦いでの動きもいまいち。
全般で戦いの場面はこの時代にしては編集を短く早くしていて魅せる様になっているのだけれど、行動した直ぐ後に相手が傷付いていて、動き始めから結果だけでその行動中の中間部分が抜けている様な何をしてそうなったのか分からない事も多いし、全員の動きもあんまり良くはないのは流石に六十年代の先駆けの映画だからなんだろうとは思った。

また、監督のキン・フーが京劇好きだったからだと思うけれど、音楽は京劇で聞く様な銅鑼とかのジャンジャンする感じで、急に動くとジャンと鳴ったりと人物の動きに合わせて音が入ったりで京劇の影響が強いのかもしれない。

不思議なのが話の構成で、中盤以降も盗賊団と女剣士の戦いではあるんだけれど、序盤で登場した竹竿を持った謎の人物が女剣士を助け出すので、この人物は何かあるのかと思ったら終盤はこの竹竿の男の過去の因縁話になり、ほぼ盗賊団とは関係して来なかった兄弟子が出て来て、その兄弟子との戦いが最後の戦いになって終わってしまい、結局は主人公がこの竹竿の男だった感じになってしまっていた。
題名も何で「大酔侠」なのかずっと気になっていたけれどこの竹竿の男が酒好きだったのでこの題名らしく、この題名だと女剣士は関係無いし、やっぱりこっちが主人公だったという事なのか。
それにしては女剣士の主人公感は強くて、何時の間にか主人公が入れ替わっていた感じだった。

この映画、香港映画の歴史を見る上では成程と思いながら見れたし、各人物も立って存在感は強く、1960年代の武侠映画と考えると中々良く出来ている映画なんだけれど、おもしろい部分は各所であるものの剣劇は流石に時代を感じてしまい、今見てしまうといまいち感は拭えず、最終的に主人公がすり替わって終わってしまうので見終わると肩透かし感が強くなってしまった映画でした。

☆☆★★★
 
 
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