北京原人の逆襲
2026年08月31日 月曜日ホー・メン・ファ監督、ダニー・リー主演の1977年の香港映画「北京原人の逆襲(猩猩王 The Mighty Peking Man)」。
興行師のルーはヒマラヤの奥地で発見された巨大な北京原人の存在を知り捕獲して香港に連れて来て一山当てようと考え、知り合いのチェン・チェンフォンと共に北京原人捜索隊を組んで出発した。
途中の道の険しさや野生動物の襲撃によって同行人達が次々と死んで行き、ルーは一人で帰ってしまうがチェンは一人で奥地へと進んだ。
やがてチェンは一人の欧米人女性アウェイと出会い、彼女が子供の時に飛行機が墜落し、両親が死んでしまった為一人で生きて来た事を知った。
そこに巨大な北京原人が現れるがアウェイと共に暮らして心を交わしており彼女の言う事を聞いていた。
チェンはアウェイと恋仲になり、アウェイに頼んで北京原人を香港まで連れて来るが、ルーが北京原人を見世物として酷い扱いをし、更にはアウェイに迫った為怒った北京原人は街中で暴れ始めた。
何度目かの昔の香港映画に興味が湧いた時期が来たので幾つか古い香港映画を見ていて、配信が終わりそうだったので見てみた、「中国超人インフラマン」に続くショウ・ブラザーズ製作かつダニー・リー主演の特撮映画。
自分達も「キングコング」を作ってみよう!という意図が分かるけれど、中盤は人間の色恋沙汰ばかりになるので余りおもしろくはなく、最後に北京原人が香港で暴れる所とやたらと実際の動物と触れ合う部分位しかおもしろくはなかった。
始まって北京原人が登場するまで二分という素早さで感心して興味が湧いたのだけれど、後から考えると実際に北京原人と遭遇するまでに探検の時間を長々と取るので、まず頭で掴んでおかないといけないのでという理由だったかと思う始まり。
そこからはよく分からない、余り必要も無い話がずっと続く。
香港からヒマラヤの奥地に行くのだけれどインド?パキスタン?まで行き、何故かここでは現地撮影をしていて、ここに予算かけるのだったら他にお金をかければ良かったのにと思えた現地撮影。
そこから山に入って行くのだけれど、何故か象や虎等、やたらと野生動物が襲って来る。
何の理由で暴れているのか一切理由も見せずに象の群れが押し寄せ、さっさと逃げれば良いのに主人公達は銃を撃ちまくって殺そうとする。
逃げないので同行人が象に踏み殺されるのだけれど、皆何も思わずに先に行ってしまう。
更には虎に襲われて足を噛み千切られてしまう同行人が出ると興行師は彼を銃で撃ち殺してしまい、主人公は悔しがるだけ。
ここまでで「この人達おかしい…」と付いて行けない。
山の奥地を目指しているのに急に水辺の崖を登っていたりして、行程は無茶苦茶。
ここら辺の話を長々とするんだったらもっと北京原人の話に割けばいいのにと思える見ていても退屈する話が続く。
やっと北京原人の住処に付くと、今度は女ターザンの様なアウェイと主人公の恋愛話になり、これもいらないと言えばいらない話で、これも長いので退屈して来る。
ただ、ここが見所だったのが、やたらと虎や豹と直に触れ合っている事。
ちゃんと飼育調教された虎や豹だったのだろうから問題はなかったのだろうけれど、ダニー・リーやアウェイ役のイヴリン・クラフトがさっと虎や豹に寄って行って強く撫で回していたり、凄かったのはプロレス技のタワーブリッジの如く肩辺りに豹を抱え上げてグルグル回転したり、豹の前足脇辺りを抱えてぶん回したりと見ていても怖い事を平気でしていた。
これ、撮影時に調教師に大丈夫だからやってと言われても相当根性ないと出来ない。
イヴリン・クラフトは全体的に非常に頑張っていて、この豹との撮影もそうだし、香港の街中でも常に乳首が見えかけのジャングル衣装でいるし、香港の道路も裸足で走りまわっていて足の裏に何か刺さっての怪我を心配してしまう位。
イヴリン・クラフトはスイス人だった様だけれど、何で香港映画のお金かかった特撮映画に抜擢されたんだろう?
経歴を見ているとイタリア映画やドイツ映画に出演していて、そこからこの映画って色々不思議。
北京原人が香港にやって来てからいよいよ北京原人の話になるかと思いきや、主人公の弟と出来ていた主人公の恋人と主人公の話になり、その関係を知ったアウェイが悲しむと言う人間の痴話になり、北京原人を出せ!になって来る。
不思議なのはあんな北京原人が現れたら香港の街はまず北京原人で沸くだろうし、テレビ局が出て来るのに北京原人の取材撮影に行っている雰囲気も一切無い事。
そして、急に人で溢れ返る北京原人会場になり、その後北京原人が暴れないといけないのでその振りだけなんだろうけれど、何故か観客が北京原人に物投げ付けたり、北京原人を囲む人々の北京原人に対する扱いが馬鹿にして攻撃的なのも不思議。
誰一人として怖がる様子を描かなかったのは何でなんだろう?
で、北京原人が暴れるのだけれど、ここも見所。
香港の狭い街に高い建物が並んでいるのを再現していて、ここの香港の街を練り歩いて壊して行く北京原人の場面は非常に良く出来ている。
そして「キングコング」の如く高いビルディングに登って攻撃を受けるのだけれど、攻撃がまあ苛烈。
バンバン銃撃を北京原人が受け、でも何故か北京原人にはそれ程効いている節は無い。
まあ、日本から特撮班を雇って呼び寄せて、手間暇かけて作ったからには長めに見せないとという事もあったのだろうとは思う。
この不死身の北京原人を言い出すと、そもそも北京原人なのに何であんなに巨大なの?という話にはなってしまうし。
結局北京原人は炎上落下して死亡してしまい、主人公がアウェイを抱き抱えてビルディングに空いた穴から香港の景色を見ている後ろ姿で終わる映像は非常に良いのだけれど、アウェイは生きていたのか、死んでしまったのかはよく分からないまま終わってしまった。
ビルディングの屋上があれだけ爆発炎上したのに、その直ぐ下にいた主人公が全然平気なのもいい加減なんだけれど。
この映画、北京原人の造形はでっかい類人猿なので引きはないけれども、最後の北京原人が暴れる所の特撮は周囲のミニチュアの建物等々良く出て来て見応えはあるものの、話自体は最後の北京原人が暴れるまでは間延びしておもしろくはなく、前半の一番の見所が豹をぶん回している所だった映画でした。
☆☆★★★