水滸伝

2026年06月17日 水曜日

チャン・チェ監督、デビッド・チャン(姜大衛)主演の1972年の香港映画「水滸伝(水滸傳 The Water Margin)」

梁山泊の首領である晁蓋が敵対する勢力の武術師範の史文恭に殺されてしまった。
梁山泊の人々は晁蓋の仇を討とうとするが武術で梁山泊にかなう者はいないと考えて史文恭と同じ師に武術を学んだ盧俊義を梁山泊に引き入れようとする。
盧俊義の下に梁山泊の使者を送るが盧俊義の配下の者が裏切って盧俊義を役所に通報し盧俊義は逮捕されてしまう。
盧俊義の腹心の燕青は盧俊義を助け出そうとし、梁山泊の人々も盧俊義を助け出そうと行動する。

何度目かの昔の香港映画に興味が湧いた時期が来たので幾つか古い香港映画を見ていて、その中で知ったチャン・チェの映画を「英雄十三傑」に続けて見てみた。

わたしは「水滸伝」を全然知らないので、この映画では設定や話がさっぱり分からない事が多く、そこはそういうモノかと思って見てはいたけれど、映画自体がよく分からない事が多くて全然おもしろくはなかった。

映画の始まりからやたらと登場人物達が登場して、この梁山泊の面々の紹介場面ではこの人が誰なのかを説明する為に漢字字幕で名前が出てはいるけれど、この字が中国漢字の行書体の様な字なので分かる字がありつつも読めない字もあって文字を全部認識する前に消えてしまうし、アルファベットでも字幕が出るけれど、こちらは中国発音のアルファベートなので誰一人として名前が分からないまま。
分かった所で「水滸伝」を知らないので誰一人として分かりはしないけれど、これだけの人物が出て来ても名前がよく分からずに置いて行かれるので初めから乗って行けず。

見ていて後から気付いたのは、何故か丹波哲郎も出演しているのだけれど、その丹波哲郎が登場した時に「Tetsuro Tanba as~」と字幕が出て来て、それで最初のやたらと続く人物紹介はこの映画がオールスター的な映画だから、その役者を一人一人見せる必要があり、人物名に加えて役者の名前を出していたのかという事。

わざわざこれだけの人物を紹介するし、「水滸伝」なのでこの梁山泊の面々が活躍するモノだと思ったら、この梁山泊の面々は最後の方にずらっと登場する位で初め以降は梁山泊ではない盧俊義と燕青の話がほとんどになり、何の話なの?と全く乗って行けず。
「水滸伝」を知らないのでこの盧俊義と燕青の話は有名で、だからこの映画になったのだったらまだ分かるけれど、この話が有名で映画にする位なのか分からないし、そもそも「水滸伝」と銘打ったオールスター映画で梁山泊の人々に多分有名な役者を配役しておきながら、その多分有名な俳優が全然活躍しない、登場すら少ないのがよく分からない。
しかも、燕青役はこの映画以前のチャン・チェ監督映画でも主役だったので分かるデビッド・チャンが主演扱いだと思うけれどそれ程登場は多くないし、中盤以降はそれ程目立たないし、この映画で一番重要人物の盧俊義役が丹波哲郎で、敵方の一番の大物の史文恭役が黒沢年男なのもよく分からない。
何で香港オールスター映画でほぼ主役と敵の親玉が日本人俳優なんだろうか?
これって、オールスター映画になった事によって誰々がこの役で目立つとこの人が文句言うとか、役者の格としてこれだけ出さないといけないとかの関係性が面倒臭い事になってしまったので、それだったら主役はそういう関係性が無い外部の人間にしてしまえ!になったのかしらん。
それでも何で丹波哲郎と黒沢年男が出ているのかがよく分からず。
丹波哲郎はフリーランスで海外映画にも出演していたというのもあるのだろうけれど、黒沢年男って東宝所属ではなかったのからしらん。
しかも、丹波哲郎と黒沢年男が出ているのに日本では劇場公開が無かったそうで、それだと日本人俳優を主役級にしている目的が分からないし、日本の映画会社との関係や交渉もどうなっていたのだろう?
ここら辺の事情をインターネットで調べてみたけれど詳しい情報が全然出て来ず、さっぱり分からなかった。

話の方は、この人はどういう背景を持った人でどういう状況に置かれているのかよく分からない人々で話が進んで行くので付いて行けず、まだ展開がおもしろければいいのだけれど、それも盧俊義が捕まって誰かの手助けで逃げ出すの繰り返しでつまらない。
結局四回位この繰り返しが続き、何だか分からない人が何をしているのかよく分からない梁山泊に入りました…なので全然おもしろくはない。

映像は、初めは海の側に広大な砦が映し出されてショウ・ブラザーズの力を見せつける様な壮大さがあるものの、その場所は最初以外は登場せずにセット内の屋敷内の映像が多く、開けた外でも山の位置だったり道の形がつい最近見た「英雄十三傑」で長安の砦があった場所だと思わしき所で撮影していて、ショウ・ブラザーズの敷地なんだろうなぁ…と思うだけで大した事もない。

おもしろかったのが音楽で、何故か当時の現代風だと思われるオルガンやエレキギター等での音楽になっていて、時代物なのに何でこんな音楽なんだろう?とちぐはぐさでニヤニヤしてしまった。
オルガンがピロピロなって、映像の展開に合わせて急に早くなったりゆっくりになったりするのでプログレッシブ・ロック風味もあり、まあ違和感。

この映画、梁山泊が何で、何を目指しているのかさえ映画内で説明が無いので、そもそも「水滸伝」を知っていないとさっぱり分からない事だらけで乗って行けないし、梁山泊の人物ではない人がほぼ主役で同じ様な展開を繰り返すだけの話でつまらないし、最後の対決場面でも香港オールスター映画なのに何故か丹波哲郎と黒沢年男の対決が一番の見所になっていて、香港オールスターは脇役で、それまで悪事が全然描かれなかった敵が梁山泊の面々に無残に血みどろに殺されて行くので梁山泊が酷い奴みたいな感じになってしまい話が全く盛り上がらずに終わってしまうので、一作の映画として見ると分からない事が多過ぎのままで置いてけ堀、かつ製作意図や構成もよく分からない映画でした。

☆★★★★

« | »

Trackback URL

Leave a Reply