ジャッカルの日
2026年04月24日 金曜日フレッド・ジンネマン監督、エドワード・フォックス主演の1973年のイギリス・フランス映画「ジャッカルの日(The Day of the Jackal)」
フレデリック・フォーサイスの小説「ジャッカルの日」が原作。
1960年代のフランスではアルジェリアの独立を支持したシャルル・ド・ゴール大統領に対して反ド・ゴールの秘密軍事組織(OAS)がテロ活動を行っていたが政府の取り締まりによって衰退していた。
OASのメンバーは海外逃亡したが行動も監視されているので手詰まりとなったので新たにプロの暗殺者ジャッカルを雇いド・ゴール大統領の暗殺を任せた。
ジャッカルは旅券を偽造して別人に成りすまし、イギリスからイタリアやフランスに渡って暗殺の準備を始めたが、OASのメンバーを拉致して尋問したフランス政府は暗殺者に依頼した事を察知し、警察局のクロード・ルベル警視にジャッカル捜査を一任した。
暗殺を成功させようとするジャッカルとその行方を追うクロード・ルベルや各国の捜査機関との対決が始まった。
以前、小説の「ジャッカルの日」を原作にはしていないらしく、この映画の初期脚本を基にしたリチャード・ギアとブルース・ウィリス共演の映画「ジャッカル」を見た事があり、その映画の基の映画を見てみたいと思っていたらYouTubeで無料配信されていたので見てみた。
この映画の設定はジャーナリストだったフレデリック・フォーサイスの実際の経験や出来事等から作られているのである程度史実には基づいているので、初めのアルジェリアの独立とか、OASとかの部分は全く知らなかったのでよく分からないまま見ていていたのだけれど、そこら辺は分からなくても危ない反政府組織が大統領の暗殺を狙って雇った暗殺者の話なのでちゃんと見れる様になっている。
映画はほぼこの暗殺者ジャッカルが主人公で、如何に旅券を偽造して渡航するか。
暗殺の為の小型銃を作るか。
偽造や変装でどうやってフランスに忍び込むのか等の暗殺までの行動計画を非常にじっくりと描いている。
なので、見ていると段々とジャッカル側の目線になり、ジャッカルがんばれ!ではないけれど大分ジャッカル寄りで見てしまっていた。
本当だったら、ジャッカルと彼を追うクロード・ルベルの静かな攻防で盛り上がって行くのだろうけれど、クロード・ルベルが登場するのは始まってから一時間近く経ってからだし、登場してからも話はイギリス側の捜査になってクロード・ルベルは余り出て来なかったり、クロード・ルベルは基本的には電話で各国やフランスの捜査機関に指示して情報を待つのでクロード・ルベルが捜査している感じが無く、二人の対決や追いかけっことしては全然盛り上がらず。
なので、クロード・ルベルが情報を掴んでジャッカルに近付いても何だか盛り上がらないし、最後もクロード・ルベルがギリギリでジャッカルを止めれる場面も本当に盛り上がらずにあっさりと終わってしまった感じでサスペンスとしてはあんまりおもしろくはなかった。
見ていて思って後から小説の「ジャッカルの日」の粗筋を見てみたら映画と大体同じだったので、小説を結構そのまま映像化した、映像化する事が目的だったのかと思うと、こういう構成や演出にはなるのかとは思ったのだけれど、それでもまったりし過ぎだし、間延びしている感はあった。
全部で二時間二十分位もあるけれど流石に一時間半位した所から段々と集中力は落ちて飽き始めてはいたし。
こういうサスペンスモノだと、暗殺者とか犯罪者が立てた計画通りに物事が進んで、それに巻き込まれた主人公がただ翻弄されるだけというのが結構あったりして、それは都合の良い脚本としか思えずつまらないんだけれど、この映画ではジャッカルの行動は自分で計画していた事以外にも所々で問題が起こって時々困るというのがあって、そこは結構おもしろかった。
ただ、すんなりと次に行くので、やっぱり盛り上がりには欠ける。
計画していた事も、例えば旅券の偽造と変装は結構早目にあっさりとバレるし、自動車を改造して隠した銃もただそれで運んだというだけで隠していたのが見つかりそうになるけれど回避したみたい事も無いし、自動車が分かられてしまったからわざわざナンバープレートを盗んで自動車の色を塗りなおしたのに直ぐに他の自動車に乗り換えたりと、盛り上がる振りに対する結末が非常に素っ気ないと言うか、振りを全然活かさないとか言うかで計画段階の方が一番盛り上がってしまっていた。
それに、ジャッカルは出会った人達を殺しては行くんだけれど、それが軽く殴っただけとか、グッと押しているだけとかの行動なので、そのジャッカルの攻撃で単に気絶しただけにも見えたし、この程度の事で死んでしまうの?と思って、その緊迫感や残酷さがあんまり出て来なかったし。
そう言えば、ジャッカルは初めに一番大事なのはどうやって逃げるかと言っていたのに、最後あそこからどうやって逃げるつもりだったのだろう?
あの建物はどうやら階段が一つだけの様だったし、周囲は屋根まで警察が見張っていたし、あれだけジャッカルの計画を描いていたのに脱出方法はおくびにも出さなかったのも何か都合がいい。
舞台がヨーロッパなのは良い。
町並みや景色が良いし、色んな国を渡り歩きながらというのもワクワク感を掻き立てる。
それに1970年代の雰囲気も今や歴史物として見れ、人々の服装や髪形、自動車とかも興味が行った。
ただ、フランス人がフランス語喋らないのは非常に頂けない。
完全に映画の興行的な都合でしかないんだろうけれど、これだけ色んな国が出て来るのに誰もが英語で会話していて、フランス人だけでの会議でもフランス人達が英語で喋るって見ていると何だかクラクラして来た。
それに各国での場面が切り替わって行くのに皆が英語なので、一応看板で何処何処とは見せる事もあるのだけれど今ここはどの国なのかが分からなくなり、ヨーロッパに慣れていないと場所把握が段々とよく分からなくなり面倒臭くなってしまった。
おもしろかったのは当時の仕組み。
今では何でもコンピューター化、データ化しているので簡単に検索参照出来てしまうけれど、この時代は当然紙での書類なので申請や偽造がし易かったり、逆に資料から情報を探し出す時は大変なのは、ああ、そうだよなぁ…と今更関心した。
棚一杯の紙の束の中から得体の知らない人物一人を探し出すのは映像的に分かり易いんだけれど、予算的な限界なのか、十人程度で少量の紙の資料を見付けているって結構しょっぱい。
他の場面でもヨーロッパ横断ジャッカル捜査なはずで、フランス政府は十万人規模を動員していると言ってはいたけれど画面上は数人で捜査して見つかりましたなので規模が小さく見えてしまった。
とにかくもっとエキストラを大量に動員して人海戦術での捜査を見せたら映像的に大捜査だと思わせて良かったのにと思った。
この映画で一番驚いたのが、映画「ジャッカル」はどんな映画だったっけ?と思ってこのブログを検索したら、この映画「ジャッカルの日」を既に見ていて感想を書いていた事。
見た記憶が全く無く、今回見ていても以前この場面見た記憶があるとか、この展開何か知っている様な…という事が一切無かったので、まさか以前見ていたとは思ってもいなかった。
それだけ何も記憶にも印象にも残らなかったんだろう。
この映画、小説をそのまま映画化したという部分では分かるんだけれど、それにしてもジャッカル視点で追う側が薄いし、追い掛ける側も人が多くて散漫になってこの人は何処の誰で何しているんだっけ?もあったり、中心人物であるはずのクロード・ルベルも大して活躍しないので目立たず、二人の対決の部分ではおもしろくは無かったし、流石に今にこの構成や編集だと半分位の所で飽きてしまった。
だからと言って短くすると今でも説明や描きが足りていないのに分からない事が多くなるだろうし、連続テレビドラマにすると長くなり過ぎる気もするしで、どっちにしろ色々と無理なんだろうなぁとは思った映画でした。
調べたら、2024年からイギリスで1シーズン十話の連続テレビドラマ「ジャッカルの日」をしていた。
ただ、これは舞台を現代にして、色々と変えている様なので、映画や小説とは別物みたい。
☆☆★★★
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