ジャッカルの日

2014年11月17日 月曜日

フレッド・ジンネマン監督、エドワード・フォックス主演の1973年の映画「ジャッカルの日(The Day of the Jackal)」。
フレデリック・フォーサイスの小説「ジャッカルの日」が原作。

1962年にアルジェリアがフランスから独立。アルジェリアの保守派である軍人達が反フランスの組織OASを作り、アルジェリアの独立を認めたフランスのドゴール大統領の暗殺を狙っていたが失敗が続き、仲間も離れて行った為、外国から暗殺者ジャッカルを雇って大統領暗殺を謀ろうとしていた。一方で、フランス政府はOASを監視し、OASの仲間を拉致しはかせた情報から暗殺者の存在に気付き、彼を追い始めた。

リチャード・ギアブルース・ウィリスが共演した1997年の映画「ジャッカル」がつまらない映画で、その「ジャッカル」は「ジャッカルの日」のリメイクだと知り、元となった「ジャッカルの日」を見てみたかった所、テレビで放送していたので見たらこっちもこっちで結構つまらない映画だった。

原作小説を読んだ事はないけれど、じっくりと描いているとは言え小説をそのまま映画にした様な感じで、話は進むのが遅く、別にそんなにじっくり描かずとも映画的な盛り上がりの構成考えて、もっと切ればいいのにと思える退屈する構成。
序盤はずっとジャッカルが暗殺する為にパスポートや銃を手に入れるの下準備の部分ばかりで盛り上がりが全然無く、「どうなるんだろう?」の引っ張りとしても引っ張り過ぎで「さっさと進めろよ!」とうっとおしくなって来る。政府が暗殺者の情報掴んで動き出すのは一時間位してからと、すでに集中力が切れている所から本筋が始まる。それもこの後、ジャッカルと対峙するであろうクロード・ルベル警視が出て来て捜査を始めるのかな?と思ったら、行き成りイギリスの話になり、クロード・ルベル警視が全然出て来なくて「あれっ?」という肩透かし感が凄い。それ以降もクロード・ルベル警視の行動と言えば、誰かから電話を受ける、大臣達に報告する位で全然自分が動いて捜査しないので、電話の前で必死になっている姿は非常に滑稽にしか見えない。他の捜査している人達も、始めに色々出て来て捜査しているけれど、彼等は誰なのかいまいち分かり難く、しかも皆似た様なおじさん、おじいさんばかりなので段々と判別が面倒臭くなって来る。
題材としては、「逃げながら暗殺を謀る暗殺者と、それを追い、阻止しようとする政府側の人々」なのに、どちらも全然活きていない。ジャッカルは非常に慎重な様に見えて、聞き込みであっさりその存在や容姿が分かってしまったり、安易にパスポートを残してしまい手掛かりを与えたり、変に女性に手を出して無駄に殺しを働き、そこからも手掛かりを与える始末だし、変装しているけれどその変装で追跡をかわすという場面も無いし、最後のおじいさんの変装はどう見ても若い人が変装している様にしか見えないのに、それで騙せたりと、逃走劇としては全然抜けまくりで緊迫感が無い。一方の政府側も、現場の捜査官の聞き込みが一切描かれず、上役の人達が指示して電話取って情報を得てばかりなので、全然逃亡者を追い詰めている感じがなく、こちらも緊迫感は無い。
暗殺者ジャッカルとクロード・ルベル警視の対峙をはっきりさせたいなら、クロード・ルベル警視に事件を追わせて、彼に「これがこうだから、ジャッカルは何処何処にいる!」として追い駆けたら分かりやすいのに、変に色んな人を捜査に出して来るので話があっちゃこっちゃに行って散漫になり、クロード・ルベル警視が全然活躍していないが痛い。最後は、それまで特に現場で何もしていなかったクロード・ルベル警視が歩きだし、ずっと見回っていただけなのに、突然警官に話しかけたらジャッカルの狙撃現場に辿り着くという酷いご都合主義で呆れた。しかもジャッカルは遠距離からの狙撃なのに、標的が動きそうな時に撃って、当然標的が動いて外れるという間抜けっぷりを発揮し、それまでの延々二時間に渡る下準備が台無しだし、映画の役としても台無しになり、最後はクロード・ルベル警視のマシンガンで撃たれたら数m吹っ飛ぶという死に方はコントみたい。

微妙なのは登場人物の言葉も。根本的な対立はアルジェリアとフランスで、そこにイタリアに行ったり、デンマーク人に変装したりするのに、各国の市井の人々が皆英語を話すので違和感しかない。まだフランス訛りだったり、イタリア訛りだったら分かるのに、訛りもなく、英語教育なんて受けていないであろう人々まで綺麗に英語話すのだから、「ここは何処で、この人達は何なの?」と頭がクラクラして来る。変装しているのに特に訛りが無い英語だったり、逆に誇張して訛りのある英語で喋り怪しまれるとかなりそうな所は一切排除。

この映画、1997年の映画「ジャッカル」と同じ部分は、暗殺者が標的を殺す為に新兵器を作り、パスポートを偽造し変装して現場までやって来るけれど、間抜けな狙撃で台無しになる位で、後は全然違う。似ていると言えば、追い詰める緊迫感が無い事や、追う方と追われる方の駆け引きが無く、暗殺者が勿体ぶった凄さを見せるのに結構アホっぽく、結局暗殺を依頼した黒幕はどうなったの?という部分も同じかもしれない。だけれど、こっちの方が散漫で盛り上がりも無く退屈で、気付いたら寝落ちしていたのが三回も。2時間20分位の映画なのに、何度も寝落ちで中断が入って、見終わるのに四時間位はかかってしまった。

☆★★★★
 
 
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