スタートレック 叛乱
2026年02月18日 水曜日ジョナサン・フレイクス監督、マイケル・ピラー脚本、パトリック・スチュワート主演の1998年のアメリカ映画「スタートレック 叛乱(Star Trek: Insurrection)」
スタートレックシリーズの映画としては九作目ではあるけれど、六作目までの映画はテレビドラマ「宇宙大作戦(TOS)」のその後を描いていたのに対し、七作目からは「宇宙大作戦」から百年弱未来を舞台にしたテレビドラマ「新スタートレック(TNG)」のその後を描いている映画三作目。
恒星間航行の技術を持たないバクー星人の村を惑星連邦とソーナ人が共同で秘密裏に監視していた。
その調査に参加したデータが突如命令を無視してバクー人の前に姿を現してしまい、更に監視していた惑星連邦とソーナの人々を人質に取ってしまう。
データの事件を知らされたジャン=リュック・ピカードはU.S.S.エンタープライズEでバクー星に行き、データを確保して修理を行う。
データに何が起こったのかを調べると、データはソーナ人から攻撃を受けた為に暴走した事が分かる。
更に調査を進めるとソーナ人と惑星連邦のダワティ提督が共謀して歳を取らない特殊な環境のバクー星からバクー人を強制移住させてバクー星の恩恵を奪い取ろうとしていた事が分かり、ピカードはそれを阻止しようとする。
この映画もYoutubeで「宇宙大作戦」の映画が無料で公開しているという情報を見つけ、一作目から順番に見始めて六作を見終わり、「新スタートレック」の方の映画四作も公開されていたので「スタートレック ファーストコンタクト」に続けて見た。
「新スタートレック」の映画四作は全部劇場公開時に見に行ったはずだと思うのだけれど、この映画は初めの暴走して遮蔽から顔だけ出すデータの所とかは覚えていたのに、それ以降の展開や映像を見た気がしなかったので、もしかするとこの映画だけ見に行かなかったのかな?とずっと疑問のままで見ていた分、新鮮に見れた。
これまでの二作はカークとピカードの顔合わせだったり、ボーグだったりと大きな宣伝材料的な目玉となる物があって映画意識が強かったけれど今作はそれが薄まって、主軸の事件の規模がそんなに大きくなく、「新スタートレック」で描いて来た倫理的問題や多数と少数の問題等を押し出していてテレビドラマの「新スタートレック」っぽさがあって、そこでは中々おもしろかった。
始まりからしてデータの暴走の謎を振って、「新スタートレック」ならここでオープニング・タイトルに行きそうな構成になっていて、そこからこの謎と陰謀を探って行き、艦隊の誓いを守る為に戦うピカードとか正に「新スタートレック」で、よりお金をかけた長尺の「新スタートレック」の一話の感じで楽しんで見れた。
これまでの映画では余り出て来なかったエンタープライズの日常が多めに出て来たり、笑いや軽いやり取り等の深刻な戦いだけではない「新スタートレック」の良さ、楽しさがあったし。
ただ、やっぱり説明不足な脚本なので、どうにもよく分からない部分やこの話をする為に強引な部分も多々あったし、やっぱり「新スタートレック」のシーズンを通して見る事に慣れているので、突然ウィリアム・ライカーとディアナ・トロイがやたらとイチャイチャしてるのは何なんだ?とはなったり、シーズン途中の何話も省略してのシーズン・ファイナルのシーズンまたぎの回の様な感じは変わらず。。
導入の暴走したデータの謎は攻撃を受けたからで全部済ましていたけれど、初めの掴みの振りにしてはすんなりと解決してしまった感じで物足りなさがあった。
そもそも何でエンタープライズからデータ一人だけ派遣されているのか?の説明は無いし、細かい所まで気になるデータなのでデータが関われば陰謀もその内何かで気付き、融通の利かないデータは何とかしようとするだろうに、そのデータを呼び寄せている意図もよく分からない。
惑星連邦とソーナ人が協力しているのもよく分からず、惑星連邦がこういう強制移住させる事なんて一番嫌うだろうに、どうやって交渉を成立させられたのか?と思うし、長期間の若さで釣られるって惑星連邦の上層部って急にそんな感じなの?と思うし。
ここら辺の惑星連邦の評議会がどう思っていたのかとかはダワティ提督の話からでしかないし、最後あっさりと評議会が中止をしたので、ダワティ提督が実際にする事を言わずに嘘を付いて上手く評議会を説き伏せて、ほぼ独断で暴走していたのかとも思うしかないのかしらん。
それにしてもこの提督も「新スタートレック」でも時々出て来た、各映画シリーズでも必ず出て来る、正義だ、惑星連邦の為だと言って暴走してしまう高官で、こういう高尚っぽい、非常に前向きな事を声高々に言っている人間に強い権力を与えると碌な事にならないって古今東西なので、理想的な惑星連邦であってもスタートレックシリーズで出したがるんだろうなぁ。
あと、バクー人も都合が良過ぎで、バクー星が不老の星だと知ってか知らずか移住したのかは描かれず、不老で再生される星はSFと言うよりもファンタジー過ぎる気がしたし、大人は老けないけれど子供は成長し続けるとか都合が良いし、更に時間を遅く出来る能力って、そりゃ何だ?
時間を遅らせる映像としての強さを狙っただけで何かに役に立った訳でもないし、これはいらなかった気がした。
それと、バクー人はもう数百年もあそこに住んでいるのに村の家や村の周りの作りが如何にも最近作りましたよな外のセット感が凄いのが安っぽく、まあこれがテレビドラマでそんなに製作費も回せなかった「新スタートレック」っぽいと言えばそうなんだけれど、お金も時間もより制限のあるテレビドラマと比べて映画なのに結構しょっぱいのは頂けなかった。
バクー人に対する倫理的な正義の話も突っ込みが緩い感じがして、バクー人は元々は別の星から移住して来た別星人だから移住は問題無いと言い出すとか、この星の不老の効果を知って移住して来たのならバクー人と我々がしている事は違わないと言い出すとか、全部バレてしまったので惑星連邦とバクー人での直接交渉しだすとかをもっと突っ込んで描けばピカードと提督の言い合いももっと踏み込んだ話になって良かったのにとは思う。
この「新スタートレック」の映画シリーズはもうピカードとデータを中心にする事を決めたのか、二人の話が多い分、他のレギュラー陣の存在がどうしても薄くなり、ライカーはジョナサン・フレイクスが監督をしているからというのもあるだろうけれど補佐役で、あくまで惑星のピカードが主で、エンタープライズの戦いはその脇筋感が強かったり、ジョーディ・ラ=フォージは感動的な自分の目で見る朝日の話もあったけれど前作で初登場の機械義眼が今回は見せ場も無く普通の目に戻したり、トロイはイチャイチャ要員で活躍もほとんどないし、ビバリー・クラッシャーは前作に引き続き、そう言えばいたなぁ…位の感じで皆物足りない。
今回もこの映画の時はまだ「スタートレック:ディープ・スペース・ナイン」が放送中で、そちらにウォーフがレギュラーで出ていたので「スタートレック ファーストコンタクト」の時はボーグの攻撃の為にU.S.S.ディファイアントでやって来ていた所をエンタープライズEに助けてもらってとちゃんと理由を説明していたのに、今回はどうするのかと思ったら物凄く有耶無耶で、ウォーフがエンタープライズにいる理由を話そうとした所で遮ってしまい、制作側としては「まあ、そこはいいじゃん」という笑いにはしていたけれど今回はもうそこはいいでしょと放り出していたのは残念だった。
主役のピカードは映画になってから、映画の一作目の「スタートレック ジェネレーションズ」でカークに出会ったからなのかカーク化が進み、本来なら上陸班はライカーの役割なのにピカード自ら現場に赴いて調査に周って今回も率先して戦うし、バクー人の女性との恋愛もあるし、最後には敵のボスとの一対一の直接対決もするし、「新スタートレック」のピカードなら敵を捕まえて罪を償わせようとするだろうに敵は爆発で死んで自分だけが助かりましたで終わりと、どんどんとピカードのカーク化が進んでしまっていて、これが好きじゃない。
映画になった途端、如何にもハリウッド映画的な主役の立ち回りになって折角のピカードの良さがどんどんと失われてしまっている気がしてならなかった。
この映画、これまでの二作みたいに映画的なモノを狙ったのとは違い、「新スタートレック」の方に立ち戻った感じで、こっちの方がすんなりと見れた感じがして結構良かった。
特に一作目、二作目と派手に大きく来てのこの感じの三作目なので、シリーズとして見るとここでのこの「新スタートレック」感は中々良い配分だと思いました。
☆☆☆★★
関連:宇宙大作戦 シーズン1・2・3
映画スタートレックI・II・III・IV・V・VI
新スタートレック シーズン1・2・3・4・5
スタートレック ジェネレーションズ
スタートレック ファーストコンタクト