スタートレックIV 故郷への長い道

2023年07月13日 木曜日

レナード・ニモイ監督・出演、ウィリアム・シャトナー主演の1986年のアメリカ映画「スタートレックIV 故郷への長い道(Star Trek IV: The Voyage Home)」
テレビドラマ「宇宙大作戦」の映画版四作目。

前作でカーク達はクリンゴン人との戦いでエンタープライズ号を自爆させ、バード・オブ・プレイを盗み出して脱出した。
その一連の裁きを受けるために地球の惑星連邦本部へ向かっていたが、地球に謎の飛行体も向かっていた。
その飛行体の電波により地球は混乱に陥り危機に瀕していた。
カーク達はその飛行体の発する音波から地球では既に絶滅したザトウクジラとの交信を目的としている事を見つけ出し、飛行体を止める為には過去からザトウクジラを連れて来る事だと判断して20世紀末の地球へとタイムトラベルする。

元々は「スタートレック:ピカード」と見ようとして、だったら「新スタートレック」も見ようと思い、だったら数話しか見ていない「宇宙大作戦」を見てからと思い、「宇宙大作戦」を全話見終わったので、だったら映画も見ようかと思ったんだけれど、ドラマは「スタートレック:エンタープライズ」まで配信しているNetflixでは映画が全く配信されておらず、Amazon プライムビデオで検索したら何故かこの四作目だけが配信していたのでとにかく見てみた。
ただ、これから見たのは失敗だったかも。
初っ端で説明はあるものの思いっきり前作からの続編で、エンタープライズは前作で爆発したのでほぼ出て来ず、最後に少しだけ出て来る程度で、ずっとバード・オブ・プレイでの話でエンタープライズでのお馴染みクルー達の活躍が見れない。
スポックは前作で何かあったらしく記憶が無いみたいでカークやマッコイとのお馴染みの漫才が微妙。
中盤は多分前作とは関係無い話にはなっているだろうけれど、最初と最後の裁判が何のこっちゃで取って付けた感しかない等々、結構置いてけ堀。
ここら辺はそういうモノかと割り切って見ていたけれど本編の話も微妙と言うか「宇宙大作戦」の既視感が結構あり、しかも「人知を超えた圧倒的な存在が何だか分からない理由で翻弄して来る」と「安易にタイムトラベルしちゃう」という「宇宙大作戦」で何度も使い回されていた、わたしが全く好きでない要素で構成されていて、これで結構興味が損なわれてしまっていた。
本当に「宇宙大作戦」って人知を超えた存在の攻撃が好きだよなぁ。
これは「宇宙大作戦」から飽き飽きしていたし、お手軽なタイムトラベルも「宇宙大作戦」で散々やっていた「初めて降り立った未知の惑星なのに地球人そっくりの異星人とほぼ地球と同じ文化」のセットや衣装をそのまま使えて製作費を抑えられるからの理由しか見えて来ない安っぽさがこの映画でもあり、特撮等をあまり使わず、在り物の現実の町で撮影した方がセットとかの費用を抑えられる感ばかりが見えてしまって結構覚めていた。

過去の地球部分は結構コメディ的なドタバタ感があって、これはこれでおもしろいけれど、これって何話もある「宇宙大作戦」の中の一話として、それこそ映画シリーズの中の四作目だから変わった方向性になって楽しめるのかもしれないけれど、「宇宙大作戦」を見終わった後にこの映画だと大分肩透かしになってしまった。

クルーの面々も「宇宙大作戦」から二十年後の映画なので急な変化も戸惑いの部分。
カーク役のウィリアム・シャトナーは太っちゃって「宇宙大作戦」のあの魅力的なカークの面影が大分薄くなってしまっているし、太ったで言えばチャーリー役のジェームズ・ドゥーアンが物凄く太ってしまい、最早あのチャーリーの面影がほとんど無くなってしまってちょっと悲しかった。
何かと直ぐに船を離れたがるカークやスポックの代わりにブリッジで船を仕切る赤制服のチャーリーが好きだったんだけれどなぁ。
一方スポック役のレナード・ニモイやマッコイ役のディフォレスト・ケリーって「宇宙大作戦」の時はまだ三十代、四十代だったに老け感が凄かった分だけ、あれから二十年経ってもそれ程老けた風には見えず。
久々に映画を見たし、しかもどれ位振り?十年二十年以上振りに吹き替えで映画を見たけれど、各クルーの人達の吹き替えが「宇宙大作戦」で放送当時にはカットされていた部分を後から追加収録した時に担当した声優がしているので「宇宙大作戦」からはそれ程違和感無く見れた。
ただ、チャーリーとウラは声優が違い、ウラ役のニシェル・ニコルズも太って髪型も違がっていて、特にウラは♪お前~誰だよ!状態ではあった。

SFとしてもエンタープライズが全然出て来ないし、宇宙での戦闘場面も無いし、謎の飛行体は円柱だけという素っ気無さで面白味が無いし、簡単に過去にタイムトラベルして簡単に元に戻って来ておもしろくはないんだけれど、でもこれって正に「宇宙大作戦」的ではあるのか。

この映画を見ていて、1980年代の地球に戻ってその時代と23世紀との感覚の違いで笑いを取る場面があったけれど、これが今見ると違う感じで見れてしまった。
台詞でこの時代は原始的で野蛮だと言っていたけど、今から見ると1980年代って確かに原始的で野蛮なんだよなぁ。
逆に言うとこの時代にこれをやっているという事はこの時代の人もそういう感覚があったという事なのか。
あと、チャーリーがパソコンを使おうとして23世紀ではほとんど音声入力なのでパソコンに呼びかけ続けても反応が無く、マウスを使ってと言われてマウスを手に取ってマイクの様にマウスに話しかけるというボケがあったけれど、これも今だと音声入力が普及していて、このチャーリーがそんなにボケにならなかったりするかも。
スマートフォンが普及してタッチパネルが当たり前になって、小さい子がテレビを指で押したりなぞったりして何も反応しない事に不思議がるなんて事もある今の時代にはチャーリーの行動がそんなに笑えない感じになっていて、この映画から四十年も経っていないのに23世紀の方の感覚に近くなっている現在の技術に何か不思議な感じがしてしまった。

この映画、やっぱりこれから見るべきではなかったかな。
これ以外の映画がサブスクリプションには無かったし、この映画も配信終了間近だったので見たのだけれど、何処から見ても特に前との繋がりも無く一話で終わる「宇宙大作戦」の感覚で見たら思いっきり前作からの続きで、当たり前なんだけれど一作目から順番に見て行く方が良かったか。
映画自体は「宇宙大作戦」らしいと言えばらしい「宇宙大作戦」から擦り倒されたネタでそんなにおもしろい訳でもなく、もし映画一作目から続けて見出してもこの映画は一回見たからいいや…な映画かな。

☆☆★★★
 
 
関連:宇宙大作戦 シーズン1
   宇宙大作戦 シーズン2
   宇宙大作戦 シーズン3

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