ニュージーランドの若大将

2015年01月19日 月曜日

福田純監督、加山雄三主演の1969年の映画「ニュージーランドの若大将」。
若大将シリーズ14作目。

今回の田沼雄一は前作「フレシュマン若大将」と同じ日東自動車勤務。オーストラリアに二年駐在していたが、日本へ帰国。飛行場でライバル会社の営業を見つけ追う所で節子さんと偶然出会う。田沼雄一は海外宣伝部に配属され、ライバル会社が力を入れているニュージーランドへと赴くと、節子さんや青大将やダーリンこと元江口が大集合。

前作「フレシュマン若大将」を見た時、今までの大学生編がそうだったので、「これ、次作から似た様な展開になるんだろうなぁ…。」と思ってしまったけれど、正にその通り。ほぼ前作と言うか、今までのシリーズと似た様な典型の連続でつまらないつまらない。
折角前作で社会人編が始まり、「仕事も、家族も、恋愛も」で新たな事を始めていておもしろくなっていたのに、今作はそれを捨て去り、偶然出会う若大将と節子さん。若大将がモテモテなので離れて行く節子さん。その間を突き節子さんを攻める青大将。結局好き同士だからという前提でしか描かれない適当な恋愛劇等々、何時もの若大将シリーズになってしまっていて残念。前作は新入社員からの敵対企業の陰謀だの、好きな節子さんには江戸っ子の兄がいて面倒臭い事になるとかがあったのに、今回の仕事は敵対企業の扱いが物凄いお座なりなまま、直接対決も無いまま、ニュージーランドでパレードだけしてお終いとか、恋愛も若大将が「勝手にしろ」と捨て台詞吐いた直ぐ後に、何故か若大将を見てにっこりほほ笑む節子さんが若大将と仲直りとか、最後も急に氷河に節子さんと青大将が二人で行き、ガンガンに攻めて来る青大将の元に若大将がやって来たのでスキーして、めでたしめでだし…とか、本当に脚本酷い出来。
若大将の父親の勘違い恋愛劇もやっぱり今回もあって、そこはそこで父親演じる有島一郎が張り切っていて誰よりも笑い担当で良いのに、やっている事は前作とほぼ一緒な上、前作の方がまだ真面目にコメディしていて良かった。
何より、社会人編になってからのヒロイン演じる酒井和歌子が良くない。前作での驚く程普通な女の子感からは少し華やかさは出て来ているけれど、見れば見る程嫌な女にしか見えて来ない。これまでの青大将は親の金持ちを背景に偉ぶる大学生で、星由里子演じる澄子さんに強姦未遂まで行くクソ野郎だったので、澄子さんの冷たい感じや若大将の当て付けだけの存在はそんなに気にはならなかったのに、青大将は社会人編になってから親が宛がったとは言え、ちゃんと社長として走り回って仕事していて、強引ではあるけれど憎めない奴なのに、その青大将を物凄く冷たくバッサリと切ってしまう節子さんは青大将が若大将の親友であっても関係無く、少しの愛想も振らない物凄いわがままな感じしかして来ず、嫌な奴感が凄い。毎回ほぼ一緒の内容だったのに大学生編は12作も作られて、一方社会人編は今までと違ってサラリーマン喜劇していて結構おもしろいのに5作だけなのは、やっぱり若大将は澄子さんじゃなくっちゃ…って事なんだと思う。

他の出演者では、自動車の脇に立つモデル役の中山麻理のその顔は今でもモデル顔なんだけれど、物凄い胴長短足で足がムッチムチ。今の感覚だと、「モデルとしては相当きつい!」と思うけれど、確かに50年近く経てば求められる体型は変わるし、全体的な若者の体型も変わるよなぁと、変化に関心が向いてしまった。
若大将の父親が熱をあげる女性として出て来るのがうつみ宮土理だったので、ちょっと笑ってしまった。今は「ケロンパ」なんだけれど、当時はまだ26歳で、父親が惚れるのも納得の美人設定だったのだろうかが気になって仕方ない。

社会人編二作目にして、早くも若大将シリーズ特有の毎度同じ事を繰り返す典型化に落ちてしまい、更には毎度の海外に行った時の話が散漫でグッチャリする感じが出て、折角違う事をしたはずの社会人編一作目「フレシュマン若大将」が台無し。やっぱり「フレシュマン若大将」が社会人編の頂点かな…。

☆★★★★
 
 
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