エレキの若大将

2014年12月24日 水曜日

岩内克己監督、加山雄三主演の1965年の映画「エレキの若大将」。
若大将シリーズ六作目。

毎度同じ田沼雄一の大学生活を描いた映画。今回は部活はアメリカンフットボール。青大将の交通事故をかばって修理費を稼ぐ為に青大将達とエレキギターバンドを結成し勝ち抜き合戦に出場。競ったバンドと喧嘩して勘当。プロのバンドとして活動し始め、星山澄子とバンドオーナーとのちょっとした恋愛話と、まあ何時ものやつ。

映画の公開時期はビートルズ来日前でエレキブームまっただ中。これから来るグループ・サウンズのブーム前とまさに時代の流れを取り入れ、先駆けた映画で、題名通りやたらとバンドの場面が多い。多いけれど、毎回のスポーツと歌の合わせ技がバンドの場面が多いから逆にスポーツが余計に思えて来る。これまでは加山雄三が突然歌い出すという変な構成もあくまで歌はオマケ程度だったのに、今回はバンドの話を中心にしたのでほとんどバンドの話なのに、最初と終わりに無理矢理アメフトの話を入れているので、何時も以上にスポーツの話が余計にしか思えない。アメフトの話でまとめようとするので、終盤で澄子さんが田沼雄一を好きになったり、諦めたり、やっぱりくっ付いたりが訳も無いままさらっと流れてしまい、何時も以上に恋愛話が適当過ぎる。
それに今回は終盤で突如の主人公の実家のすき焼き屋田能久が倒産するという劇的な展開をする。なのに、終盤のアメフトの話も展開しつつで時間も無いので、この復活劇も物凄いお座なりで解決してしまう。
毎回前半・中盤・後半がバラバラ過ぎるけれど、今回の終盤の展開のぶっこみ様に対しての適当な展開には呆れて来る。アメフトの話なんていらないから、ここの田能久の破産話で展開させたらいいのにと思うばかり。

歌はこれまでの映画でも歌われて来たけれど、今回は「夜空の星」「君といつまでも」と多分加山雄三の曲の中でも最も有名な二曲が登場。この二曲が有名なんで、これまでの映画の曲って、この二曲と似ていて亜種曲にしか聞こえなかった位。「君といつまでも」を歌う場面は、何故か星由里子と草原で二人で歌っていて、何だか面白くて笑ってしまった。「幸せだなぁ…」の語りの部分まであるんだけれど、何故か画面が真緑で演出意図が不明。緑色の画面で語るという意味不明、シュールな場面にやっぱり笑ってしまった。それに、加山雄三が歌う前に「君を思って作った」と言うのに、何故か二番から星由里子も一緒に歌い出し、「えっ?何で歌詞知っているの?」と訳の分からない展開に。しかも加山雄三はアコースティック・ギター弾いているのに音はエレキギター。更にこの場面の直ぐ後には、皆頭に笠を乗っけてバンドで民謡を歌うという、これまたシュールな場面が続き、この「君といつまでも」を歌う場面はシリーズ一のシュールな場面かもしれない。
グループ・サウンズはカッコ悪いけれど、一番カッコ良いのって二瓶正也。二瓶正也のドラム叩いている姿は、高い位置にギターを置いて弾いている加山雄三よりも全然カッコ良い。

田中邦衛演じる青大将は単なる嫌な敵役だったのが、前作「海の若大将」から完全にコメディーリリーフになり、今回も調子乗りの馬鹿なボンボンになっている。敵役は青大将以外に別にいて、もう立ち位置的にスネ夫。金持ちである事に大きくなって調子に乗り、面倒臭い事は全て田沼雄一に押し付けてしまう。でも弱いと、この小物感が楽しくなっている。一作目から大して変わりの無い加山雄三よりも、回を重ねる毎に出来上がって行く田中邦衛の方がおもしろい。しかし、ここ数作でのお決まり、「澄子さんに対する強姦未遂」をしてしまうので、トンデモないクズ野郎には変わりないのだけれど。そして、この強姦未遂後は特に後腐れも無く田沼雄一や澄子さんと普通に付き合う青大将という、もう彼らの思考がさっぱり分からない展開も毎度のお馴染み。
だけれど、もう流石に田中邦衛は大学生には見えなくなってしまっている。この映画で33歳。加山雄三でも28歳だけれど、田中邦衛は最近のおじいさんと大して変わらない老けっぷりだしなぁ。
クラブの仲間でバンド組むモンだと思ったら、何故かギターがやたら上手い蕎麦屋の店員が出て来て「何のこっちゃ?」だったんだけれど、これを演じているのが「エレキの神様」こと寺内タケシだったのか。にしてもよく分からない役ではある。

前作辺りから田能久の見た目が変わり始めているけれど、今回は店の門を潜ってから結構道が続いて奥まった所に店があり、段々と田能久が町の小さな老舗から、結構な高級店になっている。これって単に制作費が上がっただけなんだろうけれど、毎回同じ事している映画シリーズなのに、この微妙な変化って気持ち悪い。

この時代は普通だったのかもしれないけれど、現在だと全く分からないのが「戸棚に肉まん」。戸棚にそのまま食べ物を入れて置くのって、全くピンと来ない。
それに10万円あれば四人で日本一周旅行に行けるけれど、十人で沢山すき焼きを食べて五万円って全然金銭感覚が分からない。

この映画、バンドを中心に展開するのに物語上不必要なスポーツも入れたりして、やりたい事詰め込んで扱う題材を絞り切れず散漫で、一番の見せ場「君といつまでも」を歌う場面がシュール過ぎてグチャグチャして来るという、見終わると物凄くグッチャリ感しか感じない出来になってしまっている。

☆★★★★
 
 
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