銀座の若大将

2014年12月21日 日曜日

杉江敏男監督、加山雄三主演の1962年の映画「銀座の若大将」。
若大将シリーズの二作目。

京南大学の水泳部田沼雄一は、皆から若大将と呼ばれていた。田沼雄一は銀座のレストランで同大学の拳闘部のマネージャーが因縁をつけられた所を助けた為に、拳闘部へ勧誘され入部。そのレストランは田沼雄一の父親の友人が経営する店で、田沼雄一と娘との結婚を考えており、田沼雄一をレストランで修業させる。しかし田沼雄一はレストランの近所の洋裁店に勤める中里澄子の事が気になっており、更には妹の友人や同級生が田沼雄一を自分の方に振り向かせようとし入り乱れる。

一作目は大学生活を謳歌する部分が中心になっていたけれど、今回は恋愛話が中心になっている。だけれど基本的な「気の良い人間なので揉め事を起こし、父親に怒られて新たな生活を始め、部活動も恋も頑張る」というのは同じ。しかも、この時代のシリーズモノの邦画の特徴「主人公はほぼ同じ設定だし、出て来る登場人物も前作とほぼ一緒の役者なのに、前作で描かれた事を無しにして周りの登場人物達は別設定で、似た様な話を展開する」というのがあって、これがクラクラして来る。
一作目では田沼雄一はすき焼き屋の跡取り息子で、バンド活動に熱心という部分は同じだけれど、前作では水泳部のエースだったはずが、それは一切出て来ず、今度はボクシング部に入る。前作よりも前の話かとも思うんだけれど、前作の水泳部のマネージャーを演じていた江原達怡が別名の人物でボクシング部のマネージャーをしていたり、ヒロインである星由里子演じる中里澄子は前作と同名なのに役は別人で、田沼とは初めて会っていたりするので頭がグチャグチャして来る。小林旭の渡り鳥シリーズと同じで、要は続編だけれど前作とはほぼ関係無いリブートが連続するシリーズ。

話自体は、前作がとにかく大学生の青春を詰め込んだ様な話だったのが、少し軸が恋愛に移行したのであんまり大学生と関係無い部分が多くなっていた。ほとんどがレストランで家業の将来の為の修行だし、ボクシングは出て来るけれど話の骨子にはそれ程必要無い要素で、要は最後の見せ場の為のボクシングでしかないし、同級生との関わりもほとんど無い。今回も田沼の敵役の田中邦衛演じる青大将も登場はするけれど、それ程加山雄三には絡んで来ず、単に星由里子を強姦未遂するだけの役回り。謳歌するという部分では、中盤で急にスキーの場面が出て来るのだけれど、これが無理矢理見せ場を作ったかの様な取って付けた感ばかり。前作に比べたら大学生である必要性も薄れたし、「銀座の若大将」という題名だけれど、単に銀座のレストランで厨房や接待をしているだけなので題名に銀座を付ける必要性も無いしで、二作目にして方向性が迷走している感じ。ただ、話自体は恋愛に絞って見せているのでまだまとまりはあるかも。

加山雄三演じる田沼雄一は前作とほぼ同じなんだけれど、四人の女性に寄って来られるけれど好きなのは星由里子という恋愛模様になっているので、本人は単に無邪気なだけなのに他の女性を上手く利用したり、気を持たせ過ぎで、見ていると結構嫌な奴に見えてしまう。それに常にヘラヘラしているのは何なのだろうか?当時はそれが格好良かったという事なんだろうか?
やっぱり星由里子は可愛い。だけれど、今作では直ぐに田沼に思いを寄せたり、直ぐに落ち込んだり、直ぐに説得されたりと何だか頭の弱い子に見えてしまった。
田中邦衛の青大将はお洒落という人物なのだけれど、50年以上前のお洒落なので彼が本当に当時の最先端を行くお洒落なのか、変に凝り過ぎてダサいのかがさっぱり分からない。それよりも有島一郎演じる田沼雄一の父親の方がカッコ良いと思ってしまった。父親は老舗のすき焼き屋の亭主という事もあって、常に着物をパリッと着込み、雪駄を履いて銀座まで行く様な人で、当時は単に古臭い人という事の記号なんだろうけれど、今だと逆にお洒落だしカッコ良い人物になっている。
ただでさえこの当時田中邦衛は30歳で大学生には見えず、その周りの大学生役の役者も大学生には見えなかった。

それとやっぱり50年以上前なので言葉がピンと来ない部分も多かった。皆江戸弁が混じるので落語の世界の感じだし、悪口を言い合う場面で「アンパン出ベソ!」「この表六玉!」と言われても、何が悪口なのかさっぱり分からなかった。

二作目にして前作とはほぼ関係無いリブートの続編だと分かると、見るのがしんどくなって来た。大学生活にあんまり関係無い話ばかりだし、単に主人公がもてるだけの話で加山雄三と星由里子が引っ付くのが分かり切った展開で、一作目との違いを見るだけの映画に思えてしまった。

☆☆★★★
 
 
関連:大学の若大将
    ハワイの若大将
    海の若大将
    エレキの若大将
    歌う若大将
    レッツゴー!若大将
    南太平洋の若大将
    ゴー!ゴー!若大将
    リオの若大将
    フレッシュマン若大将
    ニュージーランドの若大将
    ブラボー!若大将
    俺の空だぜ!若大将
    若大将対青大将
    帰ってきた若大将

« | »

Trackback URL

Leave a Reply