ギターを持った渡り鳥
2013年11月21日 木曜日斎藤武市監督、小林旭主演の渡り鳥シリーズ第一作目、1959年の映画「ギターを持った渡り鳥」。
函館に流れ着いた流しのギター弾き滝伸次。町の親分らしき人に見初められ、彼の下で働くようになる。やがて彼らが地上げを企んでいる事を知り、その狙われている人々の為に戦い始める。
当時は、小粋な洒落た感じの映画だったのかもしれないが、今見てしまうと全編驚く程田舎臭いし、野暮ったいし、ダサいし、カッコ悪い。主人公が何時でも変な柄の付いたギターを背負って歩く革ジャンの男という、今だと完全コントな格好。サダム・フセイン子でお馴染み宍戸錠の頬には漫画みたいな傷があり、小林旭と宍戸錠が正面から銃で撃ち合うけれど、両方とも相手の拳銃に当たり落としてしまうとか、全体的にカッコ付けている割に間抜けな感じしかしない。
その主人公小林旭が今と全然違う。今のどっしりした感じとはかけ離れて細いし、顔も素人臭い垢抜けない野暮ったい顔で、目も小さいし、小林旭と言われないと絶対「嘘…。」ってなる。それに髪の毛の量。他の人は普通なのに、遠目からだと小林旭だけ一人帽子を被っているのかの様な毛量の多さ。
それに小林旭含め、みんな演技が下手。始まりの外国人と小林旭の殴り合いのグダグダして、どちらも殴り合いの演技のしょっぱさと言ったら無く、そこでもう挫けそうになってしまった。
話も、小林旭が函館にやって来るけれど、彼の目的は何で、函館で何をするつもりなのかも全く見せず、行き成り暴力で脅迫して追い出す立ち退き屋になってしまい「えっ??」と戸惑いしかない。悪ぶっても本当は良い奴というヒーローモノかと思っていたらそうでも無く、小林旭は元刑事と分かるのに暴力は見過ごす所か積極的に参加し、殺人に関しても知らんぷり。最終的に自分が殺されそうになったから戦いに行くという最低な奴。他の事も人物達も場当たり的な行動しかなく、1時間20分も無い映画なのに、何か中盤がどうでも良い様な事で時間を引っ張っている様で物凄くグダグダしていて、凄い退屈。
やっぱり何がしたいのかさっぱり分からない人物が主人公で、映画自体も何がしたいのかもさっぱり分からないので、見ていても勝手にハードボイルド風な何かをしてるだけ。
途中で無意味に函館山に登って話をするとか、思いっ切り日本映画やTVドラマで良くある現地撮影での提携で、見ていて白ける事甚だしい。
話には聞く渡り鳥シリーズだったけれど、なんでこれがシリーズ化したのかさっぱり分からない内容。ハードボイルド風ではあるけれど、全体的に何か間抜けな感じばかりだし、何より主人公が酷い男の上に魅力が無く、映画自体もつまらない。