海の若大将

2014年12月23日 火曜日

古澤憲吾監督、加山雄三主演の1965年の映画「海の若大将」。
若大将シリーズの五作目。

田沼雄一は友人のカンニングをかばって停学。海に憧れ航海士の免許を取っていたので海に出ようとして父親から勘当。田沼雄一、青大将、何時ものマネージャー、芦屋澄子の四人の航海が始まるけれど、やっぱり話の中心は田沼雄一と芦屋澄子の恋愛。

シリーズお馴染み、主人公田沼雄一の設定は大体同じだけれど前作は無かった事で、毎回田沼雄一と澄子さんが恋する展開は変わらず。毎回田沼雄一は違う部活のエースだったのに、今回は第一作目の「大学の若大将」と同じ水泳部になっている。何でシリーズ五作目で水泳部に戻ったのだろう?既に部活のネタ切れ?しかも加山雄三の台詞で「大学の若大将」と言わせているし、五作目なのに一作目のリブート映画?
展開は毎回前半がつまらないけれど、今回は今まで以上に前半が退屈。後半への振りなんだけれど、今までとほとんど同じで特に見る所も無いし、さっさと見せ場に行けよ…と思うまったりさ。しかも中盤の一番の見せ場は船での航海という前作「ハワイの若大将」のハワイでの撮影を考えると非常に地味に落ち込んでしまったし。
その後の終盤も、船が台風で流され島に辿り着き、カンニングは田沼雄一は関係無いと行き成り報告され、しかも全然水泳部での練習が描かれていないのにオーストラリアとの対抗戦の選手に推薦され東京に戻るという振りも何も無い適当過ぎる脚本で酷い。

田中邦衛演じる青大将は、これまでは完全に加山雄三の敵役で単なる嫌な奴だったのが、前作「ハワイの若大将」で性格は同じまま何故か田沼雄一が面倒を見るという中途半端な人物に変化していたけれど、今回はズルくて馬鹿で大口叩く割りに小心者な金持ちのぼんぼんという憎めないコメディリリーフになっていて、シリーズという部分ではほとんど一作目から変化も成長も何も無い田沼雄一よりも全然おもしろい人物に変化している。でも、これまでのシリーズに何度か出て来た強姦未遂を今回も張り切ってやってしまうので、酷いクズ野郎でしかないんだけれど。
毎回星由里子は可愛いけれど、やっぱり速攻で田沼雄一に惚れ、ちょっとした事で嫉妬し、あっさり田沼雄一とくっ付くアホさも変わらず。ただ今回は、田沼雄一が航海に出るとなって見送りに来た時缶詰をあげ、その包みの中に「自分の髪の毛をお守りとして入れている!」と喜んで言うサイコパスな顔もみせてしまい、何でただ可愛いだけでなく、少し怖さを入れた人物にしたのか分からない。加山雄三の反応の演出も完全に引いているモノだったし。更には、中々自分に攻めて来ない田沼雄一に対し、強姦未遂まで行く欲望むき出しの青大将を「勇気があって彼の方が良い!」と無茶苦茶な事を言い出してしまう。当てつけにしろ、襲われた青大将と普通に接してしまう記憶喪失かとも思える何も考えてなさは最早意味不明な人物。

停電になってエレキギターバンドが使い物にならないので、田沼雄一がアコースティックギター持って歌い始めるのだけれど、何故か伴奏はフルオーケストラでギターの音もしないという凄い笑いを挟んで来て、ポカーン…としてしまった。

おもしろかったのは大正生まれの人の評価。おばあちゃんが大正生まれの田沼雄一の父親に対し、「大正生まれは一番駄目。明治生まれは土性っ骨がある。昭和っ子はファイトがある。」と言っていた。この時代の大正人の評価ってこれが一般的だったのだろうか?数十年ある元号の区分で気質を語る意味は全く分からないけれど。
それと「土性っ骨(どしょっぽね)」という言葉は初めて聞いた。これって今はまず聞かない死語だよなぁ。何で使われなくなったんだろう?

あと、加山雄三の船でお馴染み「光進丸」も登場。加山雄三のごり押し感が凄いけれど、映画内では光進丸は青大将の父親の物で、青大将が船長になっていて、少しは遠慮もあるみたい。

今まで大学生活の派手な楽しさを描いていたのに、今回の映画は四人で船に乗るという非常に地味な見せ場になってしまい完全に急落。その後の振りもへったくれも無い、今までのお決まりの展開に沿う為だけの突然過ぎる酷い展開。派手さも無いし、脚本は今まで以上に酷いし、恋愛話も全然おもしろくもないのに前作以上に稼いだというのだから分からない…。昔から男前の若い俳優が出る映画は内容どうこうではなく人が入っていて、今も大して変わりはないんだろうなぁ…。

☆★★★★
 
 
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