若大将対青大将

2015年01月22日 木曜日

岩内克己監督、加山雄三主演の1971年の映画「若大将対青大将」。
若大将シリーズ17作目。

若大将シリーズなのにほぼ主役は青大将。青大将のやっとの大学卒業から始まり、就職して、やたらと色んな女性の尻を追い駆け回すという何時もの展開だけれど、そこに若大将が全然いないという変な映画になってしまっている。

社会人編も二作目位からすでにグダグダして、前作「俺の空だぜ!若大将」は完全に大学生編に逆戻りな以前と同じ展開に戻ってしまいグッチャグチャになってしまっていたけれど、今作は更に意味不明な展開に。
若大将シリーズなのに若大将はほとんど出て来ず、主役は完全に青大将。しかも、始めに前作から出て来た大矢茂演じる後輩の太田に「若大将を譲る!」と意味不明な名前の継承が行なわれ、ついでに青大将も後輩に名前を譲り、その太田がまるで以前の大学生編の様な展開をやってしまうのだから、「誰の映画で、今までのシリーズの意味は?」と疑問しか出て来ない訳の分からない展開で、ただただ酷さしか見えない。これまで主役だった、主役であるはずの加山雄三の若大将がほとんど出て来ない上、これまで様々な場面で盛り上げて来た田能久の田沼家の人々も一切出て来ず、最早若大将である必要も無い始末。
しかも、二代目若大将になった太田を演じる大矢茂は演技は酷いし、そもそもの光るモノが無く、凄い普通な人で全然映画を引っ張れず、しかも二代目若大将と言う割に出番は少なく、これでまだ大矢茂で若大将シリーズが続いたのなら顔見せ的な映画として意味もあるのだろうけれど、大矢茂のスター性の無さなのか、若大将を受け継いだ大矢茂では若大将シリーズが一切作られていないのだから、この映画の立ち位置さえグダグダ。

今回久々に青大将の強姦未遂が出て来るのだけれど、毎度若大将に対する当てつけで行動する節子さんは、日本に若大将がおらず、別に青大将の誘いに乗る必要も無いのに何故か付いて行ってしまい、結局どっちにも共感出来ないという、ここでも酷い展開が出てしまう。
その節子さんを助けるのが新若大将の太田なんだけれど、そんな助ける展開ならそこから節子さんと太田の恋愛関係に発展するのかと思いきや、そんな事は一切無く、何で太田に本来若大将がやるべき役をやらせたのかも意味不明。その太田の恋人役でほぼ節子さんと同じ感じの女性も出て来るのだから、人物の役割が更にグチャグチャしている。

この後に「帰ってきた若大将」が作られてはいるけれど、この映画から十年後のおまけ的な映画で、実質的な若大将シリーズの最終作と言ってもいいこの映画なのに、何故か加山雄三の若大将が全然主役になっておらず、急に今まで若大将の引き立て役だった青大将が主役になってしまい、そこに二代目若大将が出て来てしまい、最早誰を中心に見せたいのかさっぱり分からず、もう構成がグチャグチャし過ぎて目も当てれない。まだそれでおもしろくなればいいのだけれど、これが全てが散漫でグダグダしっ放しで脚本もつまらなく、物語映画ではなく加山雄三歌謡ショーの記録映像だった特殊な「歌う若大将」を除けば、シリーズでもっと酷い駄作。特に今まで以上の対決がある訳でもないのに、なんで「若大将対青大将」なのかもよく分からないし。ここまで酷くなって、やっとシリーズが終了したって、当時の映画界の商売姿勢は今以下の凄いモノだったのか…。

★★★★★
 
 
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