ボーン・スプレマシー

2022年03月27日 日曜日

ポール・グリーングラス監督、マット・デイモン主演の2004年のアメリカ映画「ボーン・スプレマシー(The Bourne Supremacy)」
シリーズ二作目。
ロバート・ラドラムの小説「殺戮のオデッセイ」が原作。

前作から二年後。
ジェイソン・ボーンはマリー・クルーツとインドで静かに暮らしていたが殺し屋に見つかりマリー・クルーツは殺されてしまった。
CIAの仕業だと思ったジェイソン・ボーンはヨーロッパへと向かったが、CIAはドイツでの作戦でCIA局員を殺した犯人を現場に残された指紋からジェイソン・ボーンだと思っている事を知った。
ジェイソン・ボーンは誰が自分を罠にかけマリーを殺したのかを探るべくドイツへと向かった。

一作目が設定や展開がおもしろかっただけに続編も期待して見てみたけれど、全体的にまったりしていていまいち盛り上がらなかった。

一作目は記憶喪失なので自分は何者なのかを探りながら襲い来る暗殺者を倒して行くのがサスペンスとしてもアクションとしてもおもしろく、続編でもこのサスペンスとアクションの上手い融合を期待していたけれど、この映画はアクション少な目で、常にジェイソン・ボーンが先回り、CIAは振り回されて常に後追いで何も出来ないという事の繰り返しで、前作の悪役がやっぱり犯人という捻りも無い展開で結構退屈だった。

ジェイソン・ボーンが凄いという前提は分かるものの、一作目ではジェイソン・ボーンが突然の窮地を潜り抜けて行く展開がおもしかったのに、今回はジェイソン・ボーンの凄さだけが目立ってCIAは常に間抜けで何も出来ておらず、ワード・アボットがジタバタするだけだし、パメラ・ランディは出来る感じを出しているけれど全てジェイソン・ボーンから情報を頂いているばかりでCIA側がおもしろくなかった。
そもそも、凄い殺し屋が仕掛けた爆弾が爆発せず、その爆弾に堂々と指紋が残っている時点で怪しまないのか?と思うのに、それに気付いたのはワード・アボットの部下だけとか、どう見てもワード・アボットは怪しいのにパメラ・ランディは尾行や彼の調査もしないとかCIA側のお座なり感が強い。

アクションは監督が一作目と変わってしまったからなのか、常にカメラをぶらして短くカットを繋ぐ編集でまあ見難い。
このアクションの見せ方や編集は一時期のアクション映画で多用されていた印象で、これが先駆けの中の一作なのか?とも思うし、この映画の当時に見たのならまだ斬新だったり、カッコ良く思えたのかもしれないけれど、わたしはこれが大嫌いで、今誰が何をしているのか分からないアクションには本当に飽き飽きしているので、この映画のアクションも結構辟易していた。

敵の殺し屋役でカール・アーバンが出ていたけれど、見ていた時はこの人何かで見た事あるよなぁ…と思っていて調べたら、2009年からのケルヴィン・タイムラインのスター・トレックの映画シリーズでレナード・マッコイを演じていた人と分かって、ああ、そうだとなった。
ちょっとおもしろいのはレナード・マッコイのあだ名がボーンズだという事。

この映画、一作目からの期待が大きかったからかもっとアクション映画を期待していたのに、一作目の増強版路線ではなくサスペンス寄りになって、そのサスペンスが結構ゆったりと進んで行く感じがいまいちはまらなかった。

☆☆★★★
 
 
関連:ボーン・アイデンティティー
   ボーン・アルティメイタム
   ジェイソン・ボーン

ボーン・アイデンティティー

2022年03月25日 金曜日

ダグ・リーマン製作・監督、マット・デイモン主演の2002年のアメリカ映画「ボーン・アイデンティティー(The Bourne Identity)」
ロバート・ラドラムの小説「暗殺者」が原作。

マルセイユ沖の海面に気を失って漂っていた男が漁船の乗組員に助けられた。
男は体に銃弾を撃たれており、乗組員が弾を取り出している時に皮膚の下から小さなカプセルも見付けた。
意識を取り戻した男は自分が何者なのかも覚えておらず、唯一の手掛かりはカプセルが示すスイスの銀行口座だけだった。
男はスイスへと向かい、銀行の貸金庫の中身を調べるとジェイソン・ボーンという名前のパスポートが出て来て自分の名前を知るが、そのパスポート以外にも複数の国のパスポートと各国の紙幣と銃が入っていた。
ジェイソン・ボーンは自分が何者なのかを調べようとするが各国の警察に手配されており、更には殺し屋がジェイソン・ボーンを狙って襲って来た。

この映画は確か以前に見たはずで、記憶を失ったマット・デイモンが自分が何者なのかを知ろうとして戦う位の覚えしかなかったけれど、改めて見てみたら結構おもしろかった。

自分自身の記憶が無いのに何カ国語も自然と話し、攻撃されそうになったら体が勝手に反応して動いて、しかも強く、自分はおかしいと思いながらも自分を調べ始めると殺し屋が襲って来て…という展開はおもしろく、集中力が途切れる事無く最後まで一気に行く。
サスペンスだけでなくアクションやカーチェイスも結構おもしろくて、ペンを使っての格闘とか、開けた草原でショットガンで間合いを詰めて行く銃撃戦とかアクション映画としても中々おもしろかった。

ただ、原作小説が1980年に出版されたからか、設定とか展開が今となっては古臭い部分も。
主人公が無敵の殺し屋だけれど記憶喪失とか、途中で偶然出会った女性を巻き込んでしまって恋仲になるとか、余りにベタ。

それにCIAの行動がよく分からず、「ジェイソン・ボーンが暗殺作戦失敗した」→「連絡も無いし、戻っても来ない」→「きっと裏切ったに違いない」→「殺せ!」って、3000万ドルもかけた計画なのにはっきりとした理由も分からないのに殺そうとするとか非常に短絡的。
ジェイソン・ボーンを現地の警察を使って追い込むんじゃなくて、顔見知りのCIA局員が直接会って話聞くべきじゃないの?

あと、トレッドストーン計画については詳しく描かれていないので、結局ジェイソン・ボーンは何者で、バリバリな暗殺者が子供を見ただけで何で急に暗殺を辞めたのかとか、記憶を一部取り戻したら何で暗殺者を辞めたのかとかが分からないままで終わってしまうのが結構モヤモヤ。
そこら辺は続編で描かれて、この行動も納得出来るんだろうか?

役者は主人公の無敵の暗殺者とヒロインが決して美男美女でもない所は良いのだけれど、やっぱりマット・デイモンが無敵の暗殺者には見えないのがどうも。
見た目からして如何にも殺し屋です!では怪しまれてしまうので地味な普通の人の方が良いのかもしれないけれど、この役がマット・デイモンにピッタリかと言えばそうでもない様な気がしてしまった。

他にはクリス・クーパーブライアン・コックスクライヴ・オーウェンが出演しているけれど、クライヴ・オーウェンは若いからなのか痩せていたからなのか、見ている時は全然気付かずに、あの殺し屋だったのかと後から気付いた。

この映画、今見るとマット・デイモンが若いとか、設定がベタ過ぎとかあるけれど、その設定を上手く使って抑えつつも盛り上げて、おもしろい暗殺者のアクション小説を一気に読んだ様な感じ。
ジェイソン・ボーンが何なのかが知りたいから続編が出来るのも納得な映画だった。

☆☆☆★★
 
 
関連:ボーン・スプレマシー
   ボーン・アルティメイタム
   ジェイソン・ボーン

「伊集院光とらじおと」が終わった

2022年03月24日 木曜日

伊集院光とらじおと」が終わってしまった。

わたしは以前から「深夜の馬鹿力」を聞いていて、その中で「伊集院光とらじおと」の話が出て来て興味を持った時に後から聞く位だったのが、何時頃からか毎日聞く様になり、パソコンで作業しながら聞くのが日課になっていた。
色々揉めたんだろうなぁ…とは思うけれど、深夜の番組とは違うおもしろさがあって楽しかったので終わってしまって残念。

「俺の5つ星」の様な、リスナーの思い出の飲食店がその後どうなったのかをリスナーからの情報で追跡調査するコーナーなんてラジオでしか中々出来ないし、音楽をサブスクリプションで聞く最近の便利な世の中でもここでしか聞く事が出来ず、多分今後もそのレコードを入手しない限りは聞けないであろう「アレコード」とかは物凄く好きだった。

それぞれのコーナーのおもしろさもそうだったし、「伊集院光とらじおとゲストと」もゲストから話を引き出す伊集院光のインタビュアーの力量が凄かったし、最終回で伊集院光自身が話していたけれどニュースの扱いの慎重さで、わたしが唯一ニュースに接するのがこの番組だったしで、何時の間にかにわたしにとっては結構大きな日常になっていた分だけ穴は大きい。

この穴だけれど、元々朝や昼のラジオをほぼ聞かないので何かの深夜ラジオで埋めて行くしかないのかな。

バイオハザード: ザ・ファイナル

2022年03月19日 土曜日

ポール・W・S・アンダーソン製作・監督・脚本、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演の2017年の映画「バイオハザード: ザ・ファイナルResident Evil: The Final Chapter)」
ゲーム「バイオハザード」を原作とした映画シリーズの6作目で最終作。

荒廃したワシントンD.C.の建物に入ったアリス・アバーナシーの目の前のモニターにアンブレラの人工知能レッドクイーンからのメッセージが映し出された。
レッドクイーンはアンブレラはT-ウイルスをせん滅出来る抗ウイルス剤を開発しており、48時間以内に散布しなければ生き残った少数の人間は絶滅してしまうのでアリスにラクーンシティの地下施設ハイブまで取りに行って欲しいと伝える。
ラクーンシティへと向かうアリスだったが彼女の前に死んだはずのアイザックス博士がアンブレラの部隊を引き連れて現れて攻撃して来た。

このシリーズは一作目と二作目まではゲームの「バイオハザード」を映画化している感じでまあまあおもしろくはあったけれど、それ以降は最早「バイオハザード」でもない、ポール・W・S・アンダーソンの好き勝手な駄作シリーズとなって完全に惰性で見ており、GYAOで無料で見れるからシリーズの最後まで見てみようで見たけれど、やっぱりこのシリーズは回を重ねる毎にドンドンとつまらなくなり、最終作は一番つまらなかった。

まずはこのシリーズの伝統となった、前作の最後にぶち上げた続編に続きそうなネタを続編では無視して始まるという例のやつが今回もで、今回が一番酷かったかも。
前作では何故か人類を救うとか言い出したアルバート・ウェスカーがホワイトハウスにアリスや生き残った人間を集めて押し寄せる感染者と戦う…という所で終わったのに、今回は「ウェスカーが裏切った」とだけの説明で何があったか全く分からないままで始まる。
ジル・バレンタインやレオン・S・ケネディはどうなったの?とか、何でアリスだけ生き残っていて他の人間が一人もいないの?とかの説明は一切無し。
前作まではバンバン人を殺して全人類を抹殺しようとしていたレッドクイーンが行き成りアンブレラの人間には逆らえない?人命を優先?とか言い出すし、アルバート・ウェスカーは四作目でT-ウイルスで変異して高速で動いたり、強くなったはずなのに今回はそれが全然見えず、何故かアイザックス博士の言いなりで、しかも活躍場面が無くている必要もない。
アリスは急に子供の時の記憶が無いとか今まで全く言ってなかった事を突然言い出すし、もう前作までの流れは無視で、その時思い付いた事をやるだけの何時ものポール・W・S・アンダーソンの酷い脚本がさく裂。

今回は前作には全く登場しなかったクレア・レッドフィールドが再登場するけれど、ここでも兄のクリス・レッドフィールドがどうなったのかをアリスが尋ねもしない。
このシリーズではお金なのか、シリーズに愛想をつかしたのかで役者が再演せずにその登場人物が出て来ない場合は、その人物に一切触れないという製作者に優しい仕様は最後まで。

一方で三作目で登場して死んだはずのアイザックス博士が再登場したけれど、このシリーズでは死んだはずの人物が続編に登場すると全てクローンでしたで片付ける、これまた製作者に優しい仕様は最後まで。
こっちはじゃあ何で既に抗ウイルス剤があるのにアイザックス博士のクローンを作って三作目でアンチウイルスの研究をしていたのか?とかの疑問が出て来るけれど、当然その説明は無し。

抗ウイルス剤は少量の一本だけでも空中に散布すると一気に感染者が動かなくなり、世界中に飛散するという無茶苦茶な便利設定というのも酷い。

アンブレラの創設者がアイザックス博士で、滅び行く人類ならば自分達で滅ばせて、その後に少数の人間で理想郷を作るなんて2017年にやる?って程の安っぽさで、人類が滅亡して自然までほぼ壊滅状態の世界に少数の金持と権力者だけで再建するとか無理しかない。
畑を作ったり、家建てたり、機械を修理したりとかをしなくてはいけないのに金持と権力者なんて何にも役に立たないじゃん。
このシリーズを通してアンブレラって馬鹿の集まりとしか思えないのに何故ここまで牛耳っていれたのだろう?

それに毎度の、見た目は良くて何か活躍しそうな人物は役が何も立たないまま死んで終わりという、これまたポール・W・S・アンダーソンのお馴染みの脚本。
ローラが出演していたけれど、二三言話して特に活躍も無く死亡して、その死にも誰も何も触れないという、正にモブ。
このシリーズってキャラが立ちそうなモブが次々と死んで行くだけの映画という印象ばかり。

脚本の酷さに加え、今回は映像が非常に見難かった。
アクション場面はカメラをぶらして短く編集して誰が何をしているのかが分からない上に、普通の場面でもカメラをぶらして見難く、ずっと見難い。
途中で仲間が襲われる時も誰が死んだのか分からない程、誰が何されたのかがさっぱり分からない。

この映画、シリーズ最終作としてアンブレラの目的がやっと出て来て、アンブレラが壊滅してまとめた感じではあるけれど、本当につまらないシリーズだった。
一作目と二作目までで見終わっても十分なシリーズだった。

★★★★★
 
 
関連:バイオハザードII アポカリプス
   バイオハザードIII
   バイオハザードIV アフターライフ
   バイオハザードV リトリビューション

バイオハザードV リトリビューション

2022年03月13日 日曜日

ポール・W・S・アンダーソン製作・監督・脚本、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演の2012年の映画「バイオハザードV リトリビューション(Resident Evil: Retribution)」
ゲームの「バイオハザード」が原作で、シリーズ五作目。

前作の最後にアルバート・ウェスカーを倒したアリス・アバーナシーだったが、そこにアンブレラの部隊が襲撃。
アリスが気付くと謎の施設に監禁されていた。
アリスは脱出しようとするとウェスカーがモニターに現れ、そこはアンブレラのロシアの海底の実験施設であり、唯一T-ウイルスに適合したアリスだけが人類を救えるのでチームを送り、そこから脱出させると言って来た。
アリスは脱出を助けてくれるエイダ・ウォンと共に実験施設で敵と戦いながら脱出を目指し始めた。

このシリーズはまだ一作目と二作目までは「バイオハザード」していたのに、三作目以降「バイオハザード」でもない訳の分からない事を延々とやっているシリーズになって非常につまらなく、完全に惰性でGYAOで無料で見られるから以外の理由も無く見てみたけれど、この映画はシリーズの中でも一番つまらなかった。
ただアリスが脱出するだけで、延々とあちこちで銃をぶっ放しているだけの内容で、まあ内容が無い。

一応エイダ・ウォンとか、レオン・S・ケネディとか、ゲームに登場したキャラクターが新登場してはいるものの、他の新登場人物も皆が人物が立ちそうな前に死んでしまったり、活躍が無いままとか、何故かアリスがエイダ・ウォンの素性をやたらと知っているのにその理由の説明が一切無いとか、何時ものポール・W・S・アンダーソンのどうしようもない脚本だし、前作でいよいよ兄妹が揃ったクリス・レッドフィールドとクレア・レッドフィールドがその後どうなったのかの言及が一切無く、最早この映画シリーズ伝統の前作の終盤に起こった出来事が続編では無視なのは変わらずで、酷い脚本がより一層増している。
それに、やっぱりここまで世界が崩壊しているのに何故アンブレラがあれだけ巨大な施設や大規模な人間を運営・監理出来ているのかが不思議で、そもそもアンブレラは何を目指しているのかもよく分からない。
終盤で突然AIが全人類を皆殺しにしようとするのも意味不明。

前作の最後にアンブレラの部隊を率いる隊長的な女性が登場して、今回はその女性がボス的な立場だったのだけれど、この女性がジル・バレンタインだとは名前を出して説明するまで全然気付かなかった。
二作目の時は短い黒髪だったのに、今回はポニーテールの金髪で見た目が全然違って別人。
どうやらゲームの「バイオハザード5」でもポニーテールの金髪でほぼ別人だったからみたい。
しかし、二作目でアリスと一緒にいたジルがその後どうなったのかは三作目と四作目では一切説明されず、今回も一切説明されずって、この都合の良さやお手軽感はポール・W・S・アンダーソン節が全開。
それに二作目でもそうだったけれどジルを演じているシエンナ・ギロリーのアクションが固いと言うか、慣れて無さばかり感じてしまうと言うかで、大分アクションがいまいち。

この映画、シリーズ五作目でも相も変わらずのポール・W・S・アンダーソン臭しかしない薄っす薄の内容で、まあつまらない。
唯一感心したのは、初めに四作目までの粗筋を名場面を混ぜながら数分でまとめていたいた所で、これを見れば話的には四作も見なくて済んでしまう、これまでのこのシリーズを皮肉った様なまとめになっているのには笑ってしまった。

★★★★★
 
 
関連:バイオハザード
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