ボーン・アルティメイタム

2022年03月31日 木曜日

ポール・グリーングラス監督、マット・デイモン主演の2007年のアメリカ映画「ボーン・アルティメイタム(The Bourne Ultimatum)」
シリーズ三作目。
ロバート・ラドラムの小説「最後の暗殺者」が原作。

ジェイソン・ボーンは自分の記憶を取り戻そうとしており、偶然見かけた新聞記事に自分の事が書かれているのを見付けた。
ジェイソン・ボーンはその記事を書いた記者と接触すると自分を暗殺者に仕立てたトレッドストーン計画とは別にブラックブライアー計画がある事を知らされた。
その記者を追っていたCIAにジェイソン・ボーンの存在が知られ、ジェイソン・ボーンを危険視したCIAはジェイソン・ボーンを殺害しようとする。

このシリーズは一作目は結構おもしろく見たけれど、二作目がそんなにはまらずで、続けてこの三作目も見てみたけれど、やっぱりはまらずでそれ程楽しめなかった。

三作目になるとこれまでの二作と似た様な展開に結構飽きていて、ジェイソン・ボーンが失われた自分の記憶を求める → それでは困るCIAがジェイソン・ボーンを殺そうとする → ジェイソン・ボーンが逃げる → ジェイソン・ボーンが反撃するの展開が毎度なので、既視感を感じてしまって楽しめなくなっていた。
ジェイソン・ボーンに連れ添う協力する女性が正体を隠す為に髪の毛を黒色に染めてハサミで髪の毛を切るけれど、何故かジェイソン・ボーンは変装も何もしないのは一作目で見たし、自分を殺そうとする殺し屋とカーチェイス後、ジェイソン・ボーンは傷付きながらも無事で敵の殺し屋は死にかけで運転席でグッタリしているのを見たジェイソン・ボーンは銃を構えながらも殺し屋を殺さないと言うのも二作目で見たし、CIAは都合が良い位あっさりと情報を割り出すし部隊も次々と送り込むけれど、常にジェイソン・ボーンに翻弄され続け、ジェイソン・ボーンを殺そうとするのは悪い事をしていたCIA局員で捜査の指揮を執っているって、何度も見た事ばかり。
今回もパメラ・ランディが出て来てジェイソン・ボーン擁護派ではあるけれど、余りジェイソン・ボーンには役立たず、結局ジェイソン・ボーンから重要な情報を提供してもらうという立場で、CIAの人達が全然賢くも凄くも見えないまま。
ジェイソン・ボーンがCIAのビルに侵入する場面を描かないという作り手側の手抜き的なズルさがあったけれど、それにしてもCIAに直接ジェイソン・ボーンがやって来たのを全く何も知らないし、セキュリティもガバガバ過ぎるCIAって馬鹿過ぎでしょ。
白昼堂々大勢の人ごみの中で記者を殺害する様なCIAで、無謀過ぎて問題が起きたらとにかく殺せ!というCIAを馬鹿に描いてはいたけれど、上から下まで悪党か馬鹿ばかりというCIAの描き方は安っぽい気がしてならなかった。
記者の殺害はどう説明したのかも、どう見ても揉み消せないのに揉み消したのかとかさえも描いていなかったし、何故か簡単にジェイソン・ボーンを発見して追いかけて来るCIAや地元の警察とかも、何だか作り手側に都合が良過ぎるなぁ…と思って見ていた。

あと、よく分からなかったのがブラックブライアー計画の中心人物にアルバート・ハーシュ博士がいた事。
アルバート・ハーシュ博士はトレッドストーン計画の洗脳の責任者?だったのに、何故関係無いブラックブライアー計画でも関係していたんだろう?
これもジェイソン・ボーンとアルバート・ハーシュ博士を対面させる為だけの設定の様な気がした。

話はシリーズを通してのジェイソン・ボーンの記憶で引っ張って来て、この映画でその結末的にトレッドストーン計画の始まりが分かるに分かるけれど、結構だからどうした的な話で、一作目でのトレッドストーン計画で暗殺者に作り替えられたという説明以上でもない感じで、見ても「はあ、そうですか…」位しか感想がなかった。

話はずっとこれで来ているので、まあそんなモノかとは思ったけれど、一番駄目だったのが短いカット割りのアクション場面。
一作目と二作目三作目では監督が違っており、一作目では結構ちゃんとアクションを見せていたのに、二作目三作目ではやたらとカット割りが早く、しかもカメラの寄りが多く、常にカメラがぶれていて見難い上に誰が何をしているのかが分かり難くてしょうがない。
これって、正に2000年代の流行りになっていた作り手側がカッコいいと思っている撮影や編集で、わたしはこれが大嫌い。
ただただ見難い。
それに加えてアクション場面以外でも常にカメラがぶれており、ずっと見難い。
この常にカメラをぶらして人物や対象が画面内でフラフラしていたり、そこから急に何かに寄ったりする演出って、今見ると時代っぽくて古臭く感じるし、この手法って2000年代に製作費が安いビデオ映画とかで多用されている印象が強くて、これだけで映像が安っぽく感じてしまっていた。

この映画、二作目でトレッドストーン計画が終わったのに更にブラックブライアー計画を出して来て取って付けた感があったり、全体的にこれまでと似た様な事をしていて、何よりも見辛いカメラのブレと短い編集が駄目で全くはまらず。
一作目が一番おもしろく見れたと言う事は、二作目三作目の監督のポール・グリーングラスがわたしが全く駄目だったという事か。

☆☆★★★
 
 
関連:ボーン・アイデンティティー
   ボーン・スプレマシー
   ジェイソン・ボーン

« | »

Trackback URL

Leave a Reply