SF巨大生物の島

2022年03月28日 月曜日

サイ・エンドフィールド監督、マイケル・クレイグ主演の1961年の映画「SF巨大生物の島(Mysterious Island)」
ジュール・ヴェルヌの小説「神秘の島」が原作。

南北戦争で南軍の捕虜となっていた北軍のサイラス・ハーディング大尉と部下達は南軍の気球を強奪し脱走し、何日も風に流されてある島に漂着した。
その島を捜索すると巨大な蟹や鳥が現れて彼らを襲ったが何時も誰かが彼らを助けてくれている様だった。

前知識は何も無く、題名と古いSF映画という部分だけで見てみたけれど、1961年の映画なので結構間延びはするものの変なほのぼの感と意外な展開で結構おもしろかった。

まず1961年の映画なのに南北戦争時代が舞台で意外。
更に気球で島へと移動するもの意外な展開。
島では当然題名通り巨大生物が登場するけれど、今時の映画だと次々と仲間が簡単にやられて行くのが典型だと思っているので皆が無事という展開は結構目新しく、襲って来た蟹や鳥を倒したら大量の食糧が手に入って明るくパーティーになるも思っていなかった展開。
それに、この手のサバイバルモノだと大抵仲間同士で揉めて悲惨な展開になるものだと思ってしまっていたけれど、北軍の兵士が大半の中に南軍の兵士が一人いるのでこの人が揉める要員なのかと思ったら特に揉めずに仲良くやっていたのも意外。
後から女性二人が漂着したけれど、男共でサバイバルしている中に急に女性がやって来たら女性で揉めるのが典型だと思っていたら特に揉めずなのも意外。
更に、初めから誰かがいるのでは?という伏線はあったものの、突然ノーチラス号やネモ船長の話が出て来て、ネモ船長と助け合う展開も意外。
ある程度近年の映画やテレビドラマに毒されてしまっている身からすると、その典型にはまらない常にそこはそうならないんだ…や、何その展開!?が多くて、この意外性で楽しめてしまった。

この映画を見てから調べて知ったのが、ジュール・ヴェルヌの小説「神秘の島」が原作で、「神秘の島」が「海底二万里」の後の小説だからネモ船長が登場するのは続編的な話なら当たり前なのかと分かったけれど、何も知らない状態でこの映画を見たので急にネモ船長が出て来て結構ぶっ飛んだ話だな!とか、凄い話の繋げ方するなぁ!と思ってしまった。

ただ、「神秘の島」ではどういった表現になっているのかは知らないけれど、この映画での巨大蟹や巨鳥とのアクション場面の後に皆で巨大蟹や巨鳥を調理して食べちゃう陽気さとかほのぼの感が好きだった。
特に、巨大蟹を穴に落とせ!穴は間欠泉だったので茹で蟹の出来上がり!には笑ってしまった。

しかし、終始展開は間延びしており結構退屈。
終盤の船を引き上げるどうのこうの話は最後の締めの盛り上げないといけない所なのに長くて退屈だった。

それに、致命的なのは主人公であるはずのサイラス・ハーディングが一番魅力が無い事。
周りの部下達は徐々に役が立つし、後から来た女性二人も叔母の方は初めは何だかウザい感じだったのが文句を言わずに何でもこなし、巨鳥にも立ち向かい、逆に姪は後からもう嫌だと言う若さを見せたりと人物を立たせるのに、サイラス・ハーディングは常に俺が正しい。何故俺に従わない?的な態度でいけ好かないし、ネモ船長が登場すると完全にネモ船長が全部持って行ってしまってサイラス・ハーディングの存在感が薄くなってしまっている。
人物的にサイラス・ハーディングが一番おもしろくないかも。
それに、サイラス・ハーディングがこんな人物なら、もっとネモ船長とやり合う様な場面もあって良さそうなのに、この二人の関係は結構あっさりで終わってしまうのも勿体ない気がした。

邦題が「SF巨大生物の島」なので、どうしてもレイ・ハリーハウゼンのストップモーション・アニメーションを期待するけれど、巨大蟹と巨鳥と巨大蜂だけが散発的に登場するだけで非常に物足りない。
邦題の「SF」はどうなの?とは思うし、この映画の特徴を使って邦題を付けるとなると「巨大生物の島」にはなるのだろうけれど、話の主題はそこじゃなくてネモ船長の方で、巨大生物はあくまでおまけ程度。
原作の「神秘の島」では巨大生物は全然関係無い様だし、映画を作る時に見せ場を求めて巨大生物を入れたんだろうか?
ただ、主題のネモ船長は登場が遅過ぎるという事もあるけれど。

この映画、何も知らずに邦題の「SF巨大生物の島」にミスリードされて見たら、最終的にあのネモ船長の最後を描くと言う展開は意外過ぎてぶっ飛んでると思ったし、巨大生物の島でのサバイバルなのにほんわかした感じが何かおもしろかった。

☆☆☆★★

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