ボーン・アイデンティティー

2022年03月25日 金曜日

ダグ・リーマン製作・監督、マット・デイモン主演の2002年のアメリカ映画「ボーン・アイデンティティー(The Bourne Identity)」
ロバート・ラドラムの小説「暗殺者」が原作。

マルセイユ沖の海面に気を失って漂っていた男が漁船の乗組員に助けられた。
男は体に銃弾を撃たれており、乗組員が弾を取り出している時に皮膚の下から小さなカプセルも見付けた。
意識を取り戻した男は自分が何者なのかも覚えておらず、唯一の手掛かりはカプセルが示すスイスの銀行口座だけだった。
男はスイスへと向かい、銀行の貸金庫の中身を調べるとジェイソン・ボーンという名前のパスポートが出て来て自分の名前を知るが、そのパスポート以外にも複数の国のパスポートと各国の紙幣と銃が入っていた。
ジェイソン・ボーンは自分が何者なのかを調べようとするが各国の警察に手配されており、更には殺し屋がジェイソン・ボーンを狙って襲って来た。

この映画は確か以前に見たはずで、記憶を失ったマット・デイモンが自分が何者なのかを知ろうとして戦う位の覚えしかなかったけれど、改めて見てみたら結構おもしろかった。

自分自身の記憶が無いのに何カ国語も自然と話し、攻撃されそうになったら体が勝手に反応して動いて、しかも強く、自分はおかしいと思いながらも自分を調べ始めると殺し屋が襲って来て…という展開はおもしろく、集中力が途切れる事無く最後まで一気に行く。
サスペンスだけでなくアクションやカーチェイスも結構おもしろくて、ペンを使っての格闘とか、開けた草原でショットガンで間合いを詰めて行く銃撃戦とかアクション映画としても中々おもしろかった。

ただ、原作小説が1980年に出版されたからか、設定とか展開が今となっては古臭い部分も。
主人公が無敵の殺し屋だけれど記憶喪失とか、途中で偶然出会った女性を巻き込んでしまって恋仲になるとか、余りにベタ。

それにCIAの行動がよく分からず、「ジェイソン・ボーンが暗殺作戦失敗した」→「連絡も無いし、戻っても来ない」→「きっと裏切ったに違いない」→「殺せ!」って、3000万ドルもかけた計画なのにはっきりとした理由も分からないのに殺そうとするとか非常に短絡的。
ジェイソン・ボーンを現地の警察を使って追い込むんじゃなくて、顔見知りのCIA局員が直接会って話聞くべきじゃないの?

あと、トレッドストーン計画については詳しく描かれていないので、結局ジェイソン・ボーンは何者で、バリバリな暗殺者が子供を見ただけで何で急に暗殺を辞めたのかとか、記憶を一部取り戻したら何で暗殺者を辞めたのかとかが分からないままで終わってしまうのが結構モヤモヤ。
そこら辺は続編で描かれて、この行動も納得出来るんだろうか?

役者は主人公の無敵の暗殺者とヒロインが決して美男美女でもない所は良いのだけれど、やっぱりマット・デイモンが無敵の暗殺者には見えないのがどうも。
見た目からして如何にも殺し屋です!では怪しまれてしまうので地味な普通の人の方が良いのかもしれないけれど、この役がマット・デイモンにピッタリかと言えばそうでもない様な気がしてしまった。

他にはクリス・クーパーブライアン・コックスクライヴ・オーウェンが出演しているけれど、クライヴ・オーウェンは若いからなのか痩せていたからなのか、見ている時は全然気付かずに、あの殺し屋だったのかと後から気付いた。

この映画、今見るとマット・デイモンが若いとか、設定がベタ過ぎとかあるけれど、その設定を上手く使って抑えつつも盛り上げて、おもしろい暗殺者のアクション小説を一気に読んだ様な感じ。
ジェイソン・ボーンが何なのかが知りたいから続編が出来るのも納得な映画だった。

☆☆☆★★
 
 
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